散り椿 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 282
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041023112

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説で定番ともいえるお家騒動が背景。
    さらに、男同士の友情と、彼らが想いを寄せる一人の女性。これもよくあるパターンだけれども、著者は、叙情豊かに美しく一編の詩の如くに、物語を紡ぎだした。
    人が人を想う気持ちと、それが相手に伝わらず、それでもそれぞれが誠実に生きようと葛藤する人々。
    現代を舞台にしたら、陳腐となってしまいかねない設定も、時代小説では、切なく美しい物語となる。
    やっぱり、時代小説って、いいですねえ。

  • どこまでも不器用でどこまでも誠実な男達の切ない物語。
    最愛の妻の最期の願いを叶えるため、男は一人故郷に戻ってきた。
    妻に褒められたい一心で。
    そして因縁深い幼馴染みと決着をつけるために。

    過去に起こった事件の真相を解き明かすにつれ、浮かび上がる亡き妻の想い。
    妻が願いの奥に潜めた想いは実に切ないものだった。
    散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていける…潔くて儚いセリフに泣きそうになる。

    葉室さんは男同士の友情を描くことが本当にお上手な作家さんだったのだと改めて思った。
    岡田准一さん主演の映画も楽しみ。
    葉室さんも楽しみにされていたんだろうな…。
    本当に残念。

  • 「散り椿」
    公開日:2018年9月22日
    享保15年、藩の不正を訴え出たことで藩を追われた瓜生新兵衛。しかし病に倒れた妻・篠は、死の床で最期の願いを新兵衛に託す。新兵衛の旧友で、かつ藩追放にも因縁がある榊原采女を助けてほしい、と。故郷へ戻った新兵衛はやがて采女と対峙するが……。
    キャスト: 岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、緒形直人
    監督:木村大作
    http://chiritsubaki.jp/

  • 全1巻。
    藩を放逐された浪人が、
    亡き妻の遺言を守るために帰ってくる。
    帰参した浪人を待っていたのは
    藩を二分とする御家騒動。
    保身に勤しむ甥っ子とともに
    好まざる争いに巻き込まれていく。
    って話。

    や。
    いいね。
    本当、葉室先生は小藩の政争が抜群にうまい。
    今の作家達の中でピカイチだと思う。

    ロマンチックな「想い」の設定は
    胸が苦しくなるほど切ないし、
    どんでん返し連続なミステリーは、
    だれもが怪しく見える前半とか本当秀逸。

    ただ、惜しむらくは謎解きパート。
    それぞれの謎の答が深く絡まり合ってなく、
    小粒な謎が一杯って印象になっちゃってる。
    「想い」についても駆け足消化な感があり、
    「事件の真相」「妻の真実の想い」に絞って
    うまく昇華してほしかった。
    ちょっと要素が多すぎ。

    まあ、
    少し白けた後味は残るかもしれないが、
    グッとくるのは間違いないと思う。

  • 葉室麟さんの作品はいつもパワーをもらえる。
    大きな組織力にはびこる悪に対して、無力かと思われる小さな正義が、友情や家族愛の強いきずなで実を結ぶ長い過程が物語の主軸になっている。

    今回特に心に残ったのは、大きな組織の中で自分の身を守るために悪を悪と指摘せずに組織の残ることで精いっぱいだった若い侍が、小さな正義に次第にひきつけられて、自分の身を守ることより大切な人を守り、悪を懲らしめる側に成長していく姿だった。

    若い世代に身をもって生きざまを知らしめるようなぶれない信念を、果たして今の大人は持っているのだろうか。
    自分を見つめるに、恥ずかしながら未だにぶれて迷って後悔を繰り返す日々を過ごしている。


    人とかかわると何かしら思いを残す。「あー言えばよかった、こー言えばよかった」は常で、あんなこと言ったけどどう思ったかしら?あの話はどういう意味?本音では私に何が言いたかった?など、会話の一つ一つが気になったり、表情を思い出して私の気持ち伝わったかしら?と思い出したりし始めると、結局出会って話したこと自体を後悔するようになる。


    十年以上前のわずかな会話や文のやり取りから、相手の本心に心を寄せ、それを生きていく糧にして目の前の正義を貫いていく物語に、今更ながら自分の未熟さを思い知らされる。

  • 瓜生新兵衛と榊原采女との因縁と藩の闇の動きを暴く。悲しいけど、しっかり物語が終わりまでまとまっている。非情に上手く出来ているなあ。 さすがは映画の原作になるはずだ!

  • 感想書くの勿体無い。読み終わってしばらく余韻に浸りたい。瓜生新兵衛のその後が読みたかったなぁ。

  • 「散り椿」(葉室麟)[電子書籍版]を読んだ。何だってこんなに涙が出るんだ(鼻水も)と自分でも呆れるくらいにグジュグジュになりながらの終盤であった。電車の中では絶対に読めないです。武士の矜持だとか人の道だとかとにかく真っ直ぐな人たちがいいなあ。葉室麟さんは何冊目だっけ。どれも好き。

  • 少しこじつけのように感じられるところもあったけれど、面白かったと思う。
    出世のため、お家再興のために努力して生きていた藤吾が、次第に、石高よりも大切なことがある、と気持ちを変化させていく姿が清々しかった。
    新兵衛は一途に篠を思い続けるが、篠は采女から新兵衛へ気持ちを移すところとか、男の人の書いた作品だな、とは思う。

  • 毒のない安心させる文章、伏線が張られていてストーリーの骨格も整っていて、人物もそれなりに色づけされている。いい話‥‥と言えなくもないだろうけど‥‥私的には何か物足らない。

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著者プロフィール

葉室 麟(はむろ りん)
1951年1月25日 – 2017年12月23日
福岡県北九州市小倉生まれ。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て小説家に。2005年に短編「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞受賞(のち単行本化)、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。
上記以外の代表作に、2018年9月に岡田准一主演で映画化される『散り椿』、第22回山本周五郎賞候補及び第141回直木賞候補だった『秋月記』がある。

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