傘をもたない蟻たちは

  • KADOKAWA (2015年6月1日発売)
3.57
  • (68)
  • (183)
  • (183)
  • (36)
  • (5)
本棚登録 : 2011
感想 : 169
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041028339

作品紹介・あらすじ

美大生の文登は、河川敷で鮮やかなグラフィックアートを描く美優と出会う。天才肌の彼女に惹かれ、付き合っている女性に隠れて逢瀬を重ねるが……。(「染色」)
恋愛小説に取り組む小説家の僕は、書いた原稿がそのまま自分の夢で再現される不思議な現象に見舞われ……。(「恋愛小説(仮)」)

無限の悲しみは、どこまでも僕を埋め尽くす――。
生きづらさを抱える人々の痛みと希望を描く、鮮烈な6つの物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編集。アイドルの爽やかな姿からは想像しにくいような作品あり。人によって好みが分かれそう。個人的には、パンチが強くても彼の書く文章の温度感が好き。

  • 6つの短編集のうち3つ目の話が好き。中には非現実的な話もある。

  • 5/18
    世にも奇妙な物語なのか?これは…
    非日常ではなくてあくまでも毎日を描いているのだが、それすらも不思議な世界に感じられる。
    加藤シゲアキさんの本をもっと読みたい
    好きな作家の1人になりました!

  • 短編集なのでさくっと読めた。
    加藤シゲアキさんの作品を読むのは何冊目かだけど、アイドルというイメージが全くなく、いつも新鮮な読書感を与えてくれる印象。
    今回も切なくてよかった。

  • 今を生きる人の「生」と「性」をテーマにした6編の物語。
    割と後味の悪いものが多かった印象です。

    「染色」
    「undress」
    「イガヌの雨」
    「恋愛小説(仮)」
    「インターセプト」
    「にべもなく、よるべもなく」

    「undress」~「インターセプト」は「世にも奇妙な…」を観た後のような読後感。
    恋愛、青春、SF、心理サスペンス、といろいろなジャンルが詰め込まれていておもしろかったです。よく考えて書かれていて、実験的、挑戦、という言葉がすごく浮かぶ一冊でした。書く幅を広げているのだなぁ。
    文章に若干のかっこつけは感じちゃいますが…(笑)
    「イガヌの雨」の食事の描写がとてもおいしそうで…イガヌは気持ち悪いけど、食べる描写がとてもうまいと感心しました。

    「インターセプト」は終わりでかなりぞくぞくしましたが、お話の構成がとてもおもしろかったです。

    一番いいなと思ったのが、「にべもなく、よるべもなく」です。中学生の幼馴染同士の葛藤、少し重めの内容でした。ケイスケと純の海でのシーン、お互いを想う気持ちの尊さを感じるとてもよい場面でした。
    現実的な終わり方に少し切なさを感じつつも、爽やかな気持ちで読み終えました。

    描写がとてもきちんとしていて、いい意味でとても読みやすいなと思いました。

  • ほとんどの話に「別れ」があって、その寂しさの中で、「そう簡単にうまくはいかないよ」という感じがすごく好き。現実的、というか。

    特に、「染色」と「にべもなく、よるべもなく」が良い。

    「にべもなく、よるべもなく」は、友達を理解しようと努めて、でも難しくてどうしたらいいのかと悩んで苦しむ男の子が切なかった。
    たくさん考えすぎてなんだかわけが分からなくなってしまう気持ちと葛藤が、うまく言えないけれど、よく分かる。

    「指をしゃぶり、手のひらや甲を舐めてきれいにしてもう一度右手をかざす。手は元どおりに見えたけれど、でも本当にきれいになったかというと実際はそうでもなく、僕の唾液で濡れた手は、さっきにも増して汚いように感じた。」

    性描写が生々しくてきれいな表現じゃないところもある。でも、汚く描くことで人間の汚さをちゃんと表しているのかも。

    スプレーで腕に色を塗ったり、汚い自分にカビが生えてきて海に入ったり。
    モチーフが何だかおしゃれな感じ。


    「僕は忘れたくても忘れられない。今もあの日を引きずっている。
    暗くなっていく空の下で、ケイスケの男らしい背中がどんどん遠くなっていく。
    どうして僕だけが置いてけぼりになっているんだろう。」

  • 人ってのはな、喜ぼうと思っても限界はあるが、悲しもうと思うと際限なく悲しむことができる。だったら最初から悲しまねえことだ。なにがあってもわしは悲しんだりしない。ただの出来事として受け入れる。

  • バッドエンドが多めの短編集だったが、
    後味の悪さも良い余韻でテンポも良くスラスラと読めた。

  • 短編集。今回は芸能界ものはなく、恋愛、不条理、SF的な設定等、いろんなジャンルがあって、なかなか楽しめました。

    私がいちばん面白かったのは「イガヌの雨」。まず「イガヌ」って何?ってとこから気になるし、想像の斜め上をいく設定でこの発想は素直にすごいと思った。

    意気揚々と脱サラしたはずの男が、信頼していたありとあらゆる人の裏切りを知って追いつめられていく「Undress」もなかなかブラックでスリリング。「インターセプト」も似たタイプの話だけれど、こちらもよくできていて感心。

    「恋愛小説(仮)」は自分で書いた小説を夢で実現できる話で、映画『ルビー・スパークス』を思い出した。

    逆に「染色」「にべもなく、よるべもなく 」といった恋愛、青春もののほうが私にはイマイチで、必要であれば性描写は全然かまわないけれどちょっと背伸びしすぎのような、アイドルだってセックスについて書くんだぜと無理して入れた感じがして逆に違和感。

    「にべもなく、よるべもなく」のほうは収録作品中ではいちばん長く、書き下ろしになっていますが、長編むきの題材をよく練らないうちに短編に詰め込んだような印象だし、やや唐突なBL展開はちょっと微妙。あまり推敲する時間がなかったのかな?と思うような部分もちょいちょい目につき、まあこういうのは著者だけでなく担当編集者や校閲からちょっと注意してあげればいいのにと思ったりもしますが。

    ※収録作品
    染色/Undress/恋愛小説(仮)/イガヌの雨/インターセプト/にべもなく、よるべもなく

  • 恐るべし加藤シゲアキ。
    彼の作品を初めて読んだけど、かなりの面白さに度肝を抜かれた。
    最近読んだ中ではダントツ面白い。
    短編集なんだけど、どれも毛色が違って凄い。
    全てが面白かったけど「イガヌの雨」「インターセプト」が斬新。
    加藤シゲアキの作品は、これからも期待。

全169件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤シゲアキの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×