カサンドラ

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.64
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本棚登録 : 69
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041023419

作品紹介・あらすじ

昭和28年。一隻の豪華客船が横浜を出航する。大臣の護衛として乗船した入江秀作は、周囲の様子に目を光らせていた。そう、入江の真の任務は機密情報流出の阻止と、それを持ち出した者の抹殺、だった。

感想・レビュー・書評

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  • みんなのレビュー評価が高かったので借りて読んでみた。

    それほどおもしろくはなかった。原子力船というのが割と早い段階で分かってしまうし、主人公の入江が最後まで活躍しない。ほんとにスパイ?と心配になるような直情型の性格だし、常に後手にまわる。

    しかし、昭和20年代当時の雰囲気がよく伝わった。特に、シベリア抑留者同士のあつれきや鬱屈というものを、私はこの本で初めて知った。

    桑原水菜という作家は、非常によく取材する作家だと思う。世界観を決して崩さない。たとえば、登場人物の名前にも気を遣っていると思う。もう一人の主人公の名前は「道夫」だ。地味だが、当時はこれが当たり前の名前だった。これが今はやりの大翔だの陽向だの、どう読むのか分からないような名前だったら興ざめだ。だから、彼女の作品を読むときは、読者は安心してその世界に没頭できる。

  • 船上ミステリー。

    面白かったんだけど、2転3転しすぎて疲れた・・・

  • 久しぶりに一気読みしました。
    戦後十年あたりという舞台設定も絶妙なハードボイルド推理小説です。
    専門用語などは本文で説明してくれる親切設計で読みやすく、
    難しさは感じないと思います。

    元戦艦だった客船に、船が嫌いな入江が乗り合わせるところから始まるストーリーが
    多数の登場人物と絡み合いバックグランドを明らかにしつつ
    全く見えなかったところから任務の内容が見えてくる話運びが鮮やかです。

    ところどころの言葉の選び方と、広島弁が多少気になったものの、
    次が気になる引き込まれる展開に比較すれば些事です。

    映像で見たいと思わせる迫力あるシーンがいくつもあります。

    桑原先生と言えば炎の蜃気楼という人も多いかと思いますが、
    ミラージュが好きな人にはもちろん、
    ミラージュの作者の本だから、と避けていた人にも
    読んでみて欲しい一冊です。

  • 2017/06/01-06/14

  • p.25-26「誰か、お捜しですか」
    「いえ、友人によく似た人がいたものですから」
    「船上で再会ですか」
    「いや、友人は故人なんで、単なる空似です」
    「……船ではたまに起こることです。船で出会う空似の他人は、一種の運命で結ばれている可能性があるから、あとで声をかけてみるといいですよ」

    今(読了時)、八月。
    船が舞台でミステリだという事だけで読み始めた。
    コバルトのノリで、サラっと読めるのかと思っていたらなかなかの読み応えだった。
    時期も時期だけに考えるものもあった。

  • 著者はティーンズ文庫のあの人か、と読み終わってようやく。内容が重く、ギャップにびっくり。
    戦後、日本生まれアメリカ育ちの船に乗った主人公。自分の裏切りにより死に追いやった親友の弟と船内で再会し、動揺する。
    連続殺人が発見された直後、船が乗っ取られ、敵味方の区別がつかなくなる…
    その後、船は原子炉を抱えていることが判明。今後、電気も原子力で補うのだという。
    核被害を受けたばかりの戦後、日本はどこに向かうのかー
    現代の矛盾にもつながるテーマだと思うが、残念ながら本としては面白くない。

  • 内容知らずに買って・・・読むのが嫌だった(笑)。

    でも買った以上は読むべし!と、やっと読んだ。

    読み終わって、涙は出てないんだけど、心の奥底で泣いている感じがする。


    軍人じゃなくてもシベリアに抑留されたという話は、親戚のおじいさんの話として聞いたことがある。
    もちろん辛い経験を多く語ったはずもないが。



    無駄に生きてきたなぁ~って我が身をなぜだか急に反省したいような気分です(泣)。

  • 豪華客船で繰り広げられる諜報合戦。アメリカ、ソ連、日本それぞれの思惑が絡み合い、ドンデン返しの連続。疑心暗鬼に苛まれ、敵味方の判別がどんどんできなくなっていく。読み応えたっぷりの一冊でした。
    戦争に翻弄され、終戦後も戦争の傷跡が深く残る彼らを思うと胸が詰まる。ラストの蓮の花が素敵でした。

  • 単行本で上下段の文章!
    読み応え抜群!!
    そして息もつけぬ豪華客船の中で繰り広げられる攻防戦にはらはらし通しだった。
    最後はもう誰が味方で誰が敵なのか・・・・
    人間不信に陥りそうでした。

  • 初読みの作家さんですが、コバルト文庫作家のイメージしかなかったので、まさかこんな硬派な戦後諜報ミステリを描かれるとは。良い意味で裏切られ、読んで得したワと思った。登場人物が多いうえ、敵と味方が目まぐるしく入れ替わるため、展開把握がなかなか大変だったが、読み応えがあって面白かった。さすがのベテラン作家さんで文章が読みやすく、二人の男の心情描写も上手くてグッとくる。この手の作品をこの作家さんで今後も読んでみたい。

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著者プロフィール

千葉県生まれ、東京都在住。中央大学文学部史学科卒業。「風駆ける日」で1989年下期コバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞後、90年『炎の蜃気楼』でデビュー。同シリーズは累計630万部を超える大ヒットとなる。他の著書に、『遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠』からはじまる「西原無量」シリーズ、「赤の神紋」シリーズ、「シュバルツ・ヘルツ」シリーズなど多数。

「2018年 『カサンドラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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