散歩する侵略者 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 80
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026304

作品紹介・あらすじ

絶望がやってきた。愛する人の姿で――劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの舞台『散歩する侵略者』を前川自ら小説化。2017年秋、黒沢清監督、松田龍平・長澤まさみ・長谷川博己主演の映画版も公開。

感想・レビュー・書評

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  • とてもすごいことがおこってるのに、主人公夫婦のリアル感がしっかりしてて、SFすぎないというか、読みやすい。終わり方は読後すぐより、読み終わって少し経ち思い出した時の方がせつなく感じる。かろやかに、私的に世界は救われたのか。宇宙人は最後に報われない片思いの感情を得たのだ。

  • 内臓や骨ごと輪切りになった鯉の甘露煮 心を守る防衛本能 若年性のものは進行が早く 暖簾に腕押し 連発する脱力系の質問が イニシアチブ イグニッションキーを回す ハザードランプを消し アップルミント ローズマリーですら駄目だったから。変な味する、とか言って。子供かっつーの 明日美あすみ 真治ははまるで、生涯を懸けた数式の答えが間近に迫った数学者のようだった。 惨劇のあった場所は、不思議とそれなりの雰囲気を纏う。先入観と言えばそれまでだが、禍々しいオーラを感じる人は多い。 利口発明に語るこの少年に 「調査。この世界固有の概念を収集しに来た」 地球侵略会議はファミレスで 防風防砂のために海岸線に植えられた黒松は 挨拶に属するものは鸚鵡返しが一番だということも経験から理解した。時間や季節天候に関する呼び掛けは、情報交換としての意味はなく、合言葉のようなものだ。返答を間違えると敵と見なされる。 青年は目の前の頭の弱そうな男に妻がいることに一瞬軽い敗北感を覚えたかが 禅問答は嫌いじゃないよ コミュニケーションが言葉だけではないということは薄々感じていたが、表情の使い方は中々難しい。分からない時は同じ表情を作るに限る。挨拶の鸚鵡返しと一緒だ。 真治のステレオタイプな責任感は、彼に一家の主を演じさせ、自分自身を窮屈な場所に追いやった。真治の豪放磊落な振る舞いは、彼が子供であることの証明にしかならなかった。鳴海が求めていたのはそんなことではなく、もっと単純な、共同作業に過ぎなかったのだ、養ってもらおうなんて思ってない。 なーんか背伸びのしどころ間違ってんだよねー でもやっぱ幅広い年齢層から収集しないと偏っちゃうしね 「だって言葉は色んなのがあるだろ、欲しいのはその概念の理解だからね。理解そのものを頂くんだよ。それが俺達の能力」確かにそうだ。「言葉」を「Word」に変換する為には、そこに共通の概念の理解が必要になる。翻訳とはそういうことだ。欲しいのは言葉ではない。 「言葉は腐るほどあっても、本当のことは何も分からない」。このソクラテス行為を真治は仕事と呼んだ。そして鳴海はそれをリハビリと呼んだ。 その日は汚れと穢れの間にある微妙な差異を学習し、大きな前進があったことを報告した。 私はあなたが何故辞書にエクスタシーを感じているのか知りたい 今日は真治の好きな八丁味噌で作った甘辛い麻婆豆腐だ 言分ける度に世界は整理され、少しずつ色褪せていく。 詰問口調 文化包丁を介した相互理解は血肉を撒き散らしつつ、当然ながらコミュニケーション不全に帰結した。ユートピアに憧れるコミュニストのようだった 自分の描く物語が夢落ちで終わらないためにも…いや、それならそれでよいのだが…桜井は単刀直入に切り出した。 映画「トイ・ストーリー」に出てくる三つ目の宇宙人を見付け、桜井は鼻で笑った。「さて、地球の未来を普及聞くとしよう」 志半ば 不貞寝 「それを本当にイメージできるのは私しかいないの。…私から、愛とう概念を奪って」 「いいの!」食わず嫌いの子供を叱るように鳴海は言った。食べたら分かるから、美味しいのが。「分かって欲しいの、帰る前にそれを分かって欲しいの」そうでなきゃ、私はただの親切な女でしかないじゃない。 愛の概念の喪失 乾いた情報に変わってしまうこと 「ありがとう。それを、もらうよ」たった一つの概念で装いを変えてしまった 黒沢清 日常から新しい次元へ 要するに戦争、映画、侵略SF、この三つは腐れ縁のように繋がって 紛れもない予言的侵略SFと呼んでいいだろう

  • 舞台版の感動をなぞりながら読む。SFではあるが、社会問題を提起しつつの、至高の恋愛ものでもある。愛がすべてなんだなーと、恥ずかしい感想もボソリと呟いてしまう、人間だもの。

  • 昨年、同作の演劇をシアタートラムで鑑賞したが、どちらもとても良かった。劇団の表現力。ある「概念」を盗む、ひとつの着想から羽ばたく想像力。

  • 舞台作品の小説化だけど本人が書いたからかノベライズ感はなく小説の特性を意識した内容になってある。なので、ちゃんと面白いし、舞台や映画でも観てみたいと思う観じ。舞台や映画で観たいではなく。どうなっていくのかなとおもったけどなるほどって感じで面白かったかな。

  • 映画で分からなかった部分を補完しようと思って読んだけど、映画よりより不可解だった。愛を知った侵略者が結局は何もせずに地球を去ったのか、融和の道を歩んだのか。舞台も小説と同じような感じだろうから、映画が一番分かりやすいのかも。

  • どんな風に終わるのだろう?と後半から期待しながら読んだ。
    納得のいく良いラストだった。
    しかし、作者の言わんとすることがきっと全く理解出来ていないんだろうなーという感じ。
    文章に慣れず、なかなか頭に入ってこなかった。
    少なくとも、好きな文体ではなかった。
    けれど、映画は観てみたいと思う。

  • 初読

    舞台を観終わって劇場で買いました。
    鳴海の姉の設定が妹になってたり、それに従って
    義兄もいなくて、医者や天野の存在も小さくなっていたり
    結構変更点があるのね。映画はどっちなのかな?

    舞台を観てる分、結構乱暴に読み進めてしまった感じがあるし
    未知なる小説を読むようには読めなかったのが
    仕方ないけど残念。
    けど、このラストは変えようもないのね。
    「愛の概念」を知る事によって一変する世界、
    こんな陳腐といえば陳腐な設定を
    あんな風に板の上に乗せられるって凄いよな。
    と、舞台の感想になってしまった。
    鳴海の「あれ、でも私結構平気かも?」の切なさは
    舞台も小説も変わらず。

  • ★3.5
    舞台版とは少し違う展開。
    舞台版の結末についてじっくり考えたかったところでこれを読んだので、理解というか、考えを深められたかなという思い。
    舞台じゃ出来ない、でもそういう場面になったらそうするだろうな、という展開がいくつも描かれていて、これはこれで好き。
    でも、舞台を観てるから、面白いって思えたのかもしれない。

    場所の移動が唐突で分かりにくいところとか、視点がころころ変わって分かりにくいところとかは、なんというか戯曲から小説への転換が上手くないな、と思った。

  • 請求記号:913.6||Ma 27
    資料ID:C0038352

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プロフィール

1974年新潟県生まれ。劇作家、演出家。2003年に劇団「イキウメ」を旗揚げ。超常的な世界観で、身近な生活と隣り合わせに現れる異界を描く。2011年上演の舞台『太陽』で第63回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を、舞台『奇ッ怪 其ノ弍』『太陽』で第19回読売演劇大賞 グランプリ、最優秀演出家賞を受賞するなど、各作品で様々な賞を受賞し、注目を集めている。他の著書に、小説『散歩する侵略者』、絵本『くらいところからやってくる』(絵・小林系)など。

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