百年法 (上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1330
レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027097

作品紹介・あらすじ

不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?

感想・レビュー・書評

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  • 永遠に生きたいかと問われれば答えはNOだ。
    死ねないなんて考えたくもない。
    でも、この小説のようにHAVIがあったとしたら。
    年を取ることなく生き続けることが可能で、死ぬ時は安楽死が保証されているとしたら…。
    生存期限が残っているうちはいつ死んでもいいと思えていたとしても、残り時間がわずかになれば私も小説の中の人達のように「死にたくない」と思うのだろうか。
    ずっとその点を疑問に思いながら読んでいた。
    死を前にした人の反応と、人の死をコントロール出来る人が見せる残酷さ。
    これはリアルなのだろうか。
    この物語はとても怖い。

    下巻はどうなるのか。
    怖いけれどとても気になる。
    ハッピーエンドは有り得ない気がしてしまうけれど、見事に裏切ってほしい。

  • 文庫で再読ですが、やっぱりとても引き込まれて読みます。面白かったです。
    HAVIという技術で不老不死になった人々。先の世界大戦は起こっていても、その後の歴史が違う、日本共和国というパラレルワールド。
    受けてから100年が経過したら死ななければならないという「百年法」を巡り、制定から施行、そしてこれからの不穏な予感…というところで上巻は終わりです。
    わたしは終わりのない命は不気味、有限だからこそ今をちゃんと生きられると思います。老い、というのも特に避けたいとは思いません、成熟だと思うから。この物語の、外見は若々しいけど内面の老いが滲み出ているようなHAVIを受けた人々の描写はなんだかわかると思いました。
    命の期限が平等に決められている、のは良いですが、命の期限を誰かの権力で左右される、のは怖いです。
    下巻も楽しみです。

  • お!も!し!ろ!す!ぎ!る!!!!!
    台詞が多いので読みやすいし、台詞が多いのに状況描写がめっちゃ分かりやすい!!状況描写からの怒濤の台詞量だからかな。ガツガツ読める。なによりとにかく話がおもしろい。
    上巻を途中まで読んだ時点で周りに「いま読んでる“百年法”って小説の話なんだけどさ!もし、不老不死が実現したらどうする!?ハタチになったら受けられるワクチンみたいなものがあってね、それ受けたらそこから年をとらないの!!」って聞きまくった。
    そして相手が「じゃあ受けてみたいかも」って答えたら、「でもね、そのワクチンを受けた人は、100年後には安楽死で死ななきゃならないの!!そう国から決められてるの!!」と熱弁した。そこからは議論になったり、「100年も生きられるなら十分」となったりする。でも!でもさ!!って、話そうとすればするほど“でも”が出てくる世界。楽しい~~~!!!!

    まるでSFのような物語なのにこんなにも現実味に溢れているのはなぜなんだろう。すごいなぁ。「おもしれ~~!!!!」って言いながら読んでた。シン・ゴジラ好きな人は絶対好きな世界観なのでぜひ。

    ほいで私は本を読むとき、好きな俳優に当てはめて読むんだけどこの本でもそれをやってて

    遊佐くん……柳俊太郎か菅田将暉
    深町くん……吉沢亮
    笹原さん……東出昌大
    立花さん……小松奈々
    蘭子さん……二階堂ふみ
    由基美さん…白石麻衣
    貴代さん……佐野ひなこ
    戸毛さん……柳楽優弥
    木場さん……高杉真宙(仁科ケンも高杉くん)
    香川さん……加藤諒
    牛島さん……鈴木亮平

    って感じで考えてた。
    HAVI受けてるから、配役も基本20代中心になるんだよね~おもしろいね~こういうの考えるの楽しいな~読者それぞれのイメージがあるんだろうなぁ。いいな。

  • 設定がしっかり作りこまれてる気がする。引き込まれる。百年が経って死ななければならない人たちのそれぞれの考えが面白い。

  • HAVIという不老技術によって、人がほぼ永遠の命を手にいれた時代、HAVIを受けてから100年後(+α)に死ななければならないという生存制限法が施行された社会を舞台にした、重いストーリー。循環しない社会の淀みや鬱屈、倦怠感、不気味さがリアリティを持って描かれている。
    生にしがみつく人々を、自己中心的で醜いと感じるものの、自分だったらどうかと言われると、なんとも。潔くいたいとは思うが。
    凄い設定でグイグイ引き込まれるが、要するに現代の姥捨山をやるとすればこうなるんだろう。少子高齢化の現代社会も、ある意味同じ不安を抱えており、働き手がいないぶんさらに悪いといえるかもしれない。

  • 『人はみな、各々の思い込みの中で生きている。意識の光の当て方で、いかようにも変化する世界。心の中にだけ存在するファンタジーの世界だ。

    だが、いかに意識を変えても、変化しない世界もある。永遠不変。それが真実の世界だ。しかし人々は、ふだんは真実の世界のことなど考えもしない。まるでそんなものなど存在しないかのように振舞っている。だがそれは、人々の意思に拘らず、厳然と存在する。誰も否定はできなない。

    嫌でもそのことを思い知らされるのが、死の瞬間だ。死という圧倒的真実の前には、いかなるファンタジーも無意味と化す。だが同時に、死があるからこそ、ファンタジーは命を保てる。』

    めちゃくちゃ面白い。
    (上)の最後の部分、ぞわっとくる。

  • 子供の頃、藤子不二雄の「モジャ公」という漫画があった。宇宙冒険するまんがだが、その中に、不老不死の星の話があった。
    死ぬことができないその星の住人は、虚ろで覇気のない生活をしていた。他の星から来た主人公たちは、この星では起こらない「死」を持っていて、一大イベントとして危うく処刑されるところだった。
    そんな話だった。ずっとその話が頭から離れなかった。

    この本では、不死ではないが、不老処置HAVIにより永遠に生きることができる世界を描いている。ただ、百年法によってHAVIを受けてから百年後に必ず死ななければならない。
    本当に不老になった時、どのようなことになるのか、じっくりとシミュレーションしている。少し強引なところもあるが、概ねこうなるのだろうと思える。

    この世界、どのようになるのか。下巻が楽しみ。

  •  終戦後、アメリカから不老技術”HAVI”を導入し不老不死となった日本。しかし人口調整のためHAVIを受け入れた者は100年後に死ななければならない通称”100年法”も制定された。そして2048年、最初の100年が迫ろうとしていた。

     100年法をめぐっての政治家の暗躍に国民それぞれの揺らぎ、そして国家を飲み込むうねりというものがとてもよく表現されていたと思います。壮大な設定ながらリアリティを持って読み進めることができました。

     上巻では第一部、二部、三部の一章までが収録されているのですが、その構成が巧いなあ、と思いました。と言うのも第一部は100年法が執行間近の2048年、
    第二部では時代が飛んで2076年、第三部はそれからまた20年ほど後、と時代は飛び飛びながら、
    最小限の描写で読者に時代の大きな変化を理解させるあたりが(特に48年から76年の間で社会に大きな変化が訪れています)非常に巧いと思いました。いくらでも書きこもうと思えば書き込めるところだ思うのですが、そこをダラダラと書き込まないことで、
    世界観の説明に終わらず、各登場人物たちの死へ向けての葛藤がしっかりと書き込まれていたと思います。

     死にたくないけど永遠に生きたくもない、そんなセリフが小説内に出てくるのですが、読んでいる自分もその言葉に最も共感できました。

     単に人口が多くなるから、という理由だけでなくやっぱり老いであったり死という区切りが無ければ、世界や人間関係にいつか我慢できなくなってしまうのではないかと思います。
    でもこういう風に思えるのも自分がまだ若くて死が実感できないからであって、作中のように若い肉体のまま死を強制させられる立場になるとまた変わってくるのでしょうか。

     そう考えると老いや病気やけがで体が弱ってしまうのは、死に対する覚悟や心の準備のための期間なのかもしれないな、とも思います。

     政治部分の描写で恐ろしく感じたのが、自然な流れで独裁政治が完成してしまっていることでしょうか。これも100年法の設定を生かしたものなのですが、とても綺麗な流れでそうした政治体制が出来上がってしまいます。

     作中の官僚の言葉で、民主政治でも国民は間違うことがある、といった趣旨の言葉があるのですが、それが非常に実感を持って思い出されました。

    そしてその官僚が続けて言った言葉が、間違うことがある国民を正しい方向に誘導するのが政治の仕事とあります。では果たしてこの誘導が正しかったのかどうか、それはまた下巻でのお楽しみ、といったところでしょうか。

    第66回日本推理作家協会賞
    第10回本屋大賞9位

  • とても面白いです。平易な文章で非常に読み易いのでデカいバジェットをフルに生かしたエンタメ作品にしか思えなくて映画でいうとマーベルやXMENとかを見ている感じですかね(笑)
    それでも「不老不死を手に入れた社会」において、
    生と死、労働、政治、家族、恋愛そして貧困や病気、暴力とありとあらゆる要素を抱え込んで見事なまでに時間を表現していると思います。
    読んでいると感じるのは「永遠に生きることが素晴らしい」という訳ではない!って印象です。何か生きる目的や大志があって長い時間を有効に使うならいいけれど、目先の快楽みたいな近視眼的な考えしかないと100年は長すぎて苦痛になってしまいそうですよね。
    上巻だけでもかなり面白く読ませてもらいましたが、下巻ではどんなドラマが待っているのか楽しみで仕方ありません。
    この作品は「生きる」ってことを考えてみるいい機会かもしれないです。

  • 老化しない体に、命の制限を設けるってところが面白いです。そして、日本国民を、めちゃめちゃ馬鹿にしてます。

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』など。

「2018年 『代体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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