小説 言の葉の庭 (角川文庫)

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  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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本棚登録 : 992
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026151

作品紹介・あらすじ

雨の朝、高校生の孝雄と、謎めいた年上の女性・雪野は出会った。雨と緑に彩られた一夏を描く青春小説。劇場アニメーション『言の葉の庭』を、監督自ら小説化。アニメにはなかった人物やエピソードを多数織り込んだ。

感想・レビュー・書評

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  • 映画『言の葉の庭』が好きで小説も気になっていたので、読みました。

    まず、目次を見て「秋月孝雄」「雪野」以外の名前が並んでいることに驚きました。てっきり、秋月君と雪野さんの2人の視点を書いているのかと思っていたので、目次を見ただけでワクワクしました。

    映画は何十回と見ているので、秋月君と雪野さんに関しては、小説の掛け合いを見ながら、こんなかけないなかったなとか、こんな思いだったんだと新しい発見がありました。特に、雪野さんの心理描写は少し意外だな思い、でも雪野さんも普通の人間なんだなっと気付かされました。映画では謎めいた女性像が最後までつきまとっていて、どこか違う世界の住人のようなところがありますが、小説版を読んですとんとはまりました。

    映画では語られていない部分も多くありました。特に、伊藤先生、相澤先輩は映画で憎まれ役となっていますが、小説版を読んで、自分が同じ状況下におかれたら彼らと同じ選択肢をとる可能性もあるなと思い、少し見方が変わりました。人の不器用さと、人と人とで伝わらないことの多さを思い知らされました。

    「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから」、そんな人間味がないようで、すごく人間味がある言葉が、言の葉が心にしみる1冊でした。

  • こういった作品に宝石のような瑞々しい愛おしさを感じながら、やっぱり自分は日本人なんだなと思う。言葉が落ちてきて胆の中から、溢れて止まらないくらいの感情が生まれていく。

  • 今も昔も変わらずに言葉にならない思いを必死に言葉に託す。
    相反する気持ちは本当は同じところにあってそれは言葉にできない、だけど言葉に託すしかない。
    埋没したい個性ほど前に前にと露わになってしまう。
    そんな自分は本当に誰かに求められているのか、誰かと繋がることはできるのか。
    そんな不安を感じるのは目に見えているのはその人の一面でしかないから。
    同じように自分が見せているのも自分の一部でしかない。
    それなのに全てを理解してほしいと願ってしまう。
    だけど一瞬の繋がっているあの瞬間、あの景色を求めて生きている気がする。
    それはあの東屋で足に触れた瞬間であり、裸足で雨の中マンションの階段を駆け下りたあの瞬間だと思う。
    映画ではわからなかった視点で描かれる小説はより世界観を楽しめた。

  • 映像の原作、ではなく、ノベライズだということを自分の中で強調しておきたい。

    映像だと簡単に嫌いになれた伊藤先生や翔子や孝雄の母親のことも、本で描かれることで愛着を持ってしまった。それぞれがそれぞれの事情を抱え、誰もが愛おしくて嫌いになれない。特にお母さんの怜美。立派に母親やってる、でもやはり若い女の部分は捨てきれずに孝雄の恋相手の年齢を見抜くところがかっこいい。

    君の名は。のネタがちょくちょくここから来ていることに感動。

  • 「君の名は。」が良かったので今度は「言の葉の庭」を。光の庭での二人のシーンがとても綺麗でもっとずっと雨が降り続いてくれればいいのにと思うほどでした。雪野さんは秋月くんに「救われていた」と言うけれどそれは秋月くんも同じじゃないかな。秋月くんが作ってくれた靴を履いて二人で歩いて行ってほしいと思うけどどうなるかな?恋愛じゃなくてもいいから二人の関係がこれからも続いてほしい。

  • 新海誠ファンで、映画も既に見ていて大好きなこの作品。
    いやこれめっちゃいいな。
    映画では描かれていなかったそれぞれの登場人物の出来事や思いがここで知ることができる。それもただのノベライズや番外編じゃなくて、描写がとてもいい。そしてそれぞれの章の終わりに万葉集の歌の引用が載せていることで、人物の気持ちをより表している。
    そもそも万葉集と現代の恋を結びつけて描くあたり新海誠はすごい。し、作家としての新海誠の才能もよく感じられた1冊だった。他にも小説書いてほしいなぁ。

  • 子供だと踠き唇を重ねた少年は、大人だと泣いた少女に忘れられぬ傷を残し、一季節に終わりを告げました。出来なかった少女が大人になった自分をおかしいと笑った時、そんな事ないよと抱きしめて欲しくて本当は泣いていました。誰かを本気で愛しく想い胸を締め付けられた名も無い感情も、涙を流す度苦しく美しいものだと学びました。愛は大人になれば解るというものでしょうか。声を枯らし母を呼ぶ幼子、自ら傷付き火の粉を浴びても守り抜く心、孤独の本当の意味を知っている人、私はそれらも愛だと呼びます。僕が秋なら君は冬を報せる雪。君が雨なら僕はずっと傘になろう。君の歩む道を照らせるような、そんな優しい靴を作ろう。

  • 高校生の孝雄と、雨の日だけ新宿御苑で会う女性の話を軸に、誰にでも起こり得る人の弱さと成長の話。
    孝雄の家族やその周辺の人たちの目線で描かれた短編が合わさり、最後にまた孝雄と雨の日の女性との話につながって行く。
    それぞれの章ごとに、その話に合った万葉集の和歌が描かれ、それが情景を美しく古めかしい感じの雰囲気を出している。
    テンポや動きがほもんどない話。
    会話よりも、その章の主人公の心の中が描かれている独白のような文章が多い。

  • きれいなきれいなお話。映像美が想像できる、清らかな空気が、この物語のキモとさえ思える。
    それなりの厚さのある本だが、さらさら読める。情景描写が巧みで、登場人物の心や感情の機微が丁寧で分かりやすく、素直に入ってくるから(安易という意味ではない)。

    「君の名は。」よりもずっと静かな空気を纏う作品で、どんな年代でも読みやすいと思うけど、ちょっと大人向けかなと思う。
    15歳の少年の大人になろうと足掻く不器用さ、27歳の大人なのに周囲や自分が求める大人になれない息苦しさ、自分の心を追い詰め追い詰められ歩けなくなる不自由さ、子供の方が自分を追い越してオトナになっていってしまう様なもどかしさ、そういった物が詰まっていて、みんなどこか不器用で、大人はみな自分の経験と重ねて、ちょっと心がキュウとなるのでは。
    万葉集が使われてるあたりも、切なさを醸す一助かな。
    アニメ未鑑でも頭の中に映像がくっきりと表現されるのは、映像がお仕事の方がおこした文章だからなのか。

    いつ人物の心が動いたのか、あの人はどうなったのか、など、いつ気持ちが変わったのか?など、所々気になるところはあったから、また読み直したい。

    ところで、君の名は。で万葉集を教える古典のゆきちゃん先生って…
    とか、
    勅使河原とサヤチン、ここにも出てきた、パラレルワールド??
    とか
    君の名はで瀧くんがバイト先の店名が、イタリア版の「言の葉の庭」のタイトル
    だとか、色々芸が細かいぞ、新海ワールド。
    楽しみ方が色々あって良い。

  • 「君の名は。」がとても面白かったため、こちらも読んでみることにしました。主要な登場人物が、章ごとにそれぞれの視点で書かれています。気になったのは、最初の美帆とはその後どうなったのか(もう過去の人?)、この作品と「君の名は。」の勅使河原とサヤカの関係は?!というところです。エピローグ後の2人はどうなったのかなーというのも気になるポイント。個人的には、「君の名は。」に比べると、起承転結の「転」の部分は弱めかなと思っています。映画版も観てみたいです!

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著者プロフィール

1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ1人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』も高く評価された。

「2018年 『バイリンガル版 君の名は。3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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