虹色の童話 (角川文庫)

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本棚登録 : 48
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026335

作品紹介・あらすじ

民生委員の千加子は、「レインボーハイツ」をたびたび訪れる。その名が虚しく響く、くすんだ灰色のマンション。そこに住む、なかば育児放棄された5歳児・瑠衣を世話するためだ。他の住人たちも生活に倦み疲れ、暗い陰をまとっていたが、やがて必然のように不幸が打ち続く。その裏にちらつく小さな影は一体……日常にじわりと滲み出す闇を生々しく描く、長編ホラーミステリー。解説:千街晶之

感想・レビュー・書評

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  • この直前に読んだのが『むかしむかしあるところに、死体がありました。』でした。意識して選んだわけではなかったけれど、昔話からグリム童話へ。

    呪われたかのようなアパートの名前はレインボーハイツ。濁点が外れた「レインホー」の看板を想像して少し笑ったものの、おぞましさは昔話の倍以上。入居者の間で次々と起こる惨殺事件のトリガーになっているとおぼしき5歳児。

    救いようのない話をそれほど怖いと思ったつもりはなかったのに、昨晩その男の子が夢の中に出てきてうなされました。自分の叫び声に驚いて起きる始末。それぐらい不気味(泣)。

  • 世の中から突き離されたかのように手入れされていない家屋を目にすることがある。誰がどう住んでいるんだろう。空き家寸前の魂を抜かれたような、生きる気力を失った廃屋のような賃貸マンションが舞台。住人達それぞれの不幸、憎悪、失望がそこに形を成し存在する。惨めさを認めたくなくて、なのに前にも後ろにも動けなくなっている人々の描写に心を掴まれる。DVの夫婦、虐待が疑われる母親、失業中の夫等の何処かに私も重なる。結末の狂気に圧倒されるが、筋や仕掛けのみならず、宇佐美さんの描く醜く弱い人間がたまらない。

  • 相変わらず、宇佐美氏は誰にでもある闇の部分を、
    キチンと分かりやすく巧く描かれる。
    魔に取り憑かれる弱い箇所を、どんな風に味付けをしても、
    リアリティがあり、自分の深淵を覗かれている気持ちになる。
    グリム童話を絡ませて、
    物語の謎解きとしてホラー仕立てにされているが、
    グリム童話はそのもの次第、
    人の噂や実際に起こった殺人を土台にしているから、
    常に人の世は悪意ある口伝えや魔に取り憑かれてしまうという、
    この本も現代のグリム童話でもある。
    不穏な闇に取り込まれないように気をつけて。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    さらに作者のやり口(?)になじんできたので、
    腰を抜かすほどの驚きはなかったし、
    童話になぞらえた展開は目新しい物でもないが、
    静かに楽しめた。

    でも、さすがにオオカミはねー。

  • 「愚者の毒」「入らずの森」の作者ということで自然に高まる期待と七色の題名とは裏腹に、心荒ぶ家族関係の毒気に当てられて全体を覆う灰色の閉塞感に息苦しくなっていく。
    千加子さん…怖いよ。瑠衣くんには、大家が言いかけていた「あの土地はね」の続きも影響を及ぼしていたのかな。各家庭燻る火種はあったにせよ、やはり人が住んじゃいけない土地ってあるんだと神妙な心境になった。話に粗さを感じるものの野犬や赤いスカーフの伏線の繋がりは巧妙。
    きっとあの後彼だけは生きている…そんな気がして仕方ない。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。2006年『るんびにの子供』で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年、ミステリー小説『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞する。日常に潜む怪異を描き、恨みや妬み、欲や貧困など、人の心の闇や怖さを浮き彫りにしたミステリーが高く評価されている。

「2017年 『角の生えた帽子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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