中野ブロードウェイ脱出ゲーム (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2017年11月25日発売)
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本 ・本 (688ページ) / ISBN・EAN: 9784041023280

作品紹介・あらすじ

地震のような衝撃で密室と化した中野ブロードウェイ。ビル自体が生き物のように変容し人が次々と“食われていく”。取り残された少年と少女の運命は!? 誰もプレイしたことのない最悪の脱出ゲームが始まる

感想・レビュー・書評

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  • 作者の作品はこれが始めて。
    SF的なセンスには、非常に共感できるところがあり、とても面白く読めた。

    人間が溶けて、混ざって、どろどろの粘菌になるというテーマは、
    大昔に読んだ「ブラッドミュージック」と同じだと思う。
    本書では、現代の技術的なバックグラウンドを元に、
    量子コンピュータ的な無限の計算能力と、
    それを利用した汎用人工知能の実現の可能性を語っている。

    量子コンピュータで何でもできるというところは、技術的な飛躍を感じるが、
    人工知能が自我を獲得して、現実世界に影響を及ぼす過程は、興味深く読めた。

    人工知能であろうが、「自我」の成り立ちには、生や死の概念、
    根源的な欲求のようなものが必須であり、機械をどれだけ複雑に、
    高度化していっても、それだけでは、汎用AIは誕生しない。

    しかしながら、仮に、機械がそのようなものを獲得したとき、
    そもそも機械と生物では、個体としてのあり方があまりに違うために、
    誕生した精神も、人間との共感や理解が不可能なほど、
    人間の精神とは異なったものになるのではないか。

    終盤ではこのような葛藤を元に、人間と機械が対立する。
    個人的には、この結末を、人間が機械を打ち負かした、とは解釈したくない。
    地球全体に風に乗って拡散した集合意識が、個体の人間と共存するような
    未来を、余韻として感じたい。

  • 脱出ゲーム系ホラーの皮をかぶった壮大なSF。中野ブロードウェイに行ってみたくなる、著者の集大成的な作品。

    渡辺浩弐さんの肉声が聞こえてきそうな中野ブロードウェイの描写から始まり、ファミコンディスクシステムの『エッガーランド』やゴムベルトの話題が出て、いきなりオタク度全開の幕開けにニヤリ。
    脱出ゲームの枠にボーイミーツガールからのセカイ系、という大筋は単純に好みだ。その中に、ゲーム・キッズやプラトニックチェーンに見られたような先端テクノロジーSFと各人物ごとのエピソード、歴史陰謀論的な背景、ちょっとグロいホラーテイストなど、多様な要素が詰め込まれていて、700ページ弱の旅路は読み応え十分。作者が書きたいことを書き切った感があり、読んでいて楽しかった。そしてまさかのあの作品の続編にもなっているとは……(-。-)ボソッ
    ホラーファンにもSFファンにもオススメできる、贅沢な一品。

    〈7F.〉カブトムシの話が好きです。

  • 感染はウィルスではないが、バイオハザード7みたいな話。

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著者プロフィール

小説家・ライター。1962年、福岡県生まれ。1980年代から、映像・ゲーム業界でライターとしてのキャリアを出発させる。『週刊ファミ通』での連載を経て1994年に刊行された『1999年のゲーム・キッズ』で、本格的に小説家としても活動を開始。以後も、デジタルテクノロジーを題材に未来の姿をシミュレートするSF小説集として〈ゲーム・キッズ〉シリーズを手がけ続けている。本書での取材をもとにした〈ゲーム・キッズ〉シリーズ最新作も2023年内に刊行予定。著書に『2020年のゲーム・キッズ →その先の未来』、『世にも醜いクラスメートの話 渡辺浩弐ホラーストーリーズ』(ともに星海社FICTIONS)など。

「2023年 『7つの明るい未来技術 2030年のゲーム・チェンジャー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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