本をめぐる物語 小説よ、永遠に (角川文庫)

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感想 : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026137

作品紹介・あらすじ

「空想の中でしか、私は生きられないから」――中学時代の八雲にまつわるエピソード『真夜中の図書館』(『心霊探偵八雲』のスピンオフ)、物語が禁止された国に生まれた子どもたちの冒険『青と赤の物語』、ノベロイド研究にのめり込み、「物語AI」におもしろい小説を書かせようと奮闘する高校生の青春模様『ワールズエンド×ブックエンド』など、「小説」が愛おしくなる8編を収録。旬の作家によるバラエティ豊かなアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 「本をめぐる物語」アンソロジーかあ~。このラインナップ、親しみやすいけど当たり外れもありそうだなあ…しかしそれもまた良し!と思って読んでみたんですよ。なんということだ。全部わりと面白いじゃないか。まあ、「本」「物語」が絡んでいるので評価が甘くなっているというのもあるかもしれないけども。びっくり。
    神永学「真夜中の図書館」神永学ってよく目にはするけど、読んだことなかった。思ったよりシンプルでベタな話で嫌いじゃない。しかし「斉藤」やたらキャラ付けされてるけど何者なのだ。別作品の登場人物なのかな。
    加藤千恵「青と赤の物語」寓話チックできれい。ちょっと地の文が親切すぎというか、もっと読者に判断をゆだねてもいいのでは、と思う部分もあったけど、まあ、これはこれで。
    島本理生「壊れた妹のためのトリック」島本さんも読んだことなかったのだけど、なんとなく繊細で感覚的な話を書いてるのかなあ、という印象だったので、こういうミステリちっくなのもあるのか!と嬉しい発見。
    椰月美智子「ゴールデンアスク」おもしろかったです!西園寺さゆり、おもしろい。『ゴールデンアスク』読んでみたいなあ。
    海猫沢めろん「ワールズエンド×ブックエンド」海猫沢さんだぞ、と覚悟を決めた上でわくわくしながら読んだけども、おお…なんと、普通に面白いSFだー!「いま、あたしはクラスのなかでひとり冷戦状態なの。旧ソビエトって感じなの」「だから外交してるところを見られたくないの」のくだりがやけに好き。
    佐藤友哉「ナオコ写本」佐藤さんだぞ、と覚悟を決めた上でわくわく(ry、まっとうに楽しめた!いやあ、佐藤さんはたまにスピードについていけずに置き去りにされることがあるのだけど、今回は大丈夫だった。もちろんオカシイところがないわけではないけど、呑み込めるレベル。全くなくても寂しいですしな。
    千早茜「あかがね色の本」ぴゅあー!ああ、はい、すみません、私もその本好きです。いやあ美しい。
    藤谷治「新刊小説の滅亡」ふむふむ。過去作品の掘り起こしはやって欲しいですよねー確かに。過去の作品だけでも読みつくせないほどの量があるだろうなあ…。しかし、それでもどうしたって新作を読みたい作家さんはいるし、待ち続けている続刊はあるし、何より私は日々消費されるくっだらなーい小説が好きなのだ。
    どれもある程度おもしろかったですが、うーんそうだなあ、「ゴールデンアスク」「ワールズエンド×ブックエンド」「壊れた妹のためのトリック」辺りが特に好きかなあ。

  • 本の力で救われる。
    そこには自分によく似た人や、自分を救ってくれる人がいる。
    自分を救ってくれる人は自分を希望へと連れ出してくれる人ではなく一緒に絶望の中にいてくれる人のこともある。
    正しいものが全てを救うわけではない。
    信じたい言葉の力はあるけど、自分の人生も正しくない言葉を重ねている気がする。
    そしていつの間にかその言葉が言霊になり本当になることもある。

  • ダ・ヴィンチ2014年5,11月号、2015年1,3,4,5,7,8月号掲載の8篇に加筆修正した、2015年11月刊のアンソロジー。シリーズ3作め。真夜中の図書館:神永学、青と赤の物語:加藤千恵、壊れた妹のためのトリック:島本理生、ゴールデンアスク:椰月美智子、ワールズエンド×ブックエンド:海猫沢めろん、ナオコ写本:佐藤友哉、あかがね色の本:千早茜、新刊小説の滅亡:藤谷治。サイコパス的人物が登場する島本さんの話は、怖くて、インパクトがありました。海猫沢さんは、SF的アィデアが秀逸で楽しめました。

  • 雑誌「ダ・ヴィンチ」に掲載された「本」がテーマの短編をまとめたアンソロジー。作品の並びとサブタイトルとの絡みが秀逸。
    千早茜「あかがね色の本」がよかった。「ダ・ヴィンチ」読者の共感を必ず得るだろう思春期の心の揺れの描写が良い。名が伏せられているが読者がみな分かるだろうあの作品の使われ方も、共感を後押ししている。

  • 「赤と青の物語」と「あかがね色の本」が印象に残りました。この2作品は再読したい。

  • 『本をめぐる物語』はシリーズで、『小説よ、永遠に』は3作目にあたる。
    収録作品はすべて『ダ・ヴィンチ』に掲載されたもの。
    『ダ・ヴィンチ』の作品は一風変わったものが多くて苦手だ。
    案の定本作も違和感を感じる作品が多かった。


    神永学「真夜中の図書館」
    同著者の『心霊探偵八雲』のスピンオフ。
    表紙帯でもそれを売りにしている。
    しかし、巻頭にはふさわしくない、あまりにもひどい内容だった。
    ストーリーは何番煎じかもわからないような話で、文章はプロットそのまま、もっと悪く言えば箇条書きのよう。
    この作品を読んでしまったら、メインストーリーの『心霊探偵八雲』を読もうとは絶対に思わない。


    加藤千恵「青と赤の物語」
    著者は私と同郷、北海道出身だそう。
    なので、勝手に期待して読んだのだが、星をつけるなら3つというところ。
    本が規制された世界という設定が今ではあまり珍しくなく、既存作品から抜け出せていない。
    本を読んだ時に「自分のことが書かれている」と感じる青と、登場人物の「自分とはまるで違う、自由な言動」に驚く赤の反応の対比はよかった。
    真逆のことを感じているはずなのに、そのどちらも体験したことが私にはある。


    島本理生「壊れた妹のためのトリック」
    ミステリのようだが、結局真実はどういうものだったのか?
    母親の虐待があった?
    それはさすがにありきたりすぎて、もっと衝撃的な真実が隠されているような気もするが、そんな深読みは必要ない作品のようにも思える。


    椰月美智子「ゴールデンアスク」
    「ダ・ヴィンチ」らしいが、そんなに嫌いになれない作品だった。
    味のあるわけのわからなさ。
    感動するとか読み返したいとかそういう作品ではないが、うん、「味がある」という一言に尽きる。


    海猫沢めろん「ワールズエンド✕ブックエンド」
    物語AIのお話。
    SF×本というワクワクの設定だが、ラストが不満。
    どうしてこの流れからそのメッセージになる?という違和感。
    あと、AIが書いた小説を登場させれば面白そうなのに。
    山本弘さんならその方法で連作できそう、と思ってしまったところで、素直に違う本を読もうと考え直した。


    佐藤友哉「ナオコ写本」
    何を伝えたい話だったのか・・・・・・。
    この作者も北海道出身だそう。残念。


    千早茜『あかがね色の本』
    この短編集の中で間違いなく一番。
    シンプルな構成だが、短い中で思春期をうまく描いているし、読書体験が現実と結びついた時の感動がよく伝わる。
    実在する「あかがね色の本」は中学生の時に読んだはずだが、ほとんど覚えていない。
    芸術的な装丁のあの本をもう一度手にとってみたい。
    この作者も北海道出身。さすが。


    藤谷治『新刊小説の滅亡』
    出版する側が自らを規制していくという設定は面白いが、その理由に納得がいかない。
    可能性としてはわかるのだが、反論の余地を潰す気が感じられないのが気に食わない。
    ただ、ラストの問いかけは「自分にとって小説とは何か」を考えるきっかけになった。


    全体的に不満なのは、『本をめぐる物語』なのに、本に関わりのある作品が少ないこと。
    舞台が図書室とか、有名作品の名前が出てくるとか、そんな程度で満足すると思うな。
    コンセプトに沿って編集するのなら、もっとしっかり固めてほしい。

  • 読了。

  • 神永学『真夜中の図書館』
    加藤千恵『青と赤の物語』
    島本理生『壊れた妹のためのトリック』
    椰月美智子『ゴールデンアスク』
    海猫沢めろん『ワールズエンド×ブックエンド』
    佐藤友哉『ナオコ写本』
    千早茜『あかがね色の本』
    藤谷治『新刊小説の滅亡』

  •  このアンソロジーに収録された、藤谷治の「新刊小説の滅亡」のみ読んだ。
     ツイッターで小谷野敦が「これに芥川賞をあげたいくらい」と絶賛し、栗原裕一郎もホメていたので読みたくなったのだ。

     なるほど、これは傑作。しかも、「現役の小説家がこんな話を書いて大丈夫なのか?」と心配になるような「ヤバイ傑作」だ。

     近未来のある日、日本の文芸誌、小説誌がいっせいに廃刊する。のみならず、出版社がいっせいに新刊小説の刊行をやめる。
     なぜなら、新刊小説を刊行しても何の意味もないし、文学にとって有害だから(!)。

     ……と、そのような度肝を抜く設定の短編である。

     新刊小説の廃止が決行されてから起きる出来事の数々に、ぞっとするリアリティがある。
     各出版社は過去の名作に注目が集まることでむしろ潤い、才能ある作家たちは他のコンテンツ業界で引っ張りだこになるから、無問題。才能なき作家たちが淘汰されて消え去るのみなのだ。読者の側も、新刊小説が出ない世界にすぐさま順応する。
     要は、新刊小説など出なくても誰も困らないのだ。

     文芸業界をめぐるタブーに踏み込んだエンタメ小説としては、東野圭吾の「小説誌」という傑作短編(『歪笑小説』所収)があるが、それに勝るとも劣らない。

     藤谷治の小説を読むのはこれが初めてだが、ほかの作品も読んでみよう。 

  • 物語が禁止された世界、AIに小説を書かせる試み、変わり者の小説家との出会い…。
    八人の作家による、本をめぐる物語。アンソロジーの第三弾です。これまでに読んだ二冊も個性的なお話が多かったけど、本作もバラエティ豊かな内容で楽しく読みました。
    ちょっと苦手だと思っていた作家さんの作品が一番面白かった。意外で嬉しい発見でした。

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著者プロフィール

かみなが・まなぶ
1974年山梨県生まれ。日本映画学校卒。2003年『赤い隻眼』を自費出版する。同作を大幅改稿した『心霊探偵八雲 赤い瞳は知っている』で2004年にプロ作家デビュー。代表作「心霊探偵八雲」をはじめ、「天命探偵」「怪盗探偵山猫」「確率捜査官 御子柴岳人」「浮雲心霊奇譚」「殺生伝」「革命のリベリオン」などシリーズ作品を多数展開。

「2021年 『青の呪い 心霊探偵八雲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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