- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041026243
作品紹介・あらすじ
黙々と働く昼も、ひとりで菓子パンをかじる夜も、考えるのは恋のこと。あのときああ言っていたら……今度はこうしよう……延々とシミュレートし続けた果てに、〈私の天使〉は現れるのか? 人気歌人による恋愛エッセイ集。MF文庫ダ・ヴィンチの人気作品が角川文庫に登場。
感想・レビュー・書評
-
歌人の「穂村弘」さんのエッセイを、なるべく発売順に読もうとして、今回で6冊目となるが、そろそろ、以前に読んだことがあるエピソードが─主題としてではないが─ちょくちょく入ってくるようになる事に加えて、殆どの内容が、穂村さんの恋愛に関する、御自身の過去の経験に基づいた考察と、妄想的憧れを書いていて、穂村さんの生き方を知りたかった私としては、そのあまりに恋愛だけにシフトし過ぎた内容に、読んでいて段々と辟易してしまい、途中で読み飛ばししながら、ついには、私、今何してるんだろうと醒めてしまった心持ちがして、最後まで読了することが出来なかった。
ほむほむファンの方、すみませんm(_ _)m
もちろん、穂村さんの繊細な感性や、その素の考え方の面白さや人間としての愛おしさは感じられたのだが、それと、恋愛に関して、ゲームであるかのような傍から観戦する書き方は全く別だと思うし、恋愛をデータ化することって、そんなに意味あります?
おそらく、そこには、誰も決して本気とは感じておらず、あくまで昼ドラのようなエンタテインメントの一種として、他人事のように楽しんでいる事が、暗黙の了解として分かっているから、フィクション的楽しみ方で割り切ればいいんだと、いうことなのでしょう。だとしたら、今の私には全く興味の無いことで、まだ遊びとしてなら、こうした書き方も分かるかもしれない。しかし、読んだ感じは本気の恋愛であり、しかも、それの終わりを簡単に友だちに話したりするものだろうかと思い、私ならきっと、自らの心の内に秘めて留めておくだろう。
といった違いからも、おそらく恋愛に関して、ああだこうだ言うのは、不毛なやり取りなのだろう。
だから、これ以上は何も言いません。
ただ、それでも私が印象的なエピソードとして、穂村さんと友達が同居していた部屋に、彼のガールフレンドが遊びに来たとき、窓から花火を見た彼女が、「みにいこうよ」と立ち上がって、外に出ようとし、他の二人は、「何時までやっているのか」とか、「場所が分からない」とか言うのに対して、「だってみえてるじゃん」、「あれに向かって歩けばいいんだよ」と、結果、彼女主導で行くことになった思い出があり、後に穂村さんは、会場に着けたか、花火を見られたかは全く記憶になく、ただ、ぶらぶら歩いたことだけが、くっきりと心に残っていたそうで、結果どうこうではなく、あくまでも彼女と一緒に過ごした、その過程や些細なやり取りの中に、彼女独特の輝きや惹き付けられるものを感じさせられて、素敵な恋や思い出へと変わってゆくような、異性の愛おしさは分かる気がしました。 -
仮にすべての男の人を8種類くらいに分類したとしたら、あきらかに同じ類になりそうな人だなぁと思って、笑いながら読みました。
自己愛や過剰な妄想力は表現することを生業にしているものにとっては不可欠だろうし、むしろスケールが大きいほど良いのかもしれない。哲学者とか宗教家なんてきっと悶々としながらこうした問いに真っ向勝負してるんだよね。すごいな。
つまりこうした「悶々」を短歌や文章に昇華して解き放っているところが醍醐味かなぁと思う。ベースは思春期的妄想なんだけど、そこに共感してやたらニヤッとしてしまう。
「性愛ルールの統一」に出てくる、退却しながら観客に向かって問うシーンなんてもう(笑)
-
こちらで、著者のエッセイのレビューが高評価で嬉しくなった。ぶはっ!という勢い良い笑い、というよりクスクスしてしまう(図書館の角に座って読む)。男の人は(著者のようなタイプの人は)こうやって妄想し、考えるのか、と思った。
-
2007年の本なのに、とても今っぽいなー。
“ときめきがやすらぎに変わるなら”っていうフレーズ、すごくグッときたなー。
“職業選択の自由が自己実現へのプレッシャーを逆に高めたように”っていう言い当てドキッとしたなー。
“目の前の出来事を主体的に引き受けてひとつひとつ片づけてゆく人間と、そこから逃げ続ける人間の能力差は歳を経るごとに大きくなってゆく”って文章に早く出会えてたらなー。
ひらがなで綴るフレーズの小気味よさ、多様性を叫ぶようなったその弊害、ゆとりとさとりの価値観を串刺しにするような戒め、ソフトに笑える“ふてほど”感(時代錯誤感)もあったりするけど、とにかく今を表現してるのではと思わせる言語化に引き摺り込まれました。
穂村弘さんの弱男性私観にハマりそうです。ハマってみよっ!
-
読み始めるとやめられないほむほむ。
-
穂村さんの恋愛エッセイはおもしろいと聞いて。
解説の瀧波ユカリさんの意見に全面的に賛成。というか、この解説めちゃくちゃおもしろいな。作品のオチになってると思う。この解説もふくめてひとつの作品だと言わしめてしまうような解説をひさしぶりに読んだ気がする。
解説ばかり褒めてしまった。
穂村さんの計算された不安定さ(暫定)に安心する人はたくさんいると思う。 -
恋愛や女性についての穂村さんのネチネチ脳内劇場は慣れたつもりだったが、それだけを1冊にまとめられるとファンでも少しウッとなった。
私だけ?鍛え方が足らないのだろうか。
P67 「私のような性質の人間は、女性を自分の脳内で勝手に女神にしてしまう。」
ご自分で言語化できていて驚いた。
そうですね、と思ってドロップアウト。すみません。 -
なにかと並行しながらだらだら読むのがいい感じ。
悪い意味でなく!それくらい気軽に読まないと、引っ張られちゃったらだめだなと思うエッセイ。淡いのに力があるような。
読みながら分かる〜とかええ、そう?とか作者と対話しながら読むのが楽しい。個人的には解説までちゃんと読むとより楽しく感じた。
なにか私を劇的に変えてくれるようなエッセイではないけれど、数年前の思い出をふと思い出すような、懐かしい感覚をくれる。 -
大人になっても学生みたいなピュアな恋愛観を心に持っていてすごく面白かった。
後書きの瀧波ユカリさんも言ってるけどこういう人好きだ。 -
一度は経験したことがあるような恋愛「あるある」ネタを妄想力豊かに考察、解き明かしているエッセイだ。メールに忍ばせた好意を確かめる言葉、些細なことで好感度が上がったりすること、送ることの重圧などなど。思わずあるあると頭を振って共感してしまう。日常に埋もれた些細な恋愛の煌めきをすくいだして、ユーモアたっぷりに言語化してみせる穂村弘はただものではない。
聡明なたださんが途中で投げ出してしまうことあるのですねww
なんかすごーく意表を突かれて嬉しかった。あっスミ...
聡明なたださんが途中で投げ出してしまうことあるのですねww
なんかすごーく意表を突かれて嬉しかった。あっスミマセン (__)
恋愛に対してはどうなんだろう、よくは解らないけど
本気で愛した人ならば、本気で憎める気もするし
友達に話すことによって整理できたり
立ち直り早かったりあるんじゃないかなって感じたり。
美化して整理できたりするかも
歌人って繊細そうな生き物なので生態はよくわかりませんけどww
コメントありがとうございます(^^)
まあ、穂村さんに限らず、他の人の恋愛観にあまり興味がないといいますか、こう...
コメントありがとうございます(^^)
まあ、穂村さんに限らず、他の人の恋愛観にあまり興味がないといいますか、こうして、しじみさん自ら書いてくれた事に関しては、「整理できるから友達に話すというのは分かります」とか言えますが、私の方から、そうしたことを他の人に別に聞きたくないというか、人それぞれ、好きにやればいいじゃんって思いますし、誰かのアドバイスやデータ分析で恋愛したいとも思いません。
また、創作ものの小説の中でのそれなら読みたいと思いますけど、今回の穂村さんのエッセイは、妄想ではなく現実的な感じだったので。
それでも、最初は笑えましたけど、あまりにそれがずっと続きますと・・・ね(^^;)
おそらく歌人の方々は、観ている世界が私とは全く異なると思うので、『個性的』という言葉がよく似合う方々だと思います。繊細とは真逆な雰囲気の方もいらっしゃいますし。