- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041023112
感想・レビュー・書評
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先に映画を観ていたのですんなりと読み進めることができた。人の世も心も、時が経てもそれほど変わるものではない。だが、変えていかねばならぬことはしっかりと変えていきたい。そんな風に思った。
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最愛の妻をなくし、その最後の遺言の意味に気づいた時涙が止まらなくなりました。
大切な人を想う気持ちで生きている武士達の物語です。
時代劇を読んだことのない人にもおすすめです。 -
時代小説のど真ん中とも言える、筋の通った男を軸に展開する人間ドラマ。
力を感じる、まさに散り際に思いの込もった作品。 -
2/8は「つばきの日」
岡田准一さん主演で映画化され、
日本アカデミー賞7部門を受賞したことでも話題になった『散り椿』。 -
すぐ読み終えられました。面白いです。椿は花ごとぽとりといっぺんに落ちるイメージですが、タイトルの散り椿は花びらが一枚ずつ散るそうです。残る椿があると思えるからこそ見事に散っていけるという話です。藩での権力争いですが、四天王のみんな、生き様と心が素晴らしい。愛する人のために生きたいと思いました。自分の苦しむことが癒される術がこの本にはありそうです。
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映画にもなっててぜひ読んでみたかった。主人公二人の関係はそういうことだったのかと。妻を思い妻のために友を見守り、若き日の想いを隠し静かに強く公に生き。改めて振り返ると公私の生き方が書かれたんだと思いました。
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とても綺麗な小説。
最後に妻が夫を大事にしていた。夫の幼馴染の元婚約者への想いは無かった事実は、夫にも伝わったのだろうか。
妻を大事に、第一に生きる姿に心が揺さぶられます。 -
過去の事件の追求、藩内の権力争い等、背景は複雑ですが、そこに絡む人々の思いが繊細に描写されている秀作。
愛、友情、成長・・。人が人を想う心の美しさがひしひしと伝わってきて胸を打ちます。
映画では、新兵衛を岡田准一さん。采女を西島秀俊さんが演じたのですね。新兵衛はもうちょいワイルドなイメージ(岡田さんは格好良すぎかも・・。)でしたが、西島さんの采女はぴったりだと思いました。 -
采女からの手紙を持ち続けた篠の心・・からの返信の和歌。 これでは新兵衛の思い込みの方がより自然な流れ。
篠は、敢えてどちらにも取れる歌を残したのだろうか?・・なんて邪推も?
新兵衛との祝言に至るまでの篠の心の内は、
読者にはわかるが新兵衛や采女には知る由もない訳で、采女の閃きは少々強引な気も・・
などと御託をいいながら、当然のようにまたも涙腺決壊な訳ですが
女性は凄い・・
妻・篠の今際の願いを胸に18年の時を経て故郷・扇野藩へ戻った浪人・瓜生新兵衛。
かつて、上司・榊原平蔵(采女の養父)の不正を知り暴こうとした新兵衛は、返って咎めを受け藩を追われたのだった。
扇野藩に戻った新兵衛は篠の妹・里美とその息子・藤吾の元に身を寄せるが、里美の夫でありかつての友・坂下源之進もまた横領の疑いをかけられ数年前に切腹していた。
折しも、扇野藩は病弱な藩主の隠居を機に親政を目論む嫡男・政家と、長年にわたり藩政を動かして来た家老・石田玄蕃との勢力争いが佳境を迎えていたが、政家側の懐刀・榊原采女もまた新兵衛・源之進と並び四天王と称された親友であった。
一方、藤吾は両派の間で微妙な立場となり、藩の暗部・蜻蛉組へと配属されるが、もう一人の四天王・篠原三右衛門の娘・美鈴との婚約が突然破断になる。
愛妻・篠と采女、そして新兵衛の過去。
裏で藩を操る政家の実兄・奥平刑部を絡め、藩の実権を巡って交わされる策謀の応酬。
采女の父・榊原平蔵暗殺の真実とは、
そして、篠の願いの真意とは・・
◯平山道場四天王
⚪︎瓜生新兵衛
⚪︎榊原采女・・新兵衛が糾弾し、後に暗殺された平蔵の養子。御世子側のトップ。篠への想いを断ち切れない。
⚪︎篠原三右衛門・・美鈴の父。馬廻り役だが・・
⚪︎坂下源之進・・里美の夫、藤吾の父。不正を疑われ自ら切腹。
◯篠・・新兵衛の愛妻。かつて采女と婚約したが・・。新兵衛に願いを託し亡くなる。
◯鷹ヶ峰殿・・政家の兄・奥平刑部の通り名。
◯蜻蛉組・・藩の諜報組織。藩の重役達の監視、時に暗殺も。
◯小杉十五郎・・平山道場の師範代。蜻蛉組の副頭。 -
映画になったが期待を裏切らない内容
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おもしろい
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瓜生新兵衛は、かつて藩の不正を正そうとして追放された扇野藩へ18年ぶりに帰ってきた。藩の実権を握る家老の石田玄蕃の不正を暴き、次期藩主とともに藩の実権を取り戻そうとする。平山道場で四天王と呼ばれた新兵衛、榊原采女、坂下源之進、藤原三右衛門が物語と深く関わっており、次期藩主がお国入りしてから一挙にクライマックスへと進む。
友情の物語であり、夫婦愛の物語でもある。最後に伝えられた愛の言葉に答えられない新兵衛であった。 -
少しこじつけのように感じられるところもあったけれど、面白かったと思う。
出世のため、お家再興のために努力して生きていた藤吾が、次第に、石高よりも大切なことがある、と気持ちを変化させていく姿が清々しかった。
新兵衛は一途に篠を思い続けるが、篠は采女から新兵衛へ気持ちを移すところとか、男の人の書いた作品だな、とは思う。 -
毒のない安心させる文章、伏線が張られていてストーリーの骨格も整っていて、人物もそれなりに色づけされている。いい話‥‥と言えなくもないだろうけど‥‥私的には何か物足らない。
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――ひとを愛おしむとは、自分の想いを胸にしまい、相手の想いを叶えることなのか。
かつて、藩の不正を糺そうとしながら、それゆえ扇野藩を追放された瓜生新兵衛は、妻の最期の願いを胸に18年ぶりに藩へと帰参する。
それは、闇に葬られた過去の罪を今に呼び覚ます行為でもあった。
親子、夫婦、友人、そして主従。人が生きてゆくなかで切っても切れない深い結びつきと、死にゆく人の切なる願い。それぞれに気持ちを伝えること、受け取ることの「ままならなさ」に翻弄される人びとの姿を、一木に白から紅までさまざまに咲き分けながら、最後には一片一片花びらを散らせてゆく散り椿に寄せて描く。
同じ道場で鍛錬し、四天王と並び称された新兵衛と彼のよき友人たち。
彼らの上に流れた18年という歳月は重く、溌溂と輝いていた若者たちを、皆それぞれに生きてきた澱を身にまとい、複雑なものを抱えた中年の男に変えてしまった。
生きることは難しい。
おのれを殺して生きようとする。しかしそれが他の者の生きる道を閉ざしてしまうこともある。
誰かを生かすために、心にもない言葉を吐かねばならないこともある。
大切なものを守るために投げ出した命が、ほかの誰かの人生を大きく変えてしまうこともある。
扇野に生きる人びとの、不器用なことといったらない。傷つき、傷つけられながら、それでも誠実に生き尽くそうとしている。その姿がとても愛おしい。
「生きてくださいませ、あなた――」「生きろよ、新兵衛」
自分の死を前にして、なぜそんな風に願えるのだろう。その答えもまた、彼らは残してゆくのだ。
「散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ」、と。 -
2017.12.20