月夜の島渡り (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024720

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  • メディアファクトリーから 2012年11月に刊行された『私はフーイー  沖縄怪談短篇集』の改題文庫版で作者の住む沖縄の島々を舞台にした怪談、奇談の7話で構成される短編集。
    デビュー作『夜市』以来、毎回「どうしてこんな話が描けるのだろう」と感心することしきり。琴線に触れるストーリーは、本編で語られる弥勒節(みるくぶし)を奏でる「胡弓」のようだ。 その旋律ともいえる独特のテンポと文体は、むかし、子供の頃に聞いた婆ちゃんが警句を込めた不思議で怖い怪談風味の土地寓話のような懐かしい「耳触り」がなんとも素敵。
    南方や近隣の島々から渡来して住人と成る独特な民族構成とその文化、そして時代の流れの中に激しく翻弄されてきた土地の歴史。「南国の楽園」と言うイメージに裏側に潜む暗く恐ろしい人間のエゴと自然と共存するために伝えられてきた信仰が絡み合うファンタジー。

  • 沖縄を舞台にしたホラー、になるのでしょうか。
    全部で7編の独立した短編集となっています。

    共通しているのは“異世界”、そして“死の匂い”、
    中でも印象的であったのは“フーイー”の物語。

    転生を繰り返しながら“琉球”を俯瞰する一人の女、
    歴史に翻弄されているとも見ると、なかなかに興味深く。

    なにはともあれ、沖縄に行きたく、なりました。

  •  沖縄を舞台にした怪奇譚を7編収録した短編集。

     各編のページ数は30ページほど。個人的に恒川さんの作品は『夜市』や『秋の牢獄』など長編まではいかなくても少し長めの話が好きなので、どうかなあ、などと読み始める前は思っていたのですが、そんなことを考えてしまってごめんなさい、と恒川さんに謝罪の気持ちでいっぱいです(苦笑)。

     沖縄出身で沖縄在住の恒川さんですが、そのためか各短編の雰囲気や風土が読んでいて自然に自分の中でとても鮮やかに想像されます。

     そして各短編の異界の雰囲気や”魔”の空気感というのも沖縄という世界観に非常にマッチしていると思います。クームンやニョラといった妖怪(?)たちのネーミングも舞台が沖縄であるからこそ、本当にそういう存在がいたのではないか、今でもいるのではないか、と想像させられるのです。

     恒川さんの作品は読んでいると、なぜか安心してその世界に浸っていられるような気がします。決して各作品は穏やかな話ばかりではなく、死や人の罪なども描かれるのですが、それをどこか突き放したように見て、
    そしてそうした残酷な現実と地続きながらも、どこか神話的な美しさ、民俗的な懐かしさのある異界や幻想が描かれるからこそ、そうした安心感があるのかな、と思います。

  • 安定の面白さ。
    「夜市」や「秋の牢獄」はしっとり感のある幻想譚。
    本作は舞台が沖縄ということでカラリとした幻想世界を見せてくれた。
    でも、クームンの家、少年が出会う影のように希薄は女など時折しっとりしたものが滲み出てきてくれる。

    「月夜の夢の、帰り道」が爽やかで好み。
    「ニョラの穴」はホラー「夜のパーラー」怪談的で好み。

  • 現実と想像の境界線が曖昧だったこどもの頃の気持ちになって読んでいた。昔から語り継がれる怪異譚やお伽噺も「そういうものなんだな」と素直に受け入れてしまう、あの素直さだ。

    舞台は沖縄だけれども、異国情緒溢れる空気作りはさすが恒川さん。夢と現の繋ぎ目を綺麗に隠してしまうので、恒川さんの世界に入り込むとしばしば帰ってこれなくなる。

  •  好きです、恒川さん(真顔) 沖縄を舞台に、不気味で不思議な世界を美しく描く短編七作。ニョラやクームーといった聞き慣れない語感の言葉の数々に、柔らかい方言の響き、リアルの中にじわりと紛れ込む幻想の風景、得体のしれない生物やヒトビトの存在感。今作も恒川ワールドにどっぷり浸かりこみました。
     描写や設定が一番好みだったのは「弥勒節」。クライマックスの胡弓の演奏シーンは圧巻です。
     個人的に一番怖かったのは「夜のパーラー」。解説にもありましたが、七作の中で最もファンタジー要素が少ないこの作品で、他のどれより背筋が寒くなりました。

  • フーイーの話、好き

  • 沖縄が舞台の異界譚

    どの物語も楽しめた。
    沖縄の持つ神秘的で奇怪な雰囲気を上手く表現してて、「沖縄ってこういう不思議なところがあるかも」と読みながら実感させられた。
    似たようなシリーズがあればまた読みたい。

  • 恒川光太郎氏の沖縄異界譚。相変わらず異界がとても身近で、暗闇がすぐそばにあるような読了感。暗闇を覗いた後に浮かぶのは恐怖だけではないところも魅力。

    収録作品:『弥勒節』『クームン』『ニョラ穴』『夜のパーラー』『幻灯電車』『月夜の夢の、帰り道』『私はフーイー』

  • 冬に買ったが、夏向きなので、ねかせておいた本。
    「弥勒節」「クームン」と「私はフーイー」が面白かった。
    首刈り男は、ハワイに移民したので米兵となって殺しにくるかと思ったが、そんな事はなかった。
    胡弓の音楽を聴きたくなった。
    沖縄行ってみたいなぁ。

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プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2018年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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