怪獣文藝の逆襲 (幽BOOKS)

  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 86
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024195

作品紹介・あらすじ

有栖川有栖、山本弘、樋口真嗣、園子温ほか、稀代の怪獣マニアたちの筆が生み出すオリジナル怪獣が縦横無尽に暴れまわる夢の競作集。『GODZILLA』『寄生獣』などに参加した田島光二による装画も圧巻!

感想・レビュー・書評

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  • 【内容】怪獣たちが登場する物語を現代の作家たちが描いたら。
    【感想】図書館で見かけ最初ほとんど期待もしてなく借りる気もなかったけど読み始めてみたら思いがけずおもろかったので最後まで読んでしまった。ただ意外に地に足がついてる感じで、もっとぶっ飛んでくれてた方が楽しめたかも。

  • 東雅夫さん編集ということで手に取ってみたら、有栖川有栖さんや山本弘さんといったミステリ畑やSF畑の方も書いていて驚いた。
    んだけど、アンソロジーの傾向として、「怪獣はあるもの/対峙するもの」として描かれていて、絶対的に抗えない存在という畏怖感には欠けていて残念だった。前作がそういったものらしいので、気にしておこうと思う。

  • 怪獣好きの人々が描くアンソロジー。しかしなぜ、怪獣と人間が絡むと、こうも物悲しいものになってしまうのか。

  •  大怪獣が出る短編小説集。

     いかにもなゴジラ的な怪獣から聖獣的なものまで様々。中にはあまり怪獣と関係ないものまであって好みが別れるが、なかなかに面白かった。
     怪獣はやはり強くて大きくて無敵な大怪獣がいい。

  • 樋口真嗣『怪獣二十六号』(25年前に書いた)怪獣映画の企画書。建設技師や自衛隊員が協力して土木機械で怪獣に立ち向かったり、インテリ美人が出てくるあたり…、いや、表紙の「怪獣は常に人間にとって恐怖の存在でなくてはならない」とか「この映画は人間の前に怪獣が現われ、人間は自らの身を守る為に智慧と勇気で闘う、ただそれだけの映画」「我々がこだわりたいのは、「ただそれだけ」にする事なのです。」とか…うん、シン・ゴジラを思い出す。
    大倉崇裕『怪獣チェイサー』怪獣対策が進んだ日本。ヒロインの怪獣省の怪獣予報官・岩戸正美は、封鎖区域で怪獣の動画を撮影する違法行為を行う「怪獣チェイサー」と予期せず協力することになる…。面白かった!シリーズ化してもいいんじゃなかろうか。
    山本弘『廃都の怪神』6歳の頃に漂着し、密林で一人生き残った白人の少年は、ガダイバ教の神に捧げる生贄とされることになるが…。おお…、こういうのもありなのね。
    梶尾真治『ブリラが来た夜』急速に老いた母はある日、自分を山へ捨ててくれ、と言い出し…。なんか懐かしいSF感あるなと思ったら梶尾真治だった。
    太田忠司『黒い虹』転校生は怪獣のいた世界からやってきたのだという。これもちょっとSFっぽい。
    有栖川有栖『怪獣の夢』幼いころから見続けているのは自らの願望を映した怪獣の夢。これも怪獣もの…なのかな。
    園子温『孤独な怪獣』映画監督を目指す主人公は高円寺で暮らしていた。これはさすがに怪獣ものではないだろう…えっありなの?
    小中千昭『トウキョウ・デスワーム』地下トンネルの工事中、巨大なミミズのようなものが発見される。そして現れる謎の少女の正体は…。クトゥルー的ホラーの香り。
    井上伸一郎『聖獣戦記 白い影』元の侵攻に対峙する龍造寺家清は、自分と同じく謎の勾玉の守護を持つ若者と出会う…。元寇を舞台にした…伝奇ファンタジー?怪獣ではない気がするけどこれはこれで面白かった。

    怪獣ものとしては『怪獣チェイサー』が好き。その他枠になるけど『聖獣戦記 白い影』『ブリラが来た夜』『黒い虹』も嫌いじゃない。

  •  怪獣映画はガチのリアリズムがないとだめだ。非現実としかいいようのない怪獣を召喚するにはまわりからリアルに固めていかねばならない。某ゴジラ映画には夢オチのが一本あって子供心にもあれは腹が立ったな。しかしまた、映画においてはとにもかくにも怪獣が出てきて、それが「絵」としてよくできていたら、放射能で巨大化したとかいうしょぼい設定であっても、それだけで説得力を持つ。何しろ人間は視覚をもっとも信じるのだから。
     だから視覚を欠く怪獣小説は最初からハンディを負っているのだと思う。

     本書は『怪獣文藝』の続編。続編といってもそもそもアンソロジーだから、話がつながっているわけではなくて、第2弾ということである。『怪獣文藝』のほうは読んでないのだが。

     で、その夢オチというか、最初から主人公が繰り返し見る怪獣の夢の話で押していくのが有栖川有栖。こういうのもありか。
     怪獣小説でリアリズムを追求すると、怪獣対策の行政組織ができて、というようになるだろうが、それは山本弘の『MM9』シリーズ。大倉崇裕は同工異曲の設定で、しかし怪獣の至近距離で迫力ある写真を撮って売る人々「怪獣チェイサー」を登場させたのが目新しい。
     その山本弘は別種のリアリズムを、かつてあった冒険物語──映画にもあったような、少年雑誌にもあったような──を復興させることで得ようとする。20世紀半ばの密林、怪しい宗教団体、生け贄にされる半裸の少年、そこに現れる巨大生物。ほらなんだか懐かしい。
     冒頭にはいまや特技監督の第一人者である樋口眞嗣が若いころに書いた怪獣映画の企画書が掲載されている。題して「怪獣二十六号」。土木機械で怪獣に立ち向かうのである。
     美しかった母親は50歳を過ぎたころから急激に老婆のように老け込み、山に捨ててくれと言い出すようになった。梶尾真治「ブリラが来た夜」。「ブリラ」の名の由来が面白い。
     怪獣とは少年の破壊衝動の具現化である。そしてそれが現実化したら世界は破滅する。ということを太田忠司はよくわかっているようだ。黒い虹を出す怪獣というのは『ガメラ対バルゴン』を踏まえているのだろうが、作品の暗い雰囲気に禍々しさを添えていて秀逸。
     今度怪獣映画を公開する園子温監督は自主映画時代のエッセイだかフィクションだかわからないものを寄せている。怪獣が登場するのは「怪獣映画を撮った」とほらを吹いているところのみ。
     脚本家小中千昭は東京地下の巨大ミミズをカルトに描くが、ちょっとシノプシス調。
     もと角川書店社長の井上伸一郎の処女作は、時代劇というか元寇の時代が舞台で、『ガメラ』シリーズへのオマージュとなっている。これだけが二大怪獣対戦である。

     以上8編。私は結構楽しんだ。
     怪獣というと、破壊される大都会、応戦する自衛隊がステレオタイプでもあり期待されるところでもあるのだが、それは最初に述べたように周囲をリアルで固めていくことである。ここでも多くの作品がありきたりな現代生活に怪獣を登場させているのは、怪獣にリアリズムを持たせる方策かもしれない。だから遠未来を舞台にしたものとか、スペースオペラ+怪獣といった趣向がないのだろう。
     ただ、「怪獣文藝」の場合、特撮映画とはやはり違う線を追求せざるを得ないのであろうから、私は本書では第一に太田忠司「黒い虹」、次に園子温「孤独な怪獣」が面白かったとしておこう。

  • う〜ん

     読み手の問題かあまりに平坦すぎる文章力なのか、情景が浮かばない。するとおもしろくない。MM9のような迫力がない。きっと登場人物の描き方が薄いからだろう。怪獣に絞りすぎて人間が薄い。あまり人間に凝ってもおもしろくないけど、そのバランスが悪いのかな。

     やはり難しいのかもしれない。怪獣は映画のほうが良いのかもしれない。そのスケールを届ける筆力はかなりのレベルが求められるんだろう。残念。

  • 映画を見ているように映像が浮かぶ

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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