完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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本棚登録 : 4783
レビュー : 429
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026144

作品紹介・あらすじ

単行本未収録連載100ページ以上! 雑誌『ダ・ヴィンチ』読者支持第一位となったオードリー若林の「社会人」シリーズ、完全版となって文庫化! 彼が抱える社会との違和感、自意識との戦いの行方は……?

感想・レビュー・書評

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  • わたしにとっての読書の体験というのは、一言で「趣味」と片付けるにはもったいないもの。時に、楽しい旅行や辛い現実よりも、重厚な体験として、心の中に残ることがある。その体験は、何事にも代えがたい、とても貴重で個人的なもの。
    普段、わたしはそれを、小説から得る。だからこそ、それが長く続くと疲れる。
    ここ最近、そういった重めの読書体験が続いていて、ちょっと疲れ気味だったので、サクッと読める作品をと思い、拝読。

    エッセイは、そんなに読まない。嫌いなんじゃない。
    好きな作品があって、好きな作家さんがいて、その先「もっとこの作家さんを知りたい」と、そんな風に思った時にエッセイを手に取る。だから、作品から作品を渡り歩くような読書をするわたしは、なかなかエッセイにたどり着かない。

    しかしだ、ここで言うことはなかったけれど、わたしは毎週土曜日はリアタイで「オードリーのオールナイトニッポン」を聴くほどのリトルトゥースだったりする。(※リトルトゥース=オードリーのオールナイトニッポンのラジオリスナー)
    特に若林が大好きで、彼のものの見方や感じ方には、首肯しまくっている。
    この作品を読むなら今しかない、と思った。
    読みだしたらあっという間だった。そして、爆笑した。通勤電車で読んだらダメなやつだった。マスクをしていてよかった。かといって、「笑っちゃうから家で読もう」ができないくらいに、続きを読みたくて仕方なくて。読了後、様々なエッセイを検索して、本棚登録した。

    社会や人に対する見方がとにかく斜め上からで、社会や人から見られる自分自身はとにかく自意識過剰。
    芸人として下積みが長かった若林が、一気に売れたことでぶち当たる、社会人との距離感。社会の中にある「どうでもいい」「めんどくさい」慣習。下積み時代に芸人仲間といるコミュニティでは意識することのなかったことが、売れることで、意識しなければならないこととなる。例えば、目上の人に対するお酌や、言葉の選び方。
    ただでさえ自意識過剰でネガティブで人見知りの若林が、社会人と関わりながら、少しずつ、社会というものに慣れようと足掻いていく、その軌跡。

    刺さったフレーズを少しばかり。たまに独り言が挟まります。
    P142「これまでぼくは起きもしないことを想像して恐怖し、目の前の楽しさや没頭を疎かにしてきたのではないか?(中略)ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ。」
    →そうそう。スーパー落ち込んでる時に松岡修造見たって、全然元気でないもんね。
    P148「みんなそれぞれに自分の感覚を信じているからこそ、そのプライドに対しては慎重に接しなければいけない。」
    P156「時と場合で、自分の趣味や感覚を押し引きする。好きなものは好きでいいじゃない!そうはいかない。好きなものを好きでいるために、自分の感覚に正直でいるために場を選ぶのである。」
    →これはグッときた。この作品で一番の名言かもしれない。
    P165「ぼくの場合は我見からスタートして結局通念に着地する。で、全部ぼくの間違いでした。と反省する。そんなことがぼくの人生にはすごく多いのだ。」
    →これはわたしの人生にもすごく多い(笑)お金より愛情だとか思ってたけど、やっぱりお金は大事。
    P168「散歩しながらニルヴァーナを聴いても、公園のベンチで『ヒミズ』を読んでも以前のように心がざわつかない。ざわつかない代わりにぼくの心の真ん中には『穏やか』が横たわっている。」
    →わかる。わたしも桜庭一樹さんの作品を読んでも以前のように心がざわつかない。でも、代わりに吉本ばななさんの作品を読んでしっくりくるようになった。
    P180「状況がダメなのではなくて、状況をダメと捉えてしまうことがダメなのだ。」
    P239「ぼくらのような人間は、ネガティブで考えすぎな性格のまま楽しく生きられるようにならなきゃいけないんですよ。」
    P259「自分に自信がつくと、一人で生活ができる。一人で生活ができるようになってやっと人と付き合えるんだなってことに初めて気付いた。」
    →ちょっとしたマインドフルネス!
    P296「愛のない他罰をする人は自分を肯定できていない。」

    とまあ、いくつか独り言とともにお送りさせていただきましたが、この、若林の気付きの部分に至るまでのエピソードや言い回しも本っっっ当に最高で!笑いをこらえきれないのです。そちらにもご注目!
    今週はオールナイトニッポンがスペシャルウィークで、来月はこの作品の次に出版された作品「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」が、ついに文庫化!

    もっともっと、エッセイを読もう。
    いつもしかめっ面で読書をしがちなわたしですが、これからはもっともっと、本を読んで笑おう。

  • "例えば、スタバでiPadを横に置きながら『1Q84』を読んでいる女性を見て「うわっ!」と思ってしまう。例えば、美容室で「木村カエラみたいな感じで」と言っている人がいたらぼくは「マジか!」と思ってしまう"
    若林のこの女性像にどんぴしゃりとハマってしまっている私だけど笑、これはほんと、若林が好きになる本。笑

    想像以上になかなかにこじれてるけど、わかりすぎる。と何度も強く肯く。ひねくれさの振り幅が気持ちいい。そして、響くフレーズが多くて唸った。



    ●人生は黒髭危機一髪のようなものだ。
    穴を埋めていって、真ん中のおじさんを飛ばす(成功する)ことを目指す。なかなか結果はでない。
    でも。
    何かをして何も起こらなかったとき、何か起こる可能性が上がっている。


    ●ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ。


    ●大丈夫だよ、って。ただ言われたいだけなんだよな。 

  • 実は私、オードリーのファンです!
    特に若林君がいい!!

    そんな若林君おススメの本ならきっと好きなはず!
    と、【教団x】にチャレンジして、挫折したという、苦い経験があるのですが…
    しか~し、ファンと公言するからには、若林君のエッセイは読まなくちゃね!
    普段、「人見知り芸人」、「女の子苦手芸人」と自称している彼。
    オードリーがブレイクした当初は、春日の存在感の陰に隠れ、「じゃない方芸人」と言われていた彼。
    自意識過剰な彼。
    そして、自他ともに認める「読書芸人」でもある彼。
    「帯が書きたい!」と言っている彼。
    最近は又吉先生にすっかり持っていかれていますが…

    そんな彼のエッセイ。
    面白かったです!
    ますます若林君から目が離せません~(笑)

  • 朗らかで常識人なのかななんて思っていたら、こんなに色々不自由な考え方をするめんどくさい人だったんですね。自分が昔持っていたような青臭くめんどくさい感性をずっと持ち続けたまま、大人になってしまったようです。なので共感できるけど昔の自分と重ね合わせの話なんです。現在進行では共感要素無いかな。
    それでも所々今でも自分のどこかで持っている、めんどくさく、理屈っぽく、誰かに依存しつつもそれを絶対に気取られたくないという感性にぴかーんと反応する事があるのです。これは明るい青春を謳歌してこなかったからこその共感ではないか。そう意味では暗い青春を送った者だけが持てる優越感かもしれません。
    春日はひたすら明るくてずっと幸せいっぱいというのもびっくり。あのキャラってそのままなんですね。それもすごい。

  • きっと自分に自信があったり
    変なプライドはなく素直に生きてきた(?)人には
    理解し難い考えとかあるのかもだけど
    人間らしいというかネチョっとした部分を上手に取り上げてたり
    例えとか解釈の仕方が若林さんらしく
    すごく好きだったなぁ〜
    なんか自分嫌な人間だなって思ってたこととかも
    自分だけじゃないんだなぁとほっこりしたり
    そこまで考える?(笑)ってこととかも逆に一つの物事に対して
    深く思考している証拠なんだろうなって
    自分にない点で羨ましくもあったなぁ〜
    よく考えて(本を読んだり)アウトプットして(ネタ帳なりノートによく記録しているんだなっていう印象)自分と上手に付き合っているなぁと勉強になった

  • 社会人大学人見知り学部 卒業見込み
    若林正恭(オードリー)

    最近、寝る前にオードリーのネタを見たり、オードリーのオールナイトニッポンを聞くのが日課になっている。なぜ、ここまで自分がオードリーに惹かれるのかわからないけど、なんとなく見たり聞いたりしている。自分自身、人見知りというのかわからないが、大人数(というか苦手な人とかわかりあえなさそうな人のいる)の飲み会が苦手で、いつも少人数の気の合う友達とずっといるのが好きだ。旅行も最近ずっと一人旅だし、何となくさみしくもない。自意識過剰で、いつも美容院では「モデルと全然顔違くない?」とか思われるのが怖くて、これにしてくださいとか言えないし、カフェでの基本的には必要な情報「アイス豆乳ラテSサイズでレシートなしで、あとTポイントカードも持っていないです。」を早口で言ってすぐに席に着く。冒頭を読んでとても共感することが多かったので、読んでみるととても面白く、気づいたら土日で読破していた。
    もともとは、コラムを書籍化したもので、3.4ページくらいで一つの小話が終わる。すごいと思うのが、言葉のチョイスと、毎回しっかりオチがついていることだ。「牡蠣って生きてて何が楽しいのかな」というところから始まり、いろいろな話を経て「牡蠣すげえじゃん」となって、最後に「結局はがして食べたけど」で終わるような絶妙な感じのオチ。毎回、フランソワーズ・サガンの「悲しみよ、こんにちは」というラストを読んでいるような、あのぞわぞわってするオチ。読んでいてなんとなく爽快な気分になる。あとは、下積み時代に、馬鹿みたいに毎回ふざけていたことが、今活きているという話が好きだった。ネタ合わせと称して春日と集まって市民プールで潜水していた話から、春日はその後フィンスイミングで日本3位になったこととか、セレンディピティという感じでとても面白い。
    以下、好きな言葉の抜粋
    「ネガティブから抜け出せない仲間がいたら(中略)本当に大丈夫かの信ぴょう性はどうでもいい、まず大丈夫だという。そして、行ったことにより生じる責任を負おう」
    「大丈夫ということから大丈夫は始まるのだ」
    「わざわざ怖い思いをする為に時間をかけて並ぶ。絶叫しながら乗る。二度と乗りたくないと思う。でも充実感がある。だから、また次のジェットコースターに並んでしまう。仕事もそれに似ているという」 (仕事を好きでも、やっぱり仕事に行く前は何となく憂鬱になるもの。というお話。)
    (黒ひげ危機一髪と人生の親和性について)「今がベストかはわからないけど、他人の樽からおっさんがバンバン飛んでいるのを横目に剣をたくさん刺した記憶はある。そして、今の漫才の形が受け入れられた時、ようやく手元にある一つ目の樽からおっさんが飛んだんタと思う。」
    「何かをして、何も起こらなかった時、飛ぶ可能性は上がっている」
    「やっぱり操作を覚えている最中は全然楽しくなかったし、大変だった。(中略)いま、操作を覚えている最中なのか操作を覚えた後なのかを把握できればそんなに悩むことはなかったのにな。そういうのって、えてして後になってわかることだよね」

  • テレビ出始めた頃は、「じゃない方芸人」なイメージだったけど、最近はテレビやラジオで話してるの見ると、この人絶対頭いいし、なんか好きだなと思ってて。読書好きでもあるし、どうしても読んでみたくなりました。

    人見知りで中二病だった彼が、本当にタイトル通り社会人として成長していく様が分かって、とても面白かったです。大人になるのを良しとする部分と、それと引き換えて何かを失う寂しさと。とてもよく分かります。

    被害妄想気味だし、ネガティブで考え過ぎなタイプだと思いますが、自分と似てる部分もあって、共感しまくって。でも私も同じようなこと感じてたけど、こんなに言葉にはできない。自分でこれだけの結論に達する彼はすごいなと思います。

    読書好きなだけあって、文章も読みやすいです。文章が上手いのか共感からなのか分かりませんが、何度か泣きそうになりました。

    エッセイでこんなに共感したことないかもしれないってぐらい面白かった。彼がこれを書いたのと同じぐらいの歳で読めたのも、大きいかもしれないです。

    歳を取ったらこんなに共感できないだろうし、近いうちにまた読みたいなと思います。

  • 読みやすかったしおもしろかった!
    何年にも渡って思ったことを書かれてる分ラストが余計に染みた。いい言葉がいっぱいあった。
    終始わかる〜って思うことがたくさんあった、私も大人になりたいな。

  • あーなるほど面白かった。
    自己啓発かエッセイか、読む人によって読むときによって違いそう。わたしはちょうど20代後半、人見知り学部に籍はあるけどって感じで、1年目の若林ほどではなかったけど途中5年くらい経過するとあっという間に抜かれてしまった。

    というかおっさんになり過ぎてないか最後。そんな様子を見て『こうはなりたくない』と思って若い人が尖るのに。

    体力がないから悩めなくなる、という逆説的なこと、そして結果を若い人は気にしすぎて結果が出なくて迷走してしまうということ、結果じゃなくて過程が大事だから『自己ベスト』でいいということ。そのあたりが印象的。

    人生は短距離走じゃなくてマラソンだということとか、そうそう、それで続かなくて困ってるんだよ!とひとりごちる。
    (ちょうどちょっと前に売れたての若林のようなたくさん新作ネタ作らなきゃ!的な追い詰め方をこじらせて死にかけていた)

    でも最後はおとなになってしまった若林。
    わかったふりすんなよ!と言うほど自分も若くなく、かといって納得できるほど年でもない。いい時に読んだのかなぁと思う。
    ていうか若林は人見知りとか不器用っぽさをアピールしてるけどそれぞれの時々でうまくヒントを掴んだりアドバイスもらったりして意外と器用よな!!!と思うよ。ネタづくりのTくんと比べても。心療内科通ってる自分と照らし合わせても。

    あとはお笑いやる人が人間不信、という話が印象的だった。笑いに興味がある人って全般そうかも。なんか暗い感じがピエロのこわさみたいな感じがあるのかも。コンプレックスが強い人ほど面白かったりする。

    わたしは自己肯定感が薄いわけではなくてそこそこ自分大好きなんだけどそれよりもそれを上回る勢いで自己否定感が強い。でもそんなところが好きだしずっとこのままでいたいなあと思う。若林よりこじらせてもないし器用でもないけど、そんな自分が好きなのでコツコツ自己ベスト更新してこうと思いました。

    この本いい本。

    あとだいたい若いときにこじらせてた男の人はそれを後から恋しがったりする現象があるのが惜しいなぁと思う。なんかそこからもう一歩進んでほしい。おじさんがんばれ。若林になれなかった若林もちょっと見てみたかった気がする。

    このあとは山ちゃんのエッセイも読もうと思っていたらちょうど若林と山ちゃんと似てるという話とか出てきて、より読む気になった。楽しみ。

  • かっこいい言葉を最低限しか使わないのに、ここまで心に刺さるとは。

    この世にいて良い理由❶何かをしているから存在していいということ❷生まれてきたら何の理由も無くその世界に存在していいということ。
    最近一つ一つの行動、時間に意味を探しがちだった。
    意味がないのでは無く、意味がないからこそせっかくだから楽しいことをするのだ。

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著者プロフィール

若林 正恭(わかばやし まさやす)
日本のお笑い芸人。「オードリー」のツッコミ担当だが、当初はボケだった。
2013年に初の著作にして代表作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』を刊行し、2017年『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を刊行し第3回「斎藤茂太賞」を受賞している。2018年8月、『ナナメの夕暮れ』を刊行。
趣味多数、その中に読書と本の帯収集がある。「アメトーーク!」人気企画「読書芸人」の常連。

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