短歌ください (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 848
感想 : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026045

作品紹介・あらすじ

ルールは、五・七・五・七・七という形式だけ。本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌の中から、人気歌人・穂村弘が傑作を選出。鮮やかで的確な講評が、短歌それぞれの魅力をいっそう際立たせる。詠みたい気持ちを喚起させる実践的な短歌入門書であることはもちろん、言葉の持つ可能性の果てしなさに胸が高鳴る読み物としても刺激的な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌『ダ・ヴィンチ』の今も続いている長寿連載。

    歌人穂村弘がひとり選者の短歌投稿コーナー『短歌ください』2008年5月号から2010年10月号に連載されたものをまとめた単行本を加筆・修正のうえ文庫化したもの。

    陣崎草子さんによる装画のパンキッシュな赤鬼蜂娘が素敵。
    思えば短歌はことばによる革命だ。
    作者の放った三十一文字で一瞬世界の見え方が一変してしまう。
    さらに穂村氏による的確なコメントで、歌の可能性が広がる。
    こうも読めるんだ、と、読者である私の想像力をも拡充してくれるような気すらする。

    俵万智さんの痒いとこにも手が届きそうな、懇切丁寧な解説もいい。

    プチ情報ですが
    帯にも載っている

    「ペガサスは私にはきっと優しくてあなたのことは殺してくれる」

    という恐ろしくも魅力的な歌を詠んだ冬野きりんさんは、今は女子プロレスラー・ハイパーミサヲとして活躍されているそうです。(短歌雑誌『ねむらない樹』情報)
    びっくりしたけれど、じわじわと心を動かされた。
    かっこいいです。

    • ☆ベルガモット☆さん
      5552さん、稲刈りお疲れさまでした!

      情熱大陸を地球のどこかで皆さんと視聴中ということにワクワクしました☆
      「あなたのための短歌」...
      5552さん、稲刈りお疲れさまでした!

      情熱大陸を地球のどこかで皆さんと視聴中ということにワクワクしました☆
      「あなたのための短歌」を悩みながらもちゃんと相手が感激する歌になってましたね 
      言葉のストックが多くてやはり歌人さんなんだあと思いました
      歌人さんの生活感は興味ありました ボクシングなんて意外でしたね

      新しい歌集の直筆サインがほしいなあ
      2022/10/02
    • 張飛さん
      5552、稲刈りお疲れ!

      情熱大陸、見たぜ。短歌の新しい道を切り開いている開拓者って感じでかっこ良かったぜ!

      人間性の良さもにじみ出てい...
      5552、稲刈りお疲れ!

      情熱大陸、見たぜ。短歌の新しい道を切り開いている開拓者って感じでかっこ良かったぜ!

      人間性の良さもにじみ出ていたし、今まで以上に木下龍也が好きになったし、応援したくなったよ。

      番組の情報を教えてくれた5552、ベルガモット、本当にありがとう!



      2022/10/02
    • 5552さん
      ベルガモットさん、張飛さん、こんにちは。

      温かなお言葉ありがとうございました。
      ますます元気でました!

      情熱大陸、皆さんと同じ...
      ベルガモットさん、張飛さん、こんにちは。

      温かなお言葉ありがとうございました。
      ますます元気でました!

      情熱大陸、皆さんと同じ時間に視聴できて嬉しかったです。

      生み出す苦しみを味わいながらも「短歌を作れなかったら生きてる意味があまりない」と、答える木下さんに、創作される方の真髄を見たような気がしました。

      ボクシングは意外でしたね。
      やはり、長く続けていこうと思うと、体のメンテナンスも大事なんですね。

      これからも応援していこうと思いました。

      新しい歌集、楽しみですね☆


      2022/10/03
  •  皆さんご存知の雑誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」。穂村弘さんが選んで講評するこの企画は、2008年から始まり現在も続いており、書籍化も第5弾になっているとのこと。本書は、その記念すべき第1弾です。

     私は、これから本格的に短歌を‥などと、入門書的に高尚な発想をしたのではなく、一般の方々の感性に触れ、選者であるプロがそれにどうコメントするか、に興味がありました。
     意外にも(?)、20代・30代の方の投稿が多い印象ですね。うんうん、おぉ、へーっ、そーきたか、いいねぇ、私の琴線に触れるもの、ちょっと意味不明でも講評(穂村さんは常に温かい!)の妙に感心するもの等々、興味深く読み進められました。
     自分の歌を採り上げてほしい、穂村さんに講評してほしいなど、15年も続いている関心の高さが伝わってきます。

     じゃあ私も! と触発されたかというと、一歩を踏み出せないんですよ。面倒くさがりやなのと、やっぱり言葉を扱うプロのいいものを鑑賞する側でありたい‥、と立派な言い訳で「忍法お茶濁し」。

     例えば、解説の俵万智さん。昔からのファンですが、最も好きな歌の一つ(穂村さんには失礼)

      「散るという 飛翔のかたち
        花びらは ふと微笑んで 枝を離れる」

     こんな美しい短歌を詠まれると、「参りました!」としか言えないんです‥。
     終わりではなく再生の歌、花弁を擬人化し、自ら旅立つイメージは、3月の卒業シーズンにぴったりで、中高生への贐として最高級の言葉の贈り物と思いますが、どうでしょう?

  • 本の情報誌、『ダ・ヴィンチ』の読者投稿企画の連載「短歌ください」を文庫化した一冊。読者から寄せられた短歌の中から、歌人の穂村弘さんが選出し、講評が添えられています。

    読者からの投稿とはいえ、どれも日常を鮮やかに切りとった傑作ぞろい。思いもよらない視点、考えたことのない世界を見せてくれます。
    穂村さんの講評がまた良くて、短いながらも歌の本質に触れるような優しい誉め方が印象的です。こんな講評を頂けるなら、短歌を投稿してみたい! という気持ちになりそう。

    読み進めるにつれ、「常連さん」の名前を憶えてきて、推し歌人みたいなのが出来てくるのも楽しいです。
    私は現代歌人に詳しくないのでわからなかったのですが、解説の俵万智さんによると「投稿者のなかには、その後、歌集を出版したり、歌壇で活躍している人の名前が散見する」らしく、そういった意味でも楽しい一冊なのではないかと思います。

  • どう考えても自分じや思いつかない歌ばかりで感動しっ放しだったし、穂村さんの解説が至れり尽くせりで感服し通しでした。

  • 一瞬の気持ちの揺れとか情景を短歌にして詠むことなんてなかなかできない。
    自分の感情に敏感になれることと、それを言葉で表せられるひとってすごい。

    『歌は言葉だけでできてるから、原理的には、平凡なことをいくらでも面白く表現できる筈なんだよね。にも拘わらず、実際には難しいのは、自分自身の意識の網の目がその言葉を通してくれないため。だから、網の目がゆるいひとの方が有利な面があります。』(テーマ セクシャル)

    2022-17

  • 『例えば、「君から電話がこなくてさみしい」という言葉は、次の瞬間に電話がきたら「君から電話がきてうれしい」に簡単にひっくり返ってしまいます。現実の出来事的には勿論それでいいんだけど、歌としてはちょっと困る。
    (中略)
    「さみしい」や「うれしい」や「こわい」や「むなしい」や「おもしろい」を、五七五七七という定型のなかで宝石のように結晶化させたい。
    そうすれば時が流れて現実の状況がどうても、恋が消えても、つくったひとが死んでしまっても、歌の煌めきだけるからです。』

    という筆者が選んだ、様々な年代の読者が送った単価を集めた本です。

    短歌は教科書で触れて以来でしたが、ほんとうに面白かったです。
    ⚪︎選ばれた短歌に対する筆者の捉え方やこんな良さ
     がある という〝見方〟挟んでくれる
    ⚪︎定型もありつつ自由型も多く、初心者が入りやすい
    ⚪︎作者が様々だからどのページを開いても新鮮に面白
     い

    Twitterとも紙一重の一瞬の感性が、定型や短歌を作るという意識の縛りによって作品になっている感じがしました。
    余白があるから何度も読んで、じわじわとたのしかったです。私も短歌をしてみようと思いました!

  • 短歌をはじめて少したち、
    日記のつもりと独りよがりな歌をつくっていましたが、
    人の歌も知りたくなって本を手にしました。
    予想を超えた変人の歌がいっぱいで、おもしろかったです。
    日常の狂気を歌にし、人の心の奥の
    ドロドロしたところに触れるのは、現代短歌の醍醐味。

  • この間の"家ついて行っていいですか"に出てた東大生が短歌勉強し始めようとしてて、読み返そ〜ってなった作品。(去年、昼休みに何度か読んでた^_^)
    怖い歌はいい歌、なんですよね本当に!

    私が好きな短歌を少しだけ↓
    (といいつつたくさんありすぎて絞りきれず)

    “カーナビが「目的地です」というたびに僕らは笑った涙が出るほど”
    “台所座り込んでは頬寄せた泣いてくれるの冷たい器械”
    “蝉が死んでもあなたを待っていますバニラアイスの木べらを嚙んで”
    “名も持たぬ流星すべり落ちてゆく 海よかれらの自慰をみていて”
    “こんにちは私の名前は嚙ませ犬 愛読書の名は「空気」です”
    “君が今二酸化炭素吐き出した だから私は胸が苦しい”
    “薬より効くのを私知っている コップ一杯あなたの唾液”
    “脱がしかた不明な服を着るなってよく言われるよ 私はパズル”

    短歌もめっちゃ良い上に、穂村さんの講評がほんとにグッとくる。私は語彙力がないから勉強にもなる。家ついて行っていいですかに出てた東大生にぜひとも読んでもらいたい!!笑

  •  読者投稿の短歌を、温かい眼差しで掬い上げる著者の眼差しがとても魅力的。よい投稿作品が送られてこなければ成立しないものはずなのに、著者の添える一言ですべての作品が輝いて見える。この歌人さんは、ご自分もすごい歌を作られるけれども、他の人の歌を見る目もとてもすごいと教えられた。

  • 自分の平凡さにやられる。みんな凄いな。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

穂村弘の作品

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