- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041025932
作品紹介・あらすじ
旅っていうのは、今の自分を知る時間でもある。今の自分を感じられる時間。自分の性格や自分の興味、価値を感じるものがわかる。2014年9月。バルセロナとパリへ。娘と短い旅行をした時の記録です。
感想・レビュー・書評
-
おもしろかったー。やっぱりパリ行きたくなったー。ヴェルサイユ宮殿とかトリアノンとか写真もきれいで。
ガイドとかいなくて、完全に自分たちだけでの旅で、自力でガイドブックでさがしてレストランに行って、どんなものを注文したかとか詳しく書いてあるのもおもしろい。おいしくなかったりとか。
ほんのちょっとしたことで気分が上がったり下がったり、同行者とちょっとムードが悪くなったりまた持ち直したりとか、実際の旅行ってこんな感じだよなーーっていうのをすごく感じてよかった。
あと、今回の旅行中は、気分が沈まないようにする、だとか、ヘンに後悔しないようにする、とかいうことも書かれていて、とても共感した。わたしも旅行中に、急に気が沈んでしまったり、すぎたことをいちいちああしたらよかったーとか後悔することが多いので。
旅行記っていうと、感激・感動だとか楽しいばっかりだとか、人とのふれあいとか感謝とか、そんな感じのも多いけど、そういうのがなくて、淡々とした感じもすごく好き。もういいや、とか、また今度、って思ったりするところとか。欲張っていないところも好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
752
で、もともと旅好きな私はどこか旅行に行きたいと思うようになった。本当にひさしぶりに海外へ。独身時代以来の感じだ。 昔はよくひとりで旅して写真を撮った。国内だったけど。 北海道や 尾瀬 や沖縄などに。 海外のひとり旅といえば……、行き帰りの飛行機だけひとりで行って現地で知り合いと待ち合わせとか、仕事で滞在していたニューヨークからカナダのプリンスエドワード島へ行ったことぐらい。長距離バスで。あの時はさんざんだった。1週間ぐらいいる予定だったのに確かひと晩かふた晩泊まっただけですっかり気が沈んで帰って来たんだった。5月の末だったけど寒いし、観光バスは6月からしかなくて。とても悲しくて心細かった……。しみじみと思い出す。あの寒さ。自宅の2階の3部屋を旅行者に貸してるかわいらしいお家 に泊まったんだけど、夕食はついてないので町のスーパーでゆでロブスターを買ってきて部屋で食べたっけ。冷たくておいしくなくてますます孤独感がつのり……。予定を早めてもう帰るといったらそのお家の奥さんが「まあ……」と驚いて心配してくれた。
ガウディの父方は代々銅細工師だった。ガウディもそのおかげで「私には空間を感じとる資質がある。銅細工師は平面から立体をつくりだす人間であるから仕事にとりかかる前に空間をイメージする必要がある」と言っていたらしい。不器用な職人にいらだったガウディは職人の手からハンマーを奪い、赤く焼けた鉄をすさまじい勢いでたたきながら怒りもあらわに見事な形をつくりあげていったというエピソードも残されている。だから鉄細工がおもしろい(シュロの葉をかたどった 鉄柵 やグエル別邸の竜のデザインなど)。私は鉄細工が好き。
ホテルへ向かって歩きながら、歩道に植えられている木の幹を見てきれいだなあと思った。モザイクみたいな模様。この木、たまに日本でも見かける。そのたびに好きだなと思っていた。調べたら、プラタナスだった。日本ではすずかけの木というらしい。冬になると丸い実がたくさんぶらさがる。ジグソーパズルみたいな形の模様と緑の濃淡。その模様と色に、心惹かれる。
グエル別邸というのは今まで見たようなお屋敷見学ではなく、塀に囲まれた庭の見学だった。建物内部は最後に荒れたホールをちょっと見ただけ。言葉がわからないとちんぷんかんぷんで、特にガウディに興味のある人でなければ門の竜の鉄細工を外から見るだけで充分というものだった。 失敗……。1時間も雨と退屈を我慢。
彫刻をじっと見ている人を見るといい気持ちになる。なぜなら彫刻をじっと見ている人には静けさがある。 -
旅に出たい。でも出れないときにいい。
これはつれづれと別で出てよかった。
好きなものを熱中して作ることの素晴らしさと、エネルギーを注がれたものの持つパワーの不変性(引用)
この素晴らしさを感じながらものづくりしていきたいものです。 -
久しぶりの銀色夏生
著者プロフィール
銀色夏生の作品





