火星の話

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 142
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041028346

感想・レビュー・書評

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  • 『図書室のはこぶね』の作中でお薦め本とされていた作品です。
    若い物語だった。良くも悪くも若い。
    大人の私は終始、“嘘に決まってる“と頭の片隅で呟きながらページを捲っていました。
    主人公は高校一年生の国吉君。同じクラスの佐伯さんは小学生の頃から、自分は火星人で十八歳になると王女である自分は火星に帰る‥‥と公言している。もちろん不思議ちゃんとしてクラスから浮きまくっている。でも、国吉くんは佐伯さんの言葉を信じることにしたのだ。
    “自分は宇宙人だ“と言っていたのは『まく子』のコズエと同じ。こちらのお話では主人公はコズエの言葉を信じず、別の登場人物が、“自分は初めから疑うようなことはしない。信じていたことが本当ではなかったと分かった時に初めて傷付けばいい。それまでは信じる“という意味合いのことを言っていました。
    『火星の話』では、誰一人信じない話を国吉君だけが信じます。でも、彼女を信じるのは誰のためなのか?彼女のためか?いや自分のためではないのか?と国吉君は自問自答します。10代の時の恋愛ってある意味こういうものなのかもしれないな、とも思いました。
    『火星の話』『まく子』、同じような設定でありながら、まったく別のアプローチの仕方で結末もまったく違う。
    どちらも“信じる“とは?と考えさせられる物語でした。
    そして、無邪気に無条件で信じることができなくなってしまった大人の私に気付かされる物語でもありました。

  • 自分は火星にある王国のお姫様だとずーっと言い続けている、佐伯さんと、彼女に恋している佐伯さんのクラスメイトの主人公の高一の国吉くんの話。僕である国吉くんの一人称で語られる。
    前半は、これはなんだ?どう言う事?と訝しながら、読むのを止めようか迷いながら、進んだ。国吉くんにちょっかいを出す高見さんが登場する後半辺りからグンと面白くなる。
    でも、不思議な話しでなんだか良く分からないまま終わる。後半、よくあるテーマ、できない事を悩んでないでやりたい事やった方が人生は良いぜ、なのかなと思ったら、そうでもない。
    不思議、不思議、です。

  • 「僕の胸の奥にある、ぐーっとなることしかできないはずの名前のない器官が、初めて痛んだ。素手で握りつぶされるみたいに、強烈に痛んだ。」

著者プロフィール

1991年長野県生まれ。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』『友情だねって感動してよ』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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