小説 秒速5センチメートル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026168

作品紹介・あらすじ

「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」。いつも大切なことを教えてくれた明里、彼女を守ろうとした貴樹。二人の恋心の彷徨を描く劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を監督自ら小説化。

感想・レビュー・書評

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  • 申し訳ないけど、分かりにくかった・・・。
    (´・ω・`) もう一度読み直す!

  • 映画の美しい映像がとても美しかったので、それを小説で読むのはどうかと思ったが、小説は登場人物の心情がいっそう繊細に切なく伝わってきた。

    初恋の物語としてよりも、子どもが大人になる前の漠然とした未来への不安、思春期のひりひりとした焦り、生きにくさ、そして生きにくさを抱えたまま大人になった青年の物語としての印象が強かった。不安やその切なさが印象的な言葉で何度も表現されている。

    小学生の貴樹は大人になることへ漠然とした不安を抱えながらも未来へ目を向けているが、中学の貴樹が電車で明里に会いに行くシーンは暗く辛く、抱えている不安を更に強く感じる。
    高校生の貴樹も変わらず生きづらさを抱え、「ここじゃないどこか」を求め、それを明里との想い出に求めていたのだろうか。宛てのないメールを打ち続ける貴樹の切なさといったらない。これから立ち向かう大きな世界への不安を種子島のロケットの孤独な旅に例えている。
    第2話の語りが香苗に変わることで、進路に迷いながらも自分へ挑戦をしている香苗と対比し、貴樹の不在感が強調される印象だった。香苗の貴樹に対する恋心も切なかったけれど、前向きで明るさを感じた。
    生きにくさを抱えたまま大人になった貴樹は自分に満足できず、周りの人とも上手くかかわれずにいる。それが胸が痛くなるほど伝わってくる。
    ラスト、明里が貴樹に伝えた言葉「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」を支えにしながら、「ここじゃないどこか」を求めずに、この場所で、今の自分を生きて行こう思ったことで、やっと胸が撫でおろすことができた。

  • 綺麗な話。ピュアで。。。一途で。。切なくて。。でも、一番凄いのは景色の描写かな。次から次に入ってくる景色が美しかった。

  • 映画を先に観たから風景やキャラクターの想像がしやすかった。
    映画には描かれていない部分が書いてあるのも面白かった。
    感情と現実がうまく噛み合わず、不器用な生き方をするしかない感じが読んでいてつらかった。

    幻日環(げんじつかん)という単語が出てきて意味も読み方もわからなかったのでググった。
    これの月バージョンが幻月環(げんげつかん)というらしい。
    月バージョンなら見たことがあって、あの綺麗な現象の名前を知ることができて嬉しかった。


    【目次】
    第1話 桜花抄
    第2話 コスモナウト
    第3話 秒速5センチメートル











    以下ネタバレ!!!




















    【第1話 桜花抄】(おうかしょう)
    篠原明里(しのはらあかり)
    遠野貴樹(とおのたかき)
    小3〜中2。
    アカリ視点。転校ばかりの2人が純粋な恋愛をする話。
    小3の時、転校した先にタカキがいた。
    中学にあがる時にアカリは引っ越すことになり離れてしまう。
    文通をして再び会う約束をするが、雪で電車が遅延して、会う頃には終電も無くなっていた。
    やっと会えた嬉しさや終電を逃してしばらくそばにいられる嬉しさの中でキスをした時に、アカリはこの奇跡的な瞬間が2人にとっての完全なものと思い、タカキとはもう一緒にいられないと思ってしまう。
    桜が落ちる速度のようなゆるやかな恋愛を求めていたらしい。

    感想
    雪の中でキスをしたのに恋人にならず、色々な可能性も捨てそのまま別れてしまうのは悲しいなと思った。
    学生時代にこんな経験できたら最高。


    【第2話 コスモナウト】
    遠野貴樹(とおのたかき)
    澄田花苗(すみたかなえ)
    中2〜高3
    タカキ視点。カナエの片想いの話。
    中2の時、転校した先にカナエがいた。
    アカリとの文通が途絶える。
    カナエに優しく接してメロメロにさせる。
    いざカナエが告白しようとした時、言わせないように拒絶オーラを出したタカキは本当に罪な男だ。
    ロケットの打ち上げを見て、タカキもどこかへ行かないとと思う。

    感想
    1番好き。
    タカキはカナエに好意はあるし気持ちにも気づいているけれど恋人にしたいとまでは思っていないのがなんとも胸がくすぐられる。
    映画ではカナエ視点がありこの純な片想いに泣いた。
    「私が遠野くんに望むことはきっとかなわない。それでも、それでも私は遠野くんのことを、きっと明日も明後日もその先も、やっぱりどうしようもなく好きなんだと思う。遠野くんのことだけを想いながら、泣きながら私は眠った」
    こんな想いをするくらい好きな人ができたなら、幸せなことだと思う。


    【第3話 秒速5センチメートル】
    篠原明里(しのはらあかり)
    遠野貴樹(とおのたかき)
    21歳〜26歳くらい
    それぞれの視点。

    アカリは大学で彼氏ができたがすぐ別れる。
    そのうち明記されていない誰かと結婚した。
    好きな人との新婚生活が楽しすぎて浮かれる。

    タカキはバイト先や取引先の女の子と恋をする。
    女に酷い仕打ちをして別れてしまう。
    ヤニカス。

    踏切で2人は踏切ですれ違うも遮断機が下りてしまう。
    アカリは誰かとすれ違った気がしたが、新婚の幸せ感でぼうっとしてたからか気づかない。
    遮断機が上がってアカリの姿が無いことや、アカリの幸せそうな雰囲気を感じとりタカキは自分も前に進もうと思う。

    感想
    アカリの結婚相手は途中で少し登場する営業マンだろうか?
    タカキがヤニカスになってしまったのが悲しかった。
    アカリはタカキに気づいてたけどヤニカスオーラが気持ち悪くて気づかないふりしたのかもしれないと少し思ってしまった。
    気づいてないほうが良い思い出のままだから気づいていないでほしい。

  • 桜花抄
    小学生から中学生の貴樹(たかき)目線の話。
    コスモナウト
    種子島在住の高校生、花苗目線の話。
    秒速5センチメートル
    就職した貴樹目線の話。

    お互いに転校生だった貴樹と明里(あかり)。
    お互いに仲良くなるが、明里が転校することとなる。
    後に貴樹も種子島に転校することとなるため、
    その前に明里に会いに行く。
    なんとも言えない初恋のほんわかした気持ちに
    ほっこりさせられた。

    秒速5センチメートルとは、桜の花びらの落ちる
    スピードのこと。
    雨は秒速5メートル。
    雲は秒速1センチメートル。
    ふむふむ、勉強になるねぇー笑

    • shintak5555さん
      アニオタの私としては、やっぱりこいつは映像だと。
      新海誠の光の描写、空、雲。そして光。
      そして、山崎さんの「One More Time,...
      アニオタの私としては、やっぱりこいつは映像だと。
      新海誠の光の描写、空、雲。そして光。
      そして、山崎さんの「One More Time,One More Chance」が物語にジャストフィット!
      新海誠の最高傑作です。★50個です。笑
      2022/04/24
    • ほくほくあーちゃんさん
      やっぱり映像なんですね!!
      ☆50だなんて!!
      映像が気になりますー。
      ただ、私…君の名は。も見たことない…( ゚ε゚;)
      鬼滅の無限列車は...
      やっぱり映像なんですね!!
      ☆50だなんて!!
      映像が気になりますー。
      ただ、私…君の名は。も見たことない…( ゚ε゚;)
      鬼滅の無限列車は見ましたよー笑
      2022/04/24
  • 切ない。

  • この作品大好きです
    見終わったあとの喪失感というか虚無感というか
    とりあえず余韻が凄いけど、すぐ見たくなる作品
    桜花抄、コスモナウト、秒速5センチメートル
    の3章になっていて第1章と第3章は主人公貴樹と明里の
    物語。第2章は貴樹と花苗の物語になっている。
    第2章の花苗が貴樹に片思いしてる時の感情表現が物凄く好き。すごく共感できる。
    「これから私が人といる時は、他の人を考えてるんだ
    なんて悲しい事思わせないようにしよう。」(1部略)
    この花苗のセリフが好きすぎてこのページに栞挟んでる
    あと、映画では見れなかった貴樹と明里の手紙が見れるのがいい!ここでも明里と貴樹の思いが少しすれ違ってるように思える
    初恋を拗らせた男の虚しさが分かった笑

    • 林霖さん
      他の人といる時にスマホを見ないのところですよね。同じくそのセリフ気に入ってます。
      他の人といる時にスマホを見ないのところですよね。同じくそのセリフ気に入ってます。
      2024/02/11
  • とても良かった!

    映画観てなくても全く問題ありません。

    逆に読んだ後観るのはどうなんだろう?

  • 朝読で一気読み。前に一歩踏み出す速度は皆違う。そのきっかけの速度も。

  •  新海さんの映画の特徴といえば、やはりなんといっても映像美だと思います。そしてその映像美は、小説にも表れています。「小説なのに映像美?」と思われるかもしれませんが、新海さんの繊細な文章は、それを可能にするのです。

     3話で構成されているこの小説。まず第1話は、読んでいるこちらが苦しくなるような描写が続きます。

     転校で離ればなれになった女の子に会いに行くため、中学生の主人公は数時間かけ、彼女の元へ向かいます。しかし、その電車は大雪のため遅れに遅れ、当時携帯電話を持っていなかった主人公は、彼女の元に連絡をとることもできず…

     ここの描写が本当に絶望的なんです。心理描写もそうなのですが、冬や寒さ、電車の車内、乗客たちの様子、こうした情景描写がそれぞれが寒々しく、あるいは主人公の孤独感を表現する上で機能します。映画監督とは思えない表現の幅です。

     こうした描写の末二人はなんとか会えるのですが、そこからの暖かさ、そして美しさは、前半との対比があり、より読者に染みます。

     そして第2話、今度は主人公に恋心を抱く、少女目線の話。少女の一人称が思ったよりも違和感がなかったのがちょっと意外でした。新海さん、少女目線でもイケルやん!

     前半は元気でちょっと空回り気味の彼女が可愛らしく感じるからこそ、ラストの展開は効くなあ、と思います。

     そして第3話。個人的にこの第3話のテーマは呪縛だと思います。中学時代の美しすぎる初恋が、見えないところで主人公を縛り、それが人間関係、特に恋愛に関して現れてきます。

     また仕事上での悩みも深いようで、公私ともに主人公は追い詰められ、がんじがらめになってしまうのです。第3話のほとんどは、世界はモノトーンで包まれているかのように感じながら読んでいました。

     だからこそラスト、その呪縛から解放され、鮮やかで爽やかな描写を読んでいると、世界に光が戻ったような感覚になるのです! これが僕が新海さんの小説に映像美を感じた理由だと思います。

     新海さんの映画はもちろんですが、小説もおすすめですよ!

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著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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