- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041026175
作品紹介・あらすじ
●「読んでから見るか、見てから読むか。」 日本映画に革命を起こした角川映画最初の10年を描く!角川映画40周年記念で大幅加筆で文庫化!
1970年代半ば、低迷していた日本映画界に登場した角川映画は、日本初の本格的メディアミックスだった! 小説と映画と主題歌をヒットさせ、ベストセラー作家とスターを生んでいく。「犬神家の一族」に始まり、「野性の証明」「復活の日」等の大作、「セーラー服と機関銃」「時をかける少女」等のアイドル映画。疾風怒涛の10年を描くノンフィクション。
2016年「セーラー服と機関銃-卒業-」(主演・橋本環奈)、「エヴェレスト 神々の山嶺」(主演・岡田准一、阿部寛)など角川映画40周年記念映画が公開。本書も待望の文庫化!角川春樹のその後、角川歴彦の「新生角川映画」も大幅加筆で描いた増補版!
感想・レビュー・書評
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本邦におけるメディアミックスの先駆けである角川映画は、あくまで本業の書籍を売るための手段であったことがよくわかる。
それが進んでいく中でアイドルの登場と角川春樹の映画への関わりの変化。角川春樹があまり興味を示さなかったアニメに対して、彼が退場後は角川にとって重要なコンテンツになっていくといった変化も興味深い。
この主のドキュメンタリーは、つい当事者の証言を重視しがちになるが、そこによらないことで客観的にまとめられている気もした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歌謡曲やミステリーに続く著者の70's80'sティーンエイジ人格形成カルチャーシリーズは角川映画。東映、東宝、松竹、(大映、日活)五社体制プログラムピクチャー時代にトドメを刺し、現在の製作委員会方式時代の前史を作った存在は「角川映画」という映画界アウトサイダーが作り出したクリエーションがあったから、とはなんとなく感じていましたが、それが詳細なクロニクルとして記録されています。「読んでから見るか 見てから読むか」一大メディアミックスキャンペーンの嚆矢とされる「犬神家の一族」ですが、その前のプロトタイプとして「ある愛の詩」があったこと、さらにそれ以前に結果論としてのNHK大河ドラマ「天と地と」による角川書店経営危機回避があったことは新鮮な情報でした。また映画の話が中心に進行してはいますが、文庫ビジネスのイノベーション(岩波文庫のような薄茶表紙にカラーカバーを巻いたのは角川春樹の発明!)や作家を雑誌連載で囲い込み、ノベルスで出版し、映画と文庫でプロモーションするという手法など、著者も文中で触れていますが「角川映画と角川文庫」という題名がぴったりくる内容だったりします。なにしろ「角川映画」の存在が、ミステリーを出版ビジネスにおいて脇役から主役にした、という指摘にも納得。この本で書かれた10年はマーケティング無き世界にマーケティングが導入され、マーケティングがクレイジーを駆逐していく記録かもしれません。そういう意味ではこの本では大きく取り扱われていませんがクレイジー兄春樹とマーケティング弟歴彦の兄弟物語もぜひ読みたいです。そこに至るまでの出版界、映画界に最初にマーケティングプロモーションを持ち込んだ角川春樹の栄光と挫折、つまり大林宣彦との友情、原田知世への愛情、黒澤明への憧憬、なども若々しい!角川春樹の野生時代はコンテンツ産業の青春時代だったのだ、と思いました。
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角川映画以外の映画の裏側が良くわかり、文庫の話も興味深く読めちゃう
角川春樹のお陰で、今の日本映画が有るように感じる -
角川映画最初の10年を描いたノンフィクション。
子供ころ、テレビや書店での大量宣伝で、映画といえば角川映画だった。
映画を好きになったきっかけが「犬神家の一族」なので、角川映画誕生前夜から書かれたこの本は、たいへん興味深く読みました。 -
1970年代に、低迷する日本映画に彗星の如く登場した角川映画の軌跡を描くノンフィクション。
もろに角川映画の洗礼を受けた世代である。鮮烈なコピーが多感な青春時代にあらゆる刺激を受けた。角川映画はもっと正当に歴史的評価を受けてもよいのではなかろうか。因みに私の角川映画ベスト3は、『人間の証明』『戦国自衛隊』『時をかける少女』である。 -
単行本の増補版。ただし、大した変化はない。
著者プロフィール
中川右介の作品





