ホーンテッド・キャンパス なくせない鍵 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027240

作品紹介・あらすじ

今年も白い冬がやってきた。新年を目前に浮き足立つ大学生たち。しかし美術サークルの展示会で怪奇が起こる。なんと、部員が描いたモナリザを見た観客からクレームが殺到。呪われたモナリザの謎とは!?

感想・レビュー・書評

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  • なかなかホラー色の強かった一冊。
    森司とこよみは相変わらずだが、ホラーで息が詰まった合間に、ふっと一息つかせてくれる。
    森司の勘違いポンコツぶりには、呆れる部分もあるが…

    最後のエピソード、浅間山荘や連合赤軍の事件が、深く関わってくる。

    この作品には実際に起こった出来事や事件がよく扱われているが、参考として扱われることが多く、ここまで深く関わったのは初めてだ。

    私が小学生にあがったばかりの頃、浅間山荘立てこもり事件のニュースがテレビで流れていた。
    おそらく連日TV中継されていたのだろうけど、幼かった私は遊びながら横目でチラッと見た記憶があるくらいで、その印象も警察もののTVドラマを見ている感覚とあまり変わらなかった。

    大人になってから事件の詳細を知ったが、それでもなぜ当時の若者があのような事件を起こさなければならなかったのか、今も理解できない。

    ただ何となく解るのは、時代が今と違って、若者や女性に対してもっと押さえつけて窮屈で理不尽だったのだろう。

    学生運動もそうだけど、事の起こりは世間も納得できるものの筈だった。
    それがどこかでだんだんおかしくなっていって、引き返すことの出来ない所まで行ってしまったのか。

    東大の抗争もそうだけど、頭も良くっておそらく普通の家庭の人たちがなぜ?とも思うが、オウムの事件でも捕まった人たちは、たいてい高学歴だった。

    何か集団心理が働いて、そこから動けなくなってしまうのか?
    そして抜け出せない自分を守るために、犯罪とわかっていても「これは仕方のないこと」として、受け入れてしまうのか?

    お勉強が出来る頭の良さよりも、正しく普通に生きていく図々しさを身につけたい。

  • シリーズ第七弾。今回はなかなか良かった。森司とこよみの恋がいい感じなんだ。ドリアン・グレイの肖像画のような話しが怖くて、モデルの女性の容姿が変化していくのが怖い。ラストの黒い虫が大量に出てくる話しも怖く。アメリカのB級ホラー映画みたいなラストシーンは、私の好みである。とにかく、今回は面白かった。やっぱ、夏はホラーですね。

  • 「嗤うモナリザ」
    絵を見た瞬間に。
    狐憑きと言われ本来の治療をされず亡くなった人は何人いるのか分からないが、未だにそれを信じ続けている人がいるのも恐ろしいな。
    無事に原因が分かり二人の仲を割くことなく事件が解決して良かったが、最後の最後に狐に遊ばれた二人はある意味ラッキーだったな。

    「仄白い街灯の下で」
    点滅する街灯に迷い込む。
    どれだけ歳をとろうと自分の職務を全うし続け、動けなくなったのなら他に誰かに気づいて貰えるよう合図を等考えたあの子はか本当に優しい子なのだろうな。
    嫌な奴と周りから見られてしまう行動も、実際には助けて欲しいという思いとバレたらまずいという二つの思いからの行動だったのかもしれないな。

    「薄暮」
    ずっと自分を見続ける。
    自分の中で彼女の思いを捻じ曲げで世間に公表してしまった事に関する罪悪感や、その話を信じている周りの人に自分が耐えきれなかったのだろうな。
    幾ら自分には彼女が居て、彼女は自分のタイプで無かったとしても思いのこもったラブレターぐらい受け取りちゃんと返事をしてあげれば良かったのにな。

    「夜に這うもの」
    虫がどんどん身体に。
    こんな体験をしてしまったら誰でも一瞬で正気を失い、彼女の言葉や虫の大群から逃げる事しか頭になくなってしまうだろうな。
    同じ思いならと彼女の言葉の意味を意識を取り戻した後、彼が覚えていたら勝手な誤解も解けて上手くいくのではないだろうか。

  • 2019年38冊目。森司とこよみ、文章を読んでいて、付き合っているんじゃね?と錯覚させるようなことをお互いやっていてヤキモキさせられる。特に森司の方は、あまりにも自分に自信が無さ過ぎ。まあ、奥手の男性は恋愛に関してはこんな感じなのかなとも思うけど。心霊現象よりも、森司とこよみの恋の行方の方がとっても気になりました。感想はこんなところです。

  • 鍵を拾った直後、持ち主が現れた。
    それだけのはずが、数日後依頼関係者として現れた。

    の1話目ですが、確かにそのまま放置しておくと
    女性群に反感しか買わない男に出来上がります。
    最後まで読むと、それでか…と思い至りますが
    旧家って面倒くさい。

    そして不思議に消える街灯の2話目。
    落ちとしては、これはいいのか? という疑問が。
    確かにこんなのがいたら、強引に確かめたくは
    なるものですが。

    3話としては、目の前に飛びついてしまって
    ツケを払わされている状態。
    これはこれで仕方がない気もしますが
    ご両親も、息子が結婚しなかろう未来を
    考えて発言しているのでしょうか?

    うっかり知ってしまって、の落ち込みを引きずる4話。
    こう言われてしまったらなぁというのは分かりますが
    はたから見ていると面白すぎるw
    そして今回の怪異の共通点に当てはまって
    慌てる羽目になってしまったという。
    周囲の皆様がうっかり誤解してくれたおかげで
    ばれてなくてよかったね、ですがw

  • シリーズ7作目。
    鍵がこの本のテーマになっているようです。
    ラブコメ度はますますup。二人の距離は近くなっているのか...バレバレですけれども。
    「夜に這うもの」はホラーとは別の意味で怖い。生理的に受け付けない感じがします。

  • 2017.9.13読了

    怪現象よりなにより、こよみと森司の進展具合に身悶えする今回の巻。
    さくさく読めるから好き。

  • (収録作品)嗤うモナリザ/仄白い街灯の下で/薄暮/夜に這うもの

  • 背ラベル:913.6-ク-7

  • シリーズ第7弾。
    4話からなる短編集。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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