鬼談 (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 302
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024744

作品紹介・あらすじ

鬼とは見えぬもの。鬼とは隠れたるもの。魅入られる人の裡に、鬼はいる。愛とは情欲である。執着に溺れ、永遠に煩悩の虜になる。それを――鬼と云うのだ。九篇の鬼気迫る物語を収めた「 」談シリーズ第四弾。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼は一番、曖昧で見えないわかりにくい存在のような気がする。ここには赤鬼とか青鬼は出てこない。幼い頃は鬼=赤鬼、青鬼で昔話の中だけにあるものと思っていた。

    だけど鬼は形はないかもしれないが、人の心の隙間や、ちょっとした間を狙ってスッと入り込み、じわじわと大きくなっていくもののような気がする。

    「」談、シリーズの中で一番好きな話が多かった。「鬼縁」は数回読んでしまった。構成が絶妙でトリップし、二つの時代を行き来して俯瞰で見ているような劇のような展開に鳥肌が立った。
    「鬼情」「鬼慕」は雨月物語をモチーフにしており、「雨月物語」あらためて読みたくなった。すごく面白かった…というか、古典の力と京極さんの力が交じり合って、グッと世界に引き込まれてしまった。
    「鬼棲」も好きだ。伯母が語る「予感は記憶」「全ての恐怖は予感なのよ」という内容にうなづいてしまう。色も味も香りも記憶も全部、組み合わせがあって…という話が興味深かった。
    「鬼神」は村八分もの。因業、業、因果。一番わかりやすく共感した。
    「鬼交」は間接的なんだけどエロティックでドキドキした。

    とても面白かった。

  • 「」談シリーズ。
    鬼縁はオチは予想できたが、唸らされる。
    鬼景も、自分の記憶の齟齬を怖く思う。
    何度も読み返すことになるのだろう。

  • 愛、絆、情―すなわち執着は、人を鬼と成す。人は人を慈しみ、嫉妬し、畏れをいだく。その思いが強ければ強いほどに。“生と死”“人と鬼”の狭間を描く、京極小説の神髄。「」談シリーズ第四弾となる、鬼気迫る短篇集。(アマゾン紹介文)

    最後が明示されているお話と、そうでないお話。
    どちらが好きかと考えると私は前者で、だから、この一冊はもやもやが随分と残ります。
    どうしても、「なぜ」をつかみたくなる。

    「鬼想」「鬼縁」「鬼気」がよい。
    「鬼気」は、とてもとても厭で、よい。

  • 鬼に関する怪談話。もっとも怖いように計算されたような文章。各文章が不気味な雰囲気が蔓延している。一番おそろしいのは「鬼縁」かな。2つの時代がシンクロして、最後に向かっていく。最後にどうなるかぼんやりとわかっても、その最後の部分がおそろしい。

  • ライトな短編集なんだけど、じわっとヌメっと感覚的に恐怖に近い「快感ではないもの」を感じさせてくれる1冊。

    不快じゃないの。
    でも、快感じゃないし、フラットな気分でもない。

    まさに「この世とあの世の境」にある何らかの気分にさせてくれるような本でした。

    我が家の女性陣は、今ちょうどそんな状況にあるからか、痴呆が始まった親を、好きなんだけど、いなくなってくれないかな…って思う青年のお話が心に残ったそうです。

  • 『冥談』及び『幽談』と同様やはり難解でした。
    ただ「鬼」という主題は身近なだけに気持ちのおさまりは良かったと思います。とりわけ『雨月物語』からの「吉備津の釜」と「青頭巾」こういった解釈もあるのだなと得心しながら読み進めていました。

    「鬼」の語源は「隠」おらぬもの・隠れて見えないもの、という説もあるそうで、本作もこれに基づいた作品だろうかと楽しめました。
    お気に入りは「鬼想」「鬼棲」「鬼気」「鬼神」

  • 「鬼交」えろい。
    「鬼想」八百人の子供の首を斬り落とさなければならぬ程。よかったよかった。
    「鬼縁」弟が生まれた女の子と片腕のない桐生家嫡男の話。面白かった。
    「鬼情」鬼と禅問答。ちょっと鉄鼠を思い出す。
    「鬼慕」雨月物語 吉備津の釜。面白かった。
    「鬼景」こわいですやめてください
    「鬼棲」伯母さんと紅茶を。ないものは怖い。
    「鬼気」健呆症の母への疎ましさと顔を半分隠した女。
    「鬼神」流行り病の村の因業。
    鬼縁、鬼情、鬼慕、鬼棲辺りが好き。

  • 暑くなり始めた頃に読むと、ちょうど良いゾクゾク感(^^;)鬼に引き込まれてアッという間に読み終えた!どの話もジワジワと恐怖がやってくる(゜゜;)これ京極夏彦さんの朗読で聞くともっと怖いんだろうな(>_<)「雨月物語」とか鬼が出てくる古典もの好きで読んでたのに、忘れているから久しぶりに読んでみっか!と思った(^^)

  •  京極の「」談シリーズ第四弾となる[鬼談」。
     鬼交/鬼想 八百人の子供の首を切り落とさなければならぬ程。/鬼縁/鬼情/鬼慕/鬼景/鬼棲/鬼気/鬼神
    の9つの短編集。
     愛、絆、情、そのどれもが過ぎたると執着と化し、人は鬼となる。
     人は人を慈しみ、同苦し、嫉妬し、畏れをいだく。その思いが強ければ強いほどにやがて人は鬼になってしまう。
     そう、鬼とは突然に自分の目の前に現われるものではない。気付いたときに己が姿に、己が命に鬼をみるものであろう。

  • 日常の中で気づかぬうちに貴方の心に忍び込む鬼の影。それは貴方の心を絡め取り、時に貴方の心に黒いシミをたらし、或いは恐怖を植え付ける。でもね、その鬼を生み出したのは他でもない貴方なのだよ。
    逃れられない思いに捕らわれている人こそ読むがいい。人は誰もが心の闇の中に鬼を棲まわせているのだから...

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プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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