罪の余白 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.42
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本棚登録 : 1134
レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041023877

作品紹介・あらすじ

高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。娘はなぜ死んだのか。自分を責める日々を送る安藤の前に現れた、加奈のクラスメートの協力で、娘の悩みを知った安藤は。

感想・レビュー・書評

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  • ほむぅ...( ¯•ω•¯ )再読です。
    娘自殺→悩む父親、そして傍らに謎の不感症女(口悪いですが1番好きです)
    女子高生の歪な友情、復讐を誓う父
    阻止、排除したい犯人

    プロローグに始まりそこから広がる相互関係、事実が見えた時に何かが起こりそうな予感。そして結末を迎えエピローグ。閉幕。
    と、起承転結がしっかりしており読み易く、美しくも残酷なベタが登場するのは個人的にテンション上がる展開でしたが
    内容としては短編でもいいんじゃないかな...なスケールでした。

    というのも、ーレビューを書くにあたって物語を振り返る時間ーがとても短かったのです。
    芦沢央さんの作品は、ミステリとしての内容 どんでん返し 推察を楽しむ物ではなく
    登場人物の心情、残酷さ、嬉しい 悲しい 辛い 憎い 愛おしい
    そんな心の内と目に浮かぶ美しい背景描写が巧みなのでそちらをいつも楽しませていただいております。

    個人的には度肝を抜かれる展開を楽しみにしている身ですので不完全燃焼です...
    そして描写推しではなくどんでん返し推しの謳い文句にも我ながら意地が悪いと思いますが
    このどっちつかずな作品に頭を傾げてしまいます。

    ハードな内容に疲れた時、内容は軽くしかし人物の心情に浸りたい時にまた手に取りたいと思います。ゆるりと追って行かせていただきます(。ᵕᴗᵕ。)

  •  一人娘の転落死の真相を追う大学講師の父親の姿を描いたサスペンス。

     小説のテーマはどちらかと言うと使い古された感のあるものだったのですが、非常に巧くまとまった秀作だったと思います。

     心理描写が個人的に良かったです。娘を失った父親の後悔などの心理描写はもちろんのこと、ヒエラルキーや仲間外れを恐れる女子高生の心理描写、そして自分の行為が明るみに出ないか恐れる心理描写が非常に真に迫っていてサスペンスフルで読まされます。

     登場人物でもう一人重要な位置にいるのが主人公安藤の同僚の小沢早苗。アスペルガー症候群などではないものの、相手の言い回しや比喩表現が理解できない彼女と、安藤のやり取りが安藤の、そして陰鬱なストーリーのこの本の救いでもあります。
    複雑な人間関係や”空気”というものに対し彼女が無自覚で、冷静に外から見ているからこそ、彼女の心理描写が描かれる場面は一種のエアポケットのような安心感がありました。

    第3回野生時代フロンティア文学賞

  • 最近芦沢さんにハマっていて読みました。
    映画化されているんですね。

    娘の転落死の真相を探ろうとする父親。
    事件か事故か。
    娘をいじめていた同級生の女子2人の心理描写がよかった。

    身内に人の気持ちが汲めない者がいるので、父親の同僚のアスペルガー症候群の女性が周りに理解されないところや本人の気持ちの描写はとても興味深かったです。

  • 同級生のいじめで1人娘を亡くした父親の復讐劇。
    各登場人物〈父親・同僚・娘・同級生2人〉ごとの視点で描かれる心理描写と展開法は秀逸。
    同じく娘を持つ父親としては、このストーリーと結末には感慨深いものがあった。

  • 私のイヤミスの女王、芦沢央さん。この本は何といっても、娘の友人のえぐい性格描写と、復讐に燃える安藤、同僚の早苗の心の変化を捉えた秀逸な作品であった。大学講師の安藤、妻は8年前に他界。娘・加奈の育児を懸命にこなし高校生まで育てるが、加奈は友人達より嫌がらせを受け、罰ゲームによって間違って転落死する。加奈の日記を見つけ、安藤は復讐を計画する。そこに、私の興味をそそるエキセントリックで美人の同僚准教授の早苗が場の空気を読まず随所に登場し安藤を陰ながら助ける。早苗の登場により一気に私のツボにはまりました。

  • 上手いなぁ!が率直な感想。
    とても良かった。

    アスペルガーの早苗さんの個性が凄く良い。
    昨日まで読んでいた、よるのふくらみはヤゴだったが、今度はベタ。


    安藤の娘、加奈が学校で転落死した。
    妻を子宮ガンで亡くし、娘と二人暮らしだった安藤は、生きる気力を失う。
    そんな彼の元へ、彼の母から依頼され彼の同僚で、アスペルガーでもある早苗は定期的に訪れる。

    クラスメートからの手紙を預かった安藤は、娘の死の真相を知りたいと思う。

    ある日、安藤の家に弔問に訪れた少女。

    そこから一気に物語はクライマックスへ。。。
    一気に物語の世界へ読者を引きずり込み、凄いスピードでエピローグへ導く。


    女なら何となくわかる世界。
    教室の中の暗黙のヒエラルキー。

    読んでいる間中ゾクゾクした。

  • まず、この著者は映像の言語化がとても上手で映画やドラマを見ているように小説を読むことができる。回りくどくなくて、自己陶酔してるわけでもなくて、中立的で客観的な表現でもって世界観を構築している印象を受けた。内容はイジメ。加害者が陰湿であることは間違いないが、センセーショナルなほどえげつないイジメというほどの描写はなされておらず、どちらかというと、ナルシスや自己愛、現実逃避、責任転嫁などの痛々しいほどの負のストレス回避法の成れの果てのような内容だった。これはこれでえげつない発想ではあったが。死んだ娘の父親の側にいる小沢さんの存在がちょっと謎めかしい。存在の必要理由がピンとこないが、父親の精神崩壊をすんでのところでとどめ続けた立役者…なのかな?この人が登場するのと登場しないのでは、小説のテイストはどう変わるのかも気になるところです。

  • 女子高生の娘がいじめで自殺したとわかった時、父の復讐がはじまる。狡猾な女子高生は裏をかき、自分だけは復讐の魔手から逃れようとするが……

    話にしてみればシンプルな内容で謎らしい謎もないのだが、妻をガンで失い、そのうえ娘加奈を失った安藤の壮絶な日常や、いじめていた側の咲、真帆の少女特有の自意識過剰や仲間外れにされることへのすさまじい恐怖が、とにかく詳細に描かれているので…読んでいくと疲れてしまうかもしれない。

    その中で特異な位置にいるのが、安藤の同僚で他人の気持ちが理解できない、言葉通りに受け止めてしまうことを悩む早苗の存在だ。理解されない、してあげられない年月を重ねた末、他人と関わらないことを選んでいた早苗が、安藤には関わっていく。彼女の存在が普通の復讐モノ(?)とは違ったものとなっている気がした。

    そして安藤が咲を試すラスト。咲はどう応えるのか? 本当に反省していれば死ぬことはないと聞き…面白かったですね。ただちょっと都合よすぎな気もしたので(どこがかはネタバレになるので言えないが)、普通に☆3つ。

  • どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう…。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたいという思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生逹の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!

  • 意味深なタイトルに惹かれて手に取った一冊。なかなか良かったです。

    いじらしいほど「いい子」な加奈が、くだらない交友関係のために命を落としてしまうなんて… 自分が安藤聡の立場だったら、我を忘れて咲に復讐するだろうな、と思います。そうした点でどういった結末になるかが気になって、かなり興味を持って最後まで読み進められました。

    一点だけよくわからないのが小沢早苗の設定。アスペルガー症候群ぽい感じですが、この設定の必然性があまり感じられず。作品内のすべての設定に必然性がなくてはならない訳ではないですが、何となく「なんでこの人、こういう設定なのかな?」と疑問に思ったもので…

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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