- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041026328
作品紹介・あらすじ
映画『64-ロクヨン-』(横山秀夫/原作)を手掛けた瀬々敬久監督により2017年秋、実写映画化!
現役AV女優・紗倉まなの小説デビュー作が待望の文庫化。
AV出演歴のある母親を憎む少女、あやこ。家族に黙って活動を続ける人気AV女優、彩乃。愛する男とともに上京したススキノの女、桃子。夫のAVを見て出演を決意した専業主婦、美穂。四人の女優を巡る連作短編小説。
感想・レビュー・書評
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この作品が処女作とは思えないほどの完成度でした。
最新作『春、死なん』が好評との事で本業より作家に専念したほうがいいのでは?
映画もあるとの事なのでぜひ見てみたいです。 -
2021年4月1日読了。
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『彩乃』
高校を卒業後すぐに北海道から逃げるように上京し、特にやりたい事や夢があるわけではなく専門学校に通っていた彩乃。
そんな時、街で出会ったスカウト・洋平の紹介でアダルト業界へと足を踏み入れる。
何本かの作品に出演し、売れ行きも順調な矢先、母からの電話。
『あんた、とんでもないことをしているでしょ!』
家族にバレてしまった煩わしさと、仕事のめんどくささを忘れたくて一人で飲んでいる時に出会った男性と一夜を共にしてしまう。
それは久しぶりの恋だった。
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『桃子』
仕事を失い、どこか遠いところへ行きたいと思い、北海道へ降り立った石村。
ススキノにある古びた居酒屋で一人酒に溺れそうになっていたところ、急に絡んできた男・福渡。
『あんた男ならとんでもない花火を一発打ち上げてみないか?AVプロダクションの設立だよ』
胡散臭い話だったが、不思議と福渡の人柄とAVプロダクションという斬新な提案に魅了され、あれよあれよと話は進んだ。
福渡が《プロダクションの最終兵器》として紹介してきたのが桃子だった。
ススキノのクラブで働いていた彼女を引き抜いてきたのだと言う。
特別美人というわけではなく、全体的に丸っこく、愛嬌のあるファニーフェイス。
一緒にいるだけで幸せな気分にさせてくれる、外見では評価できない癒しを与えてくれる魅力を持った女性・桃子。
石村は桃子に惹かれていく。
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『美穂』
結婚生活七年目の橋口夫婦。
美穂はもう三十四歳で、子供はまだいない。
セックスレスになって五年程。
夫に子供が欲しいと伝えた所で、『いつかは欲しいけど、もう少しいいんじゃないか』と煮え切らない返事しか返ってこない。
すでに、情と紙切れ一枚でつながっているような状態だ。
だが、美穂の欲求はふつふつと湧き上がり溢れ出てくる。
こみあげてくるふしだらな欲求をどのように処理していいか分からない美穂は、夫の部屋で見つけたDVDをきっかけに、気づけばその事務所に電話をかけていた。
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『あやこ』
田舎で喫茶店を細々と経営している知恵の元に、十年前に飛び出して行った娘・孝子が突然帰ってきた。
傍らに五歳の娘・あやこを連れて…
聞くと、結婚はせず父親である男とは別れたという。
時は経ち、あやこは十四歳。
小さい頃から絵心があったあやこは、絵のコンクールに入賞し地元の新聞やテレビで取り上げられ、注目の的となった。
それがきっかけで、普段目立たなかったあやこは、悪い意味で注目されてしまう。
《あの子のお母さん、昔AVに出てたらしいよ》
《みっともないね、そんなことする親なんて。気持ち悪い》
私は淫乱な女の娘なの?
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現役AV女優・紗倉まなさんの小説デビュー作。
AVに関わる4つの短編集。
作家とはまったく畑違いの方なので、内容は期待していなかったが、どの話もしっかりとした文章で面白かった。
ただの本好きのイロモノ作家ではあのクオリティの文章は書けないだろうから、やはり文才のある方なんだろう。
句読点がやたらに多くて気にはなるが、それも恐らく意図的なものなのでしょう。
何か強く感じたり響いたかと言われると、そこまで印象に残る内容ではなかったが
アダルト業界に精通しているからこそ書ける内容なのは間違いない。 -
あとがきがとてもよかった。
なぜこの作家に出会ったのか忘れたが、ほかの作品も読んでみたくなった。 -
現在、所属している団体が人身売買被害者の雇用促進を行なっている(強制的にさせられている人に対して、これ以上セックスワークをしなくていいように支援しているということ)ので、日本の生産業状態の一つの見方を知りたく読んだ。期待した通り、ポジティブな考え方を含め様々な見方がかかれていたので、読めてよかったな、という作品。
ただ、おそらく著者の「AV業界に対しての偏見を解く」というメッセージが強いがために、マイナスな見方が少なく、多様性という面では視点に書いているように思えた(もちろん一冊に全て含めるのは無理だと思いますが・・・)
闇がある一方、全てが鬱憤としている訳ではないことについて学ぶきっかけにはなった。 -
一番魅力的に感じたのはあとがき。
書店であとがきを立ち読みして購入を決め、読み終わってからもう一度あとがきを読み返した。
なんて素敵な「本との出会い」だろう。
そこに至るまでの様々な出来事に対しては何も言えないけれど、こんな風に本を薦めてくれる友人がいるのは素敵なことだと思う。 -
紗倉まな『最低。』角川文庫。
連作短編集という訳でもなく、何か伝わるものがあるかというと、そういうこともなく…現役AV女優による小説デビュー作にして、近日公開の映画原作小説ということらしい。
綾乃、桃子、美穂、あやこの4人の女性を主人公にしたAVにまつわる短編を収録。
可もなく、不可もなく。 -
全体を通してどこか物悲しさややるせなさみたいなものが漂う。
決して明るくない。
けどそれがなんともいえず良い雰囲気を出してると思う。 -
普通に面白い。
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AV女優を主役というか主軸にした作品。
他の人も述べたように「あとがき」も含めて一つの作品と思いました。
親ばれしても続けるAV女優、AV女優のプロデュースをするプロデューサー、AV女優を母に持つ女性など、いたるところにav女優の生き様が見られて、普段は知られないことが知れたいい作品でした。
著者プロフィール
紗倉まなの作品





