LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026120

作品紹介・あらすじ

現金を詰め込まれて殺された謎の被害者達。新人女性刑事が大活躍の人気シリーズ最新刊。
===
正月の秋葉原で見つかった不可思議な死体。不自然に重たいその体内には、大量の小銭や紙幣が詰め込まれていた。都内各地で連続して同様の死体が発見されるが、被害者の共通点は見つからない。藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の面々は、警視庁の合同捜査本部でその「リッチマン殺人事件」に取り組むことになったが……。

現代社会の闇が猟奇的殺人と共鳴する、新しいタイプのヒロインが大活躍の警察小説、第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • 藤堂比奈子シリーズ第四弾、「LEAK リーク」
    今作もまた猟奇的な殺人者と比奈子と愉快な仲間達が大活躍だ。過去の事件にて繋がれた環境が崩れないのと、脇役が存在しない事がこのシリーズが愛される理由だろう。
    ....."地味系代表清水の声 {僕もいるよ(小声)

    今回の死体は超重量級だ。物理的な意味で超重たい死体の原因は、体内に大量の小銭が詰め込まれている為だった。ただでさえ異質なこの事件は後に同様の手口を使った連続殺人、通称「リッチマン殺人事件」としてガンさん率いる比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の頭を悩ませる事となる。

    同時に、太鼓屋の絹おばあちゃんと跡取りの佐和、その息子遥人のサイドストーリーも進行するが勿論こちらも目が離せない。絹さんの気高く、しかし孤独で切ない過去が少しだけ垣間見れる。家族の様な固い絆で結ばれた彼女達を見ていると、何故か私も人に優しくなれるような気がする。優しさは伝染するのだろう。

    大好きな解剖医の死神女史は相変わらず検死後にホルモンを食べに行くハードボイルドさだ。
    と、愛を語るが、何度も言うが愉快な仲間たちの緩さに釣られると凄惨でグロテスクな描写に打ちひしがれるのでお気を付けて...んふっむふふ。
    ーーーーーーーーーーーーーーー

    今回はかなり凝ったプロットだったように感じた。「リッチマン」の正体もだが、背景がやや複雑だ。ネタバレ防止で詳しく語れないのがもどかしいが、名前と続柄はしっかり認識しておきたい所だろう。
    限られた新規人物達に着目してしまうのは仕方ないので共に推理を楽しむーーなんて比奈子と読者の愛の共同作業は残念ながら見込めないが、今作もしっかり絶望と憎悪を同時に背負う悲しき業に囚われた犯人に心をキュッとさせられて欲しい。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    今回は警視庁 合同捜査本部にて資料係に徹する厚田(ガンさん)班だったが、やはり最後は比奈子の「思い遣り」の人柄がバラけたピースを集結させる。
    比奈子は確実に通った道で欠片に糸を通しているんだよなぁ。最後に糸をピンッと張ると欠片が集結して大きな塊に変貌する。まるで磁力だ。
    最初は好きになれなかった比奈子が気付けば今は大好きだ。野比先生との安いラブストーリーにアンチ精神働かせていたのに今回はそれが無かったので余計に悶々している。やれやれ、つくづく私という生物は身勝手な生命体だなと痛感した。

    しかし、規模の割に盛り上がりの沸点には至らなかった微妙な不完全燃焼に苛まれている。どうやら今作は次作への大きな通過点なのだろうか...、エピローグにあたる謎の人物と前作「CUT カット」の犯人との文通に心がざわめき立ち、既に意識はそちらに向いてしまっている。

    最後に、東海林ぱいせんのくしゃみが「へべちっ」では無くなり、シンプルなおっさんのくしゃみだったのが地味に悲しい。
    〜「へべちっ」よ永遠に〜
    私の心の中で生き続けるだろう。

  • 八王子西署の猟奇犯罪捜査班というのは通称というか、自分たちで付けたような名称だ。そのメンバーたちの魅力で成り立っているシリーズだが、特に主人公の藤堂比奈子が真っすぐな性格で、物語自体を引っ張って行く勢いに満ちていて、なかなか読んでいて楽しい。事件自体は、大量の小銭と札束を飲まされて殺されるという連続殺人事件なので、えぐいはえぐいのだが、最後は比奈子の涙もろい人情模様に揉みくしゃにされてしまう感じだ。べただなあと思いながらも読んでしまうよ。

  • 今回は体内に小銭や紙幣が詰め込まれている死体が連続して発見される事件でした。

    八王子西署の非公式な猟奇犯罪捜査班も警視庁の合同捜査本部に呼ばれますが、そこの刑事達の受け入れは良くなくー。まあ優秀なチームが他所からやってきたら面白くないんでしょうね。

    猟奇事件捜査と並行して、太鼓屋の絹さんや佐和さんにも寄り添う比奈子さんの優しさにこのシリーズの暖かみを感じます。

  • 第4弾!
    遂に頭角を現してきたな!厚田班!本庁の応援とは名ばかりで、干され状態でも何とかする!
    猟奇犯罪に特化したチームって、怖いけど…
    今度は、口からお金(硬貨とお札)入れられた変死体があちこちで!その名も「リッチマン殺人事件」このネーミング…ええんかな…
    厚田班のメンバーは、それぞれが、個性あって、魅力的で、面白い!
    若い衆は、吐きながら^^;
    まぁ、あんなに比奈子さん、手がかり引っ掛けるか〜?とは言わんとこ(^^)v
    人生、お金ばっかりやないで〜確か欲しいけど^^;
    事件解決と同時並行で、太鼓屋のおばあちゃんの問題も泣かせる。
    今回も一気読み!
    まだまだ、このシリーズ続くので楽しみ!

  • 残りページ数ではもう終盤なのに、まだクライマックスが続いてるんですけど! 終わるの? これ、終わるの? …と思ってる内に終わりました。
    シリーズものって、この1冊を初めて読む人のために説明を重ねたり、前巻までの登場人物があんまり出て来なかったりするのもありますが、このシリーズは地続き感が半端なく、全巻通して読むのがお薦めです。ただ、一気に読むとしんどいです。事件が重い。
    次巻では、二作目の犯人が再登場だよ、という予告で終わりました。読みましょう、続けて。

  • 藤堂比奈子シリーズ4作目。
    体内に小銭を流し込まれた死体というのはかなり猟奇的だけど、今回はいつも大活躍の蛆虫や蠅が活躍してなかったのでグロさはマシだった、かもしれない。
    前作から急にキャラ立ちしてきた倉島刑事がいい味出してます。
    巻が終わればその事件は解決するけど、罪を犯してしまった優しい人たちのことをずっと比奈子が大切に思っているところがいいなぁと思った。エピローグの原島さんとの対話が泣けた。最初は比奈子のことあんまり…と思ったけど、巻を追うごとに好きになってきました。
    そしてラスト…あの人が再登場するのか???
    続きが気になります。

  • シリーズ4まで終了!!
    セリフのタッチが軽いので猟奇的場面も何とか読めてます。(大のホラー嫌いw)
    シリーズ5から某小説の「房子」的臭いがプンプンするので、ちょっと怖い。

    保が気になって仕方ない。
    なんか裏がある気がしてならないな。
    厚田班の面々のキャラが段々と一人一人個性を発揮してきたから、余計に面白くなってきた。
    シリーズまとめ買いしてあるので、毎日猟奇的殺人漬けです。

  • ある雪の日、道端にお札が落ちていた。
    一枚、一枚、と落ちているお金を拾っていったその先には、口からお金を詰め込まれた死体が見つかった。
    今回の事件は捜査一課が主体となり八王子西署もそこの応援に加わる事となった。
    どうやら藤堂のことは噂になっているようで、あちこちから嫌味を言われる厚田班は怒りはするものの、いつも通り地道に、ちょっとの違和感をも見逃さず捜査を進めていく。
    そこから浮かびあがる犯人とは??

    ドラマにはない、太鼓屋のおばあちゃん、絹さんの話がとても良かった。
    一度は捨ててしまった息子、そしてその息子と引き合わせてくれた人物。
    そしてそんな絹さんを心配する佐和さん達。

  • シリーズ4作品目。
    絹さん、老人会、リッチマン。
    この3つのストーリーが1つに結び付いたとき、
    犯人の動機や様々なことがわかってくる。
    ただ、この手の事件にちゃんとした動機はいらないと個人的には思ってしまします。
    警察って協力できない組織なのかねぇ。
    どんなに良い人間でも絶対悪い部分はある。
    この人がこんなことするなんてということは物理的にはないのかなと。
    スイッチやきっかけさえあればね。

  • 読書録「LEAK猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」
    4

    著者 内藤了
    出版 角川ホラー文庫

    p136より引用
    “ 余命宣告を得てホスピスの患者になる場
    合、必ず死ぬという前提で、死亡保険金を生
    前貸与する裏技があるというのだ。比奈子は
    小さくため息をついた。
     それはつまり、最期を迎える時ですら、お
    金が必要ということだ。”

    目次より抜粋引用
    “裕福な死体
     リッチマン連続殺人事件
     警視庁特別合同捜査本部
     リーク
     殺人予告”

     記憶力が極めて高い女性刑事を主人公とし
    た、長編連作ホラーミステリ。シリーズ第四
    弾。
     正月の寒さに耐えながら、ボランティアに
    よる炊き出しを心待ちにするホームレスの男。
    上手くいっていた時のことを思い出しながら
    今をやり過ごしている時、お札が落ちている
    のを見つけ…。

     上記の引用は、知人を心配して行動する主
    人公・比奈子が老人ホームへ調べ物をしに行っ
    た時の胸の内。
    自分に生命保険を掛けるのは、自分の死体
    の後始末の代金を貯めているものなのかもし
    れませんね。静かに死んで骨になるだけで、
    何百万もお金がかかるというのも、どこかお
    かしいと思うのですが。
     人の弱みに付け込む人間と、それに振り回
    される人。いまだに特殊詐欺が無くならない
    のは、何とかならないものでしょうかね。
     人生の残り時間と、それをどう使うかにつ
    いて、少し考えさせられる話でした。ある程
    度年の行った人の方が、面白味を感じる話か
    もしれません。

    ーーーーー

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著者プロフィール

2月20日生まれ。長野市出身、在住。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年、日本ホラー小説大賞読者賞受賞作『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』でデビュー。ほかの著書に『ON』につづくシリーズの『CUT』『AID』『LEAK』『ZERO』『ONE』『BACK』『MIX』『COPY』『BURN上・下』、スピンオフ『パンドラ』『サークル』『OFF』、「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズ『MASK』『COVER』『PUZZLE』『TURN』など著作多数。

「2023年 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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