小説 言の葉の庭 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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本棚登録 : 1225
レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026151

作品紹介・あらすじ

雨の朝、高校生の孝雄と、謎めいた年上の女性・雪野は出会った。雨と緑に彩られた一夏を描く青春小説。劇場アニメーション『言の葉の庭』を、監督自ら小説化。アニメにはなかった人物やエピソードを多数織り込んだ。

感想・レビュー・書評

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  • 映画『言の葉の庭』が好きで小説も気になっていたので、読みました。

    まず、目次を見て「秋月孝雄」「雪野」以外の名前が並んでいることに驚きました。てっきり、秋月君と雪野さんの2人の視点を書いているのかと思っていたので、目次を見ただけでワクワクしました。

    映画は何十回と見ているので、秋月君と雪野さんに関しては、小説の掛け合いを見ながら、こんなかけないなかったなとか、こんな思いだったんだと新しい発見がありました。特に、雪野さんの心理描写は少し意外だな思い、でも雪野さんも普通の人間なんだなっと気付かされました。映画では謎めいた女性像が最後までつきまとっていて、どこか違う世界の住人のようなところがありますが、小説版を読んですとんとはまりました。

    映画では語られていない部分も多くありました。特に、伊藤先生、相澤先輩は映画で憎まれ役となっていますが、小説版を読んで、自分が同じ状況下におかれたら彼らと同じ選択肢をとる可能性もあるなと思い、少し見方が変わりました。人の不器用さと、人と人とで伝わらないことの多さを思い知らされました。

    「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから」、そんな人間味がないようで、すごく人間味がある言葉が、言の葉が心にしみる1冊でした。

  • こういった作品に宝石のような瑞々しい愛おしさを感じながら、やっぱり自分は日本人なんだなと思う。言葉が落ちてきて胆の中から、溢れて止まらないくらいの感情が生まれていく。

  • 今も昔も変わらずに言葉にならない思いを必死に言葉に託す。
    相反する気持ちは本当は同じところにあってそれは言葉にできない、だけど言葉に託すしかない。
    埋没したい個性ほど前に前にと露わになってしまう。
    そんな自分は本当に誰かに求められているのか、誰かと繋がることはできるのか。
    そんな不安を感じるのは目に見えているのはその人の一面でしかないから。
    同じように自分が見せているのも自分の一部でしかない。
    それなのに全てを理解してほしいと願ってしまう。
    だけど一瞬の繋がっているあの瞬間、あの景色を求めて生きている気がする。
    それはあの東屋で足に触れた瞬間であり、裸足で雨の中マンションの階段を駆け下りたあの瞬間だと思う。
    映画ではわからなかった視点で描かれる小説はより世界観を楽しめた。

  • 映像の原作、ではなく、ノベライズだということを自分の中で強調しておきたい。

    映像だと簡単に嫌いになれた伊藤先生や翔子や孝雄の母親のことも、本で描かれることで愛着を持ってしまった。それぞれがそれぞれの事情を抱え、誰もが愛おしくて嫌いになれない。特にお母さんの怜美。立派に母親やってる、でもやはり若い女の部分は捨てきれずに孝雄の恋相手の年齢を見抜くところがかっこいい。

    君の名は。のネタがちょくちょくここから来ていることに感動。

  • 「君の名は。」が良かったので今度は「言の葉の庭」を。光の庭での二人のシーンがとても綺麗でもっとずっと雨が降り続いてくれればいいのにと思うほどでした。雪野さんは秋月くんに「救われていた」と言うけれどそれは秋月くんも同じじゃないかな。秋月くんが作ってくれた靴を履いて二人で歩いて行ってほしいと思うけどどうなるかな?恋愛じゃなくてもいいから二人の関係がこれからも続いてほしい。

  • 靴が大好きなサボり魔学生主人公(孝雄)と、昼間から公園で黄昏てる正体不明の美人(雪野)の距離感というか、関係性がとても好きで、温かい気持ちになった。
    互いに惹かれ合っているが必要以上にベタベタしない、そんな距離感がもどかしくもあり、羨ましくも思った。

    語り手が変わるスピードが凄まじく、注意して読まないと今誰目線で描かれているのかが分からなくなるのが難点かな。
    いうて気にならないけど。

    以前、アニメーション映画で当作品を観たが、そこでは語られなかった登場人物の気持ちや背景、小説ならではの描写があり、映画を観てから読むといいかもなと思った。
    とりあえずサウンドトラックCDと、映画のDVDを欲しいなと思う所存です。

    個人的に映画の中で一番好きなシーンである、最後に孝雄と雪野がマンションの非常階段で言い合うところ、孝雄役の入野さんの演技がめっちゃ凄くてとても好きなんだけど、(当たり前だが)そのまま小説の中でもそのシーンが出てきたうえに、その言葉を言ってる時の孝雄の気持ちとかが書いてあってひたすらに感動と心の底から湧き上がってくるようなゾクゾク感を感じた。

    二人が密会(意味深)していた公園は、新宿駅周辺にある新宿御苑という場所らしい。
    ぜひ聖地巡礼をしたい。

    もちろん、雨の日に。

  • 個人的新海誠NO.1

  • 新海誠ファンで、映画も既に見ていて大好きなこの作品。
    いやこれめっちゃいいな。
    映画では描かれていなかったそれぞれの登場人物の出来事や思いがここで知ることができる。それもただのノベライズや番外編じゃなくて、描写がとてもいい。そしてそれぞれの章の終わりに万葉集の歌の引用が載せていることで、人物の気持ちをより表している。
    そもそも万葉集と現代の恋を結びつけて描くあたり新海誠はすごい。し、作家としての新海誠の才能もよく感じられた1冊だった。他にも小説書いてほしいなぁ。

  • 子供だと踠き唇を重ねた少年は、大人だと泣いた少女に忘れられぬ傷を残し、一季節に終わりを告げました。出来なかった少女が大人になった自分をおかしいと笑った時、そんな事ないよと抱きしめて欲しくて本当は泣いていました。誰かを本気で愛しく想い胸を締め付けられた名も無い感情も、涙を流す度苦しく美しいものだと学びました。愛は大人になれば解るというものでしょうか。声を枯らし母を呼ぶ幼子、自ら傷付き火の粉を浴びても守り抜く心、孤独の本当の意味を知っている人、私はそれらも愛だと呼びます。僕が秋なら君は冬を報せる雪。君が雨なら僕はずっと傘になろう。君の歩む道を照らせるような、そんな優しい靴を作ろう。

  • だいぶ周回遅れで観た「君の名は。」にいたく感動して、新海さんのサイトで昔のPVなどを懐かしく眺めていたら、「あれ、この作品観てない!」と今更気付いて小説版を手に取ってみました。物凄く乱暴に印象をまとめてしまうと、

    「ハッピーエンドを迎えるノルウェイの森」

    …ほうぼうから怒られそうな感想ですね。読書量の少なさ浅さを露見させているようなものです。

    「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんやけん」-回想でしか出てこないこのセリフが登場人物たちの全てを表しているような気がします。誰もが少しずつずれていて、誰も悪くないのに噛みあってはいけない歯車が偶然かみ合ったかのように人生は狂っていく。もがき、悩み、泣いて、乗り越える。その先の-いや、暗中模索のさなかでさえも、世界はなんて美しいのか。

    うん、こんな話、大好きです。読後に残る清涼な感傷を、いましばし胸に留めておきたい。そんな素敵な作品でした。

    小説版も新海監督ご本人の筆によるものですが、あとがきもなかなかに興味深いものがありました。映像には映像の、文章には文章の得手不得手があって、そこに快感を覚えたり苦闘しておられる監督の姿が微笑ましかったです。加えて言うならば、本書を読んでいる最中に映画の主題歌が秦基博「Rain」(原曲は大江千里。もっとも、自分が聴き馴染みがあるのは槇原敬之のカヴァー版ですが)であると偶然知ってびっくり。似合う、この曲は絶対似合うに決まっている!どこかで映画版借りて来ようかしらん。

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著者プロフィール

新海誠(しんかい まこと)
1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ1人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』も高く評価された。2019年7月19日、映画「天気の子」公開。その公開前日7月18日に原作となる『小説 天気の子』を刊行する。

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