木曜日の子ども

著者 :
  • KADOKAWA
3.30
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本棚登録 : 1300
感想 : 168
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041028322

作品紹介・あらすじ

「世界はこんなに弱くてもろくて、滅ぼすなんて簡単なんだってことを……ウエダサマが教えてくれたんですよ」

7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。
結婚を機にその地に越してきた私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との距離をつかみかねていた。
前の学校でひどいいじめに遭っていた晴彦は、毒殺事件の犯人・上田祐太郎と面影が似ているらしい。
この夏、上田は社会に復帰し、ひそかに噂が流れる――世界の終わりを見せるために、ウエダサマが降臨した。
やがて旭ヶ丘に相次ぐ、不審者情報、飼い犬の変死、学校への脅迫状。
一方、晴彦は「友だちができたんだ」と笑う。信じたい。けれど、確かめるのが怖い。
そして再び、「事件」は起きた――。

感想・レビュー・書評

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  • どんどんこの本の世界観に入っていける本だった。木曜日の子どもというタイトル。最初は「は?」っていう感じだったけど序盤ですぐに意味がわかった。ちなみに私は月曜日の子どもです。前半の方が面白かったですね。最後の方になるとややこしくて...でも面白かったので星4です!

  • 14歳の晴彦は酷いいじめにあい、自殺未遂ののちに、母親の再婚と共に新しい生活を始める為に引っ越してきた旭ヶ丘は、かつて同級生による無差別殺人があった場所だった。
    42歳で初婚である父親の清水の、私は愚かな父親だったのか。正しいか、間違っているかではない。強いか弱いかでもないし、ましてや勝つか負けるかなどどうでもいい。ただ、愚かだったのか、と自分に問う。その愚かしさがどこまでも悲しい・・・。
    日々、無我夢中で子育てしている母親も父親も、同じような気持ちに一度は、いや何度となくなったことがあると思う。
    血の繋がった我が子でも、やっぱり本音はわからない。本音を知るのは少し怖い。
    上田と高木、そして晴彦も、子供の頃に未来を描く時間に、自分が居なくなった後の世界を描いたとあるが、自分はどうだったろう?
    コロナ禍の世の中で、自死や、倒産が相次ぎ、ちょっとしたことでSNSに血祭り上げられる環境におかれている子供達には、ウエダサマはやはりヒーローになりうるのだろうか?
    世界の終わりを見たくはないか・・?
    世界の終わりなんて、なくなってみないとわからない。




  • 学校が世界の全てである、中学生、高校生
    その世代であれば、共感できる部分もあるんだろうと思うと怖いともおもうけど、そうなんだろうなぁとなっとくしてしまう部分もある…
    SNSやら何やら行きづらくなってるこの世界では
    スーパーヒーローよりも、ダークヒーローの方が
    神や救世主になり得るのかもしれない

    個人的な感想ですが、「かがみの孤城」の対になる作品なのではと思います。

    本文より
    「私思うんですよ。世界を滅亡させるとか、破滅させるとかって、よく言うじゃないですか。でも、本当は誰も本気で世界のことなんて相手にしてるわけじゃないんです。本気で滅ぼしたいのは、もっと小さな、身近な、そこらにいる誰かのことで…それを滅ぼすために、世界も「ついで」や「おまけ」で滅ぼされちゃうんじゃないか、って」

  • 重松氏らしい文章。
    でも、人がたくさん死んでいくのは、読んでいて少し辛い。
    最後は、やっぱり自分が勇気をもって前を向かないと解決しない。
    ちょっとジェネレーションギャップの問題もあり、読み直す気にはなれない・・

  • 前半は面白くて、どんどんのめり込んでいったけれど、犯人とお父さんとのやり取りは何だかイライラというかムカムカというか、早く終らせて!って感じだった。

  • 心がひりつく、一冊。
    結婚を機に連れ子の義父となった主人公。主人公の必死に「家族」になろうとする姿に胸が痛む。

    息子の完璧な笑顔、受け応え…誰もの心の奥に隠されたもの、真の顔を、一枚一枚仮面をはぎ取られるように見せられていく、そんな感じに終始心がひりつきながらも、ひきこまれ一気に読まされる世界だった。
    どこまでもまとわりつくネット社会、簡単に思いを言葉を発し簡単に賛同を得られる世界。そしてそれに共感する世代、崇拝する人間が存在し、やがて巨大な思いをうみだすかもしれない…そこに何よりも恐ろしさを感じた。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      これ気になっていたよ!
      でもちょっとどうなんって内容で迷ってた。
      重松さんってこんな作品書いていたかなぁ...
      こんばんは(^-^)/

      これ気になっていたよ!
      でもちょっとどうなんって内容で迷ってた。
      重松さんってこんな作品書いていたかなぁ…
      まぁ、重かったよね。
      くるたんが珍しく星3つなのが気になります(*≧艸≦)
      2019/04/17
    • くるたんさん
      けいたん♪おはよ♪
      反応ありがとう♡

      そうなんだよね、子供、家族がテーマの重い作品!
      でもすごい読ませてくれる、ページをめくる手が止まらな...
      けいたん♪おはよ♪
      反応ありがとう♡

      そうなんだよね、子供、家族がテーマの重い作品!
      でもすごい読ませてくれる、ページをめくる手が止まらなかったよ♪
      だけど終盤の展開が…失速感が否めなくてね。


      ちょっと、頭が ⁇状態だったのが正直な気持ちだよ(*vωv) 

      今時の子供ってこんなんなのかなぁ。って考えると怖い!
      2019/04/17
  • 重松清は、夢中になって読み漁ったものだ。
    一時はあらかた読んでしまい、読むものがなくなったから辻村深月にはまっていったという経緯がある。
    いわば、重松清は私の青春だった。
    なぜその二人に惹かれたのか。
    当時私は学校が大嫌いだった。
    小学校も、中学校も、高校も(中高は一貫だった)、「なかった」ことにしたい。
    同級生、教師に虐められたこともあったしいじめた事もあった。
    これを口にするのは本当に恥ずべき事だが、忘れないことが償いであり、自身への烙印だと思っている。
    その痛みを抉るのが著者の作品だった。
    しかし、著書に私は光明を見た。

    主人公は、中学生の子供を持つ女性と結婚した。
    まだ彼は「父」ではなく、お客さんの立場である。
    この家族はかつて中学生による無差別殺人の起きた、旭ヶ丘にこしてきた。
    「息子」の晴彦は「父」にどうも嘘をついているようだ。
    「友達」の「高木くん」なんていない、が、誰か、はいるようだ。
    いったいその「友達」は誰?

    自分の命をかけるしかない復讐なんて!
    命を差し出す価値が、その復讐にあるのか?
    優しい晴彦よ、君のやっていることはゲームなんかじゃない。

    「父」とは、親とはなんなのだろう。
    傷つきやすく、切れないナイフを闇雲に振り回すしかなかったあの頃の私に、今の私は何をしてあげられるだろう。
    子供を守るにはどうしたらいいのだろう。
    切れないナイフも、切れるナイフも、私を、子供を助けてはくれなかった。

    今や守る側にいる私は、何ができるだろう?

  • 「自分が安心したいからわかりたい」ことと、
    「わからないことの深さ、闇そのものをわかりたい」こと。
    どちらの感覚もある。

  • 前半は、じわじわと怖くてよかったと思います。
    後半リアリティがなくて入り込めませんでした…。
    重松さんの作品ならもっと現実味のある、人間の心について読めると思ったので少し残念です。

    重松さんは結局何を伝えたかったのかな…?
    傷つき、命を武器にするしかなくなった人間が至る境地
    でもウエダサマが崩壊したということは、それも脆いものであり…
    中学生くらいの子はそういうものに惹かれやすいということかな…?

    後半は私が期待してたものとは違いましたが、前半は緊張感のある文章で、怖くて、でも気になるから読むのをやめられない、さすがだと思いました。久しぶりに夢中で読んだ本です。

  • 大人になってからこの本を読めてよかった。
    もしも、14歳でこの本と出会っていたら、この物語を自分の外側においておける自信がない。
    ページの間から伸びる黒い手が握るカプセルを受け取らない自信がない。
    世界の終わりの始まりを見たいという誘惑に勝てる気がしない。
    この先、ワルキューレを聴くたびに、思い出すのだろう。理解も共感もできないけれど、頭の、いや、心のどこかに光る小さな不穏な炎を。ウエダサマに惹かれるあやうい自分を。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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