原爆と戦った特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊(レ)の救援作戦

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024065

作品紹介・あらすじ

マルレ。ベニヤ板製の水上艇で特攻した部隊。秘密部隊ゆえに戦果は秘され、原爆投下直後の広島を救援に奔走した行為は忘れられ、被爆者として戦い続けた歴史は消えようとしている…。彼らの魂を殺してはならない!!

感想・レビュー・書評

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  • 1945年8月から辿ると、
    今年は77年目に当たる。

    あと10年後、となると
    「その当時」のことを「語ることのできる」
    人はほぼ皆無になってしまうことだろう

    特に 戦争にまつわる出来事には
    闇に葬ってしまわれてしまう「史実」が
    どれほどあることだろう

    本書で取り上げられた
    ベニヤ板製の水上特攻艇のことに
    まつわる「史実」がこのように
    世に問われていくことには
    大きな意味がある

    このような力作に出逢うたびに
    いつもドイツのワイツゼッカー大統領の
    「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目になる」
    を思い出してしまう

  • 著者も述べていますが、年々戦争体験者の話を直に聞く機会は失われて行くばかりです。
    本書も刊行から8年ほど経過していますので、証言を寄せてくださった方々も、もう他界されているかもしれません。

    特攻は美化できるものではなく、人の命を駒のように扱った上層部の誤った判断が招いた悲劇です。

    米国との圧倒的な国力の差を目の当たりにしていた現場の兵士や指揮官は、作戦の現実味のなさに気付きつつも『名誉ある死』を信じ込ませられ、海に散っていきます。

    現場の人間の意見は聞かず、最前線の様子を知らない人間が立てた机上の空論がトップダウンで降りてくる。今も日本の体制って変わってないのでしょうか…。

    少し話はそれましたが、本書は歴史の隙間に埋もれてしまっていた水上特攻の事実を記録した貴重な資料です。
    これも上層部の都合で、闇に葬り去られるはずだった事実だと思いますが、証言してくださる方々と著者のおかげで日の目を見ることができました。

    本当に感謝です。

  • 自由を謳歌していた学生か、徴兵され特攻兵として変わっていく様を記録し、特攻という情報が秘匿されたため、二階級特進もなく、原爆が落ちた広島の惨状を救うべく行動し、悲惨な死にゆく人たちを見送り荼毘にふした。見逃せないのは、原爆に関わったことて死期が早まった人たちかいること、原爆に関係することで差別が行われ、差別を回避するために言い出せなかった人たちの存在が今の時代にも繋がっている。

    210.75 人文科学

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著者プロフィール

1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨークの日系誌記者を経て、ノンフィクション作家に。戦争、犯罪事件から芸能まで取材対象は幅広く、児童書の執筆も手がけている。『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』(講談社)は、厚生労働省社会保障審議会の推薦により「児童福祉文化財」に指定される。著書に『妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻』(角川文庫)、『消された一家』(新潮文庫)他多数。

「2018年 『ベニヤ舟の特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊レの救援作戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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