小説 秒速5センチメートル (角川文庫)

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  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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本棚登録 : 1207
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026168

作品紹介・あらすじ

「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」。いつも大切なことを教えてくれた明里、彼女を守ろうとした貴樹。二人の恋心の彷徨を描く劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を監督自ら小説化。

感想・レビュー・書評

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  • 映画の美しい映像がとても美しかったので、それを小説で読むのはどうかと思ったが、小説は登場人物の心情がいっそう繊細に切なく伝わってきた。

    初恋の物語としてよりも、子どもが大人になる前の漠然とした未来への不安、思春期のひりひりとした焦り、生きにくさ、そして生きにくさを抱えたまま大人になった青年の物語としての印象が強かった。不安やその切なさが印象的な言葉で何度も表現されている。

    小学生の貴樹は大人になることへ漠然とした不安を抱えながらも未来へ目を向けているが、中学の貴樹が電車で明里に会いに行くシーンは暗く辛く、抱えている不安を更に強く感じる。
    高校生の貴樹も変わらず生きづらさを抱え、「ここじゃないどこか」を求め、それを明里との想い出に求めていたのだろうか。宛てのないメールを打ち続ける貴樹の切なさといったらない。これから立ち向かう大きな世界への不安を種子島のロケットの孤独な旅に例えている。
    第2話の語りが香苗に変わることで、進路に迷いながらも自分へ挑戦をしている香苗と対比し、貴樹の不在感が強調される印象だった。香苗の貴樹に対する恋心も切なかったけれど、前向きで明るさを感じた。
    生きにくさを抱えたまま大人になった貴樹は自分に満足できず、周りの人とも上手くかかわれずにいる。それが胸が痛くなるほど伝わってくる。
    ラスト、明里が貴樹に伝えた言葉「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」を支えにしながら、「ここじゃないどこか」を求めずに、この場所で、今の自分を生きて行こう思ったことで、やっと胸が撫でおろすことができた。

  • 切ない。

  • とても良かった!

    映画観てなくても全く問題ありません。

    逆に読んだ後観るのはどうなんだろう?

  • 朝読で一気読み。前に一歩踏み出す速度は皆違う。そのきっかけの速度も。

  •  新海さんの映画の特徴といえば、やはりなんといっても映像美だと思います。そしてその映像美は、小説にも表れています。「小説なのに映像美?」と思われるかもしれませんが、新海さんの繊細な文章は、それを可能にするのです。

     3話で構成されているこの小説。まず第1話は、読んでいるこちらが苦しくなるような描写が続きます。

     転校で離ればなれになった女の子に会いに行くため、中学生の主人公は数時間かけ、彼女の元へ向かいます。しかし、その電車は大雪のため遅れに遅れ、当時携帯電話を持っていなかった主人公は、彼女の元に連絡をとることもできず…

     ここの描写が本当に絶望的なんです。心理描写もそうなのですが、冬や寒さ、電車の車内、乗客たちの様子、こうした情景描写がそれぞれが寒々しく、あるいは主人公の孤独感を表現する上で機能します。映画監督とは思えない表現の幅です。

     こうした描写の末二人はなんとか会えるのですが、そこからの暖かさ、そして美しさは、前半との対比があり、より読者に染みます。

     そして第2話、今度は主人公に恋心を抱く、少女目線の話。少女の一人称が思ったよりも違和感がなかったのがちょっと意外でした。新海さん、少女目線でもイケルやん!

     前半は元気でちょっと空回り気味の彼女が可愛らしく感じるからこそ、ラストの展開は効くなあ、と思います。

     そして第3話。個人的にこの第3話のテーマは呪縛だと思います。中学時代の美しすぎる初恋が、見えないところで主人公を縛り、それが人間関係、特に恋愛に関して現れてきます。

     また仕事上での悩みも深いようで、公私ともに主人公は追い詰められ、がんじがらめになってしまうのです。第3話のほとんどは、世界はモノトーンで包まれているかのように感じながら読んでいました。

     だからこそラスト、その呪縛から解放され、鮮やかで爽やかな描写を読んでいると、世界に光が戻ったような感覚になるのです! これが僕が新海さんの小説に映像美を感じた理由だと思います。

     新海さんの映画はもちろんですが、小説もおすすめですよ!

  • 「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った2人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨を続けていく…。劇場アニメーション『秒速5センチメートル』では語られなかった彼らの心象風景を、新海誠監督みずからが繊細な筆致で小説化。1人の少年を軸に描かれる、3つの連作短編を収録する。

  • 映画を観たけど意味がよくわからなかった。

    小説版は文字になるだけあって
    主人公に何が起きたか
    周囲の人々が何を思ったか
    だいぶ分かりやすかった。

    主人公がいつまでも実らなかった初恋に縛られて、
    今この時を生きられない様子には全く共感できない一方、
    その彼に想いを寄せたけど報われなかった女性たちの寂しさはよく分かって切なかった。

  • タイトル「秒速5センチメートル」に関する序盤の桜の件のあたりなど、丁寧で繊細な描写が◎
    雪と列車の場面のあたりは、なんかこれセンター現代文とかにありそうだなー、と思うような内容だけれど、繊細な空気感の描写でああ、新海誠ワールドだなという仕上がりになっていた

    星3.6くらい。

  • 同じ体験をしたことはないはずなのに何故か自分のことのような、思い出を振り返っているような感覚になる。

  • 難病にかかり残り少ない命の主人公・綾が限られた時間で大切な人の「明日」のために生きるお話。
    エルさんの繊細な言葉の表現で心の変化から成長までお互いを想い合う気持ちがとてもよく伝わりました。
    最後の2人の追加目標は当たり前でいて、しかしその当たり前があるのは大切な人が隣に居るから、同じ思いを返してくれるから、それを感じた時心が震えました。
    大切な人を想う気持ちに触れた時胸がぎゅっとなる1冊。

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著者プロフィール

新海誠(しんかい まこと)
1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ1人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』も高く評価された。2019年7月19日、映画「天気の子」公開。その公開前日7月18日に原作となる『小説 天気の子』を刊行する。

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