信長の原理

  • KADOKAWA (2018年8月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784041028384

作品紹介・あらすじ

何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのか。

織田信長の飽くなき渇望。家臣たちの終わりなき焦燥。
焼けつくような思考の交錯が、ある原理を浮かび上がらせ、
すべてが「本能寺の変」の真実へと集束してゆく――。
まだ見ぬ信長の内面を抉り出す、革命的歴史小説!

吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった――どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。そして、もし蟻も人も同じだとすれば……。やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ――。

累計10万部超え『光秀の定理』の空白はここに繋がり、歴史小説はまた、進化を遂げる。

【絶賛の声!】

歴史小説に確率論を導入した『光秀の定理』の画期は前兆に過ぎなかった。
パレートの定理を応用した『信長の原理』は、システム論的歴史小説という壮大な実験だ。
誰も見たことのない、まったく新しいエンターテインメントの形がここにある。
                   ――斎藤環氏(精神科医)


この本で信長は心理学者であり、それ以上に明敏な社会学者である。
あの謀反の原因も、信長の「社会学説」から解き明かされる。
                      ――大澤真幸氏(社会学者)

史実を踏まえた奇抜な着眼!
    ――谷口克広氏(戦国史専門・歴史研究家)

司馬遼太郎も思いつかなかった、組織論と人事論に根拠を置いた戦国もの。
良い本と巡り合った!
    ――菊池仁氏(書評家)

「パレートの法則」を通して物事の本質を見る信長を描きつつ、
論理からこぼれ落ちる情の部分をもしっかりと描いている。
見事な一作という他はない。
     ――縄田一男氏(書評家)

みんなの感想まとめ

人間の行動や組織のダイナミクスを探求する本作は、織田信長の内面と彼を取り巻く家臣たちの葛藤を描き出します。信長が蟻の観察を通じて導き出した「パレートの法則」を基に、彼の天才性や人間関係の複雑さが浮かび...

感想・レビュー・書評

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  • 若き日の信長が、蟻の様子を見ていて法則を発見したとしたら。
    それは…
    現代の「パレートの法則」つまり働き蟻は全体のどれぐらいいるか。一部がリーダー、大方は引っ張られるが、必ずサボる蟻もいるという話なのだが。
    信長の天才性と、妙に嚙み合っています。
    そして、主だった家臣たちの内面、働きとも呼応していく面白さ。

    幼い頃から乱暴で母に疎まれ、一人で遊ぶことが多かった信長。
    母が可愛がっている大人しい弟の方に、大方の家臣もついていた。
    父には認められ、見込まれていたのだが。
    弟との対立が激しくなる時期、うつけと評されていた信長に味方してくれた者への思いに、胸が熱くなります。

    信長、佐久間大学、木下藤吉郎、柴田勝家、丹羽秀長、松永弾正、明智光秀。
    下剋上もある時代に、それぞれの思惑や、いかに。
    気性は激しいが、成功への階段を昇って行ったイメージがある信長が、子供の頃からずっと、愛されず、人を信じ切れず、部下をどう育てても期待を裏切られると恐れているままだったとしたら。

    「光秀の定理」の作家さんだったんだ~と、読んでる途中で気づいて、次はそちらへ行きました。
    そして、最近の作品も気に入ってるので、遅ればせながらレビューをね(笑)

  • 信長は、蟻を観察し、人を観察して、いわゆるパレートの原理を導き出す。活動する集団の2割は必死に働き、6割はその2割に引っ張られて働く、残りの2割はさぼっている、という社会学者が提唱した原理である。実際に信長が発見したかどうかは、どうでもいいのだ。これを、小説を貫くアイデアにしたことが、この小説の面白さに繋がっている。はたして、信長の周りの2割の者たちが、劣化するか、脱落するかしていく。明智光秀の裏切りも、その2割というわけだ。しかし、この小説の面白さは、原理はさておき、信長、佐久間大学、木下藤吉郎、柴田勝家、丹羽秀長、松永弾正、明智光秀たちの心の中に随時、作者が入り込んで、執拗にその考えることを追っていくことにある。それぞれの人物は、感情に揺れ動かされながらも、とにかく理詰めに考え詰めていく。これが、実に面白い。歴史上の人物が、本当にそう考えたかどうかは、どうでもよくなってくる。これは、作者の筆力というべきであろう。それにしても、最後は、信長よりも光秀に、感情移入してしまう。光秀の心の動きは、実際もそうだったのかなあと、ふと思う。

  • タイトルと表紙の絵からはどんな内容かわかりませんでしたが、読んでみて納得しました。
    今までに信長に関する本やドラマなど数多く触れて来ましたが、これが最も真実に近いのではないかと思いました。
    人、蟻、見えない力、、、
    現代にも適用出来る原理。色々思うところがあり、読み応えのある作品でした。
    とても面白かったです。

  • こんなに孤独に苛まれ苦悩する信長は初めてかもしれない。
    幼い頃から鬱屈した憤懣が常に燻り、鬱々とした気持ちを抱える。
    実母から虐げられ家臣からも疎まれる始末。
    周りの大人の言う世の通年は、言葉では理解できても感覚として馴染めない。
    身の置き場のないまま、信長は一人、心の中で自問自答する。
    世間の物差しというものは本当に正しいのであろうか、と。

    何事も理屈で考え、納得する理がなければ前には進めない信長。
    天才肌で直感で何事もやり遂げたイメージのあった信長だったけれど、今回の信長は、その内面で随分葛藤していたようで少し意外だった。
    幼い頃に発見した蟻の法則を家臣達になぞり、常に「2割」という数字にこだわり続ける。
    対して、同じく理屈で物事を考える明智光秀。
    「あの法則がこのまま通用するのなら、…このおれを裏切る者がいずれ現れるはずだ。しかしそれは、いったい誰だ」
    似た者同志で最も信頼を寄せていた光秀の手にかかった信長。
    けれど信長の原理からすれば、本当の敵は信長自身だったのかもしれない。

    今日6月2日は信長公忌。
    この日に読み終えて嬉しい。

  • 『光秀の定理』に続くシリーズとも言える『信長の原理』。
    少年時代に、蟻の動きからパレートの法則を見出した信長は、その法則に基づき、常備軍を鍛えあげて、天下取りを目指す。
    世評、非情の権化の如く見做される信長だが、一方で臣下に対する情愛溢れる一面や、さらに、信玄や謙信と比べて己の才能のないことや気性の悪さを嘆く信長を、著者は描き出す。
    幼少期の体験(蟻の動きから会得した)が彼の行動原理となっているが、しかしその法則に囚われるあまり、信長はやがてその身を亡ぼす。
    そんな信長の末路を松永弾正が評する。
    「信長よ、お前も所詮人ではないか。虫けらと同じだ。が、その虫けらがこの宇内の原理を根底から変えようとするなど、その原則を覆そうとする人事を常に試みるなど何を思い上がっている。いったい何様のつもりだ」と。
    第一章から第三章までは、信長が主役で語られるが、第四章以下は、彼の部下たちの視点で交互に綴られ、信長の行動を立体的に描き出している。
    すなわち、木下藤吉郎(秀吉)、丹羽長秀、佐久間信盛、柴田勝家、松永弾正。そして、より多く割かれるのが、やはり明智光秀の視点。
    信長が、光秀を身近に呼び寄せ、家康の謀殺を相談する場面がある。これは史実だろうか。歴史にifは禁句だが、それが遂行されていたら、その後の日本はどうなっていただろう。
    そして、本能寺の変。
    光秀のその動機について、著者は信長の度重なる仕打ちに重ねて、次の言葉で個人としての誇りがずたずたに切り裂かれたことによると、著者は述べる。
    「ぬしの今後も内蔵助の首も、すべてこのわしの匙加減ひとつであるぞ。その一事を忘れるなっ」
    『光秀の定理』と合わせて読むと、より深く味わえるのではないか。
    同時期に読んだ司馬遼太郎の『手掘り日本史』では、本能寺の変を、光秀ノイローゼ説としている。

  • 子供時代の織田信長から本能寺の変まで、現代の理論「働き蟻の法則」をテーマにして描いた読み応えのある作品。
    部将を取り立ててはふるい落とし、走り続けた信長は、実際にもこのように考えていたのかもしれないと感じるほど、面白い着想だと思う。
    信長、松永久秀、明智光秀など、このように物事を見て考えて突き詰めていく様に、非常に引き込まれる。
    最後の本能寺の変は少し駆け足で、もっとじっくり描いて欲しかった気もしするが…。

    実はこの作品で個人的に一番印象に残ったのは、明らかにフィクションだろうが、働き蟻の実験後に信長が頭の中を整理しきれずに思いをぶつけた際の、帰蝶の言葉だ。それでも信長は、突き詰めて生きたんだな、と改めて思う。

  • 垣根さんの時代物は初めて読んだが、予想以上に面白かった。
    幼少時に目にした蟻の動き。そこから導かれた二・六・二(または一・三・一)の法則。
    どんな法則かはネタバレになってしまうので書かないが、その蟻の法則が人にも当てはまることを長じるに連れて目にしていく信長の驚愕とその法則をコントロールしようと抗う姿を、これまで散々描かれてきた信長像に当てはめるとこんなに面白い物語になるのかと感心した。

    なぜ彼は家臣たちを駒のように使い駒のように捨てたのか、一方で松永弾正のような男にはなぜ何度も慈悲をかけたのか、今川義元との戦いでなぜ自信を持って闘えたのか…数々の信長にまつわるエピソードが垣根流の解釈で興味深く読める。

    結局のところ二・六・二の法則に縛られその法則までも自分の良いように操ろうとした信長はその考え故に自らの首を締めることになってしまった。人は神仏を超えた自然の『原理』には逆らえないということなのか。

    ではなぜ秀吉は天下を統一できたのか、更に家康はなぜ二百五十年もの泰平の世の礎を築くことができたのか、その辺りもぜひ書いてほしい。
    この作品が面白かったので、遡って「光秀の定理」も読んでみたいと思う。

    • moboyokohamaさん
      「室町無頼」の垣根さんですね。
      「信長の原理」小説らしくないタイトルと思っていましたが読みたくなりました。
      「室町無頼」の垣根さんですね。
      「信長の原理」小説らしくないタイトルと思っていましたが読みたくなりました。
      2019/06/09
    • fuku ※たまにレビューします さん
      コメントありがとうございます。
      垣根さんの時代物は初めてでしたが読みやすくテーマも興味深かったです。
      コメントありがとうございます。
      垣根さんの時代物は初めてでしたが読みやすくテーマも興味深かったです。
      2019/06/10
  • 幼少期に蟻の動きからパレートの法則を捉え、実証まで行い確信にいたる執念深さ。
    すべての悲劇はここにあったのではないだろうか。
    常に2:6:2を意識し部隊を精錬する様は理想とストイックさが垣間見える。

    無慈悲さがイメージの信長であったが適材適所に努め、リーダーとして全体最適を常に考え行動していたようだ。
    冷徹さは徹底したシステマチックさと効率性の追求にあるのではと思った。

    終盤にかけて光秀を追い込む信長の狂気、頭の良すぎる光秀の様々なシミュレーション、意図せぬ和歌の解釈と優秀過ぎる光秀の部下たち。
    光秀本人は逡巡した挙句ベターな策を講じようとした矢先、時既に遅し。歴史は動いてしまった。怒涛の展開に読む手が止まらなかった。

    信長が果てる間際に件の法則から光秀の裏切りに心底驚き、目をかけていた側近中の側近が何故との疑問もすべては自分の蒔いた種と悟る姿。
    すべてを悲観的にとらえ完全に憎みきれないまま破滅へ進んだ光秀。
    ほんの少しのズレがこうも大きな結果をもたらす。
    何かが起きる時とは案外こんな読み違えからなのかと感じた。

  • 読み応えがあった。
    信長は勿論、藤吉郎、柴田勝家、佐久間信盛、など、そして明智光秀の視点からの語りもあり、物語が進む。

    なかなか興味深い物語の展開だったし、明智光秀の謀反までの流れも説得力があった。

    集団をまとめる時、人の考えをどれだけ読んだとて、結局はその通りにいかないもんだ。

    あと、信長の思い描く世界で、いろんな人が徐々に首を絞められていった感じがすごい伝わった。


    2019.12.1
    172

  • とてもおもしろかった。

    ほとんどの家臣が弟側につく人望のなさなのに、実父や岳父には見込まれる。
    気性が荒く、容赦のない反面、命をかけて救援におもむいたりもする。

    かんたんにつかみきれない、信長の複雑な内面。
    独自の理や心理を掘り下げることで、既成概念にとらわれない信長の言動の、背景を浮かび上がらせていく。
    人物の圧倒的な存在感。

    信長だけでなく、まわりの人間も同様。
    それぞれの思考に説得力があり、すべての出来事が必然に思えてくる。

    働き蟻の法則が、物語全体にいきていて、読み応えがあった。

    『光秀の定理』とはシリーズ?

  • 前に読んだ「光秀の定理」と今回の「信長の原理 」が、まるで
    パズルがピッタリはまったように、合わさり当時の勢力分布図が完成した

    それにしても、息が詰まるような心情小説だった

    信長は、長年仕えてきた将や家臣を『働き蟻の法則 』に従い、今力を落としてきたのは誰かを見、力を落としてきたと思いきや信長の匙加減ひとつと気分次第で、いつでもその地位をすげ替え、家中から追放したり、切腹させる
    信長にとっては、家臣たちは覇権争いのための一つのコマに過ぎなかった

    佐久間信盛、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益、羽柴秀吉、明智光秀は、織田家の中の自分の位置づけを考え、他者分析をする

    織田家で将としての資質を常に競わされ、前歴を問わない実力本位の激烈な競争原理によって死ぬまで生き残り合戦をさせられる
    そして、自分たちが信長にとっては、ただのコマに過ぎないのだと気づいていく

    本能寺の変に至るまでの光秀の苦悩、明智家の家老の苦悩は、読んでいて胸が締め付けられるような思いがした

    「 本能寺の変 」は、起こるべくして起こったのだと納得した

    202p〜218pの信長に命じられて秀吉と家臣が行った蟻の実験は、興味深かった

  • 何故私は 筋立ても結末もキャラクターもわかりきっている織田信長の物語を好んで何冊も読むのか?
    ソレに対する答えの一つを教えて貰えた

    この話は中盤までは織田信長、そしてラストに向けては明智光秀を中心にストーリーが展開する

    正直よくあるパターンだし(1番古い記憶だと司馬遼

  • 本の厚さ通り、読み応えたっぷりの読書。信長を取り巻く家臣の人間模様と心理描写が深い。現世にも通じるような、嫉妬、功名心。信長の人間性を巧みに描きながら、秀吉や明智光秀、柴田勝家、佐久間信盛など、個々の深層心理の機微や関係性まで描く。それらを貫く原理、一本の信長の思想とは。蟻の働き方から洞察された、人の世の原理。

    超合理的に生殺与奪を好き勝手行う信長は、サイコパスなのだろうか。戦が当たり前の時代でなければ、この感覚は捉え難い。単に残虐な一面が見えても、時代が違う。一歩間違えれば、直ぐに自分自身が殺されるような時代。そうした環境に見る武将たちの人間性や覚悟は見事だ。

    信長の生誕から本能寺の変まで。歴史小説は、史実を想像で補い綴られる。信長の思想を蟻の観察から人間原理に見出し、それを軸に描いたストーリーは圧巻である。

  • 戦国エンターテインメント小説として楽しめました。
    信長作品独特のヒリヒリした感じが伝わって来て読み応えも十分。そこはさすが垣根涼介って感じでした。

  • 読むのに時間がかかったけれど、登場人物の為人が生き生きと描かれていてとても面白く読みました。むしろ「光秀の定理」より光秀への感情移入がすんなりでき、とても読み応えがありました。
    蟻の原理は知っていましたが、人間の、しかも戦いにおける中でのこの原理…。そういえば表紙にも蟻が…。私も原理の一部なんですね。
    そして本編に直接登場してはいませんでしたが、武田信玄と上杉謙信の存在感の大きかったこと!様々な逸話は知っているけれど、本とかで読んだことがないのできちんと読んでみたいという気持ちになりました。

  • 面白いと思いながら読むのに 時間がかかったなぁ
    なんでだろう
    松永久秀のキャラクターが際立って一番印象に残ってる
    ストーリーは秀逸だと思ったけれど ラストに もう一山 あるいは もっとわかりやすいビビッとくるようなスッキリが欲しかったなぁ
    欲張りです(笑)

  • あーー、長い時間かかったー!
    信長の一生。ま、誰もが知ってる通り、最後は本能寺で殺されてしまうんだけど。
    強烈な利かん気で実母からも疎まれ、一人で過ごすしかなかった頃に蟻を見続けある原理に気付く。そしてそれは人間にも当てはまる事に気付く。
    有能で働き者の家臣も5人以上いると、精彩を欠いたり裏切ったり。脱落する者が出てきてしまう。
    それは自然の理ではあっても、あまりに厳しく周囲の人間に徹底、追い詰めるといつか、破滅の道しかなくなる。
    結局人は虚しいのか。

  • 勿論実際にはわからないが、光秀と信長の心情が実によく描かれていて、本能寺の変の動機は諸説あるが、これなのかと思わせるものだった。
    原理の話は興味深いが、久秀のあたりは少し無理もあるような気がする。原理の話がなくても十分に面白い。

    • moboyokohamaさん
      そうですね、おっしゃるように「原理」の話がなくとも面白いですね。登場人物それぞれの視点から見た信長、そして時代が見えてきます。
      そうですね、おっしゃるように「原理」の話がなくとも面白いですね。登場人物それぞれの視点から見た信長、そして時代が見えてきます。
      2019/09/14
  • 史実を踏まえた奇抜な着眼、というので興味が湧き読んでみました。

    歴史小説というよりは、社会学や組織論・マネジメント論といった新たな発想から信長の戦略を分析し、急速に天下統一まで漕ぎつけた理由と、逆に部下に背かれ続け、最終的に命を落とした理由を明らかにしたビジネス書的な一面を持つ小説でした。

    懸命に働く2割の兵士を集めて戦に臨んでも、新たな集団では精鋭はやはり2割。
    組織をいくら編成しなおしても精鋭2割、怠惰2割が必ず出てしまうという、幼いころから蟻を観察し続けて導き出した2:6:2の法則を考慮した軍事戦略で時代の寵児となった信長。
    その一方で、徹底した合理主義と恐怖で部下をマネジメントしながら下克上を奨励する信長に、どんなに働いても過去の功績を考慮されず、今、役に立たなければ使い捨てにされることに気づいた武将たちが、次々に追い詰められた果てに裏切り行為に走る。
    また、信長の方でも、2:6:2=1:3:1とすれば秀吉や光秀といった精鋭な武将も5人いれば必ず1人は怠惰=裏切る、をいう風に思考を発展させてゆく。
    本能寺の変で自分の死を悟ったときに、世界は常に物事を拮抗させて維持させる機能が働く、ゆえにこの世界の中で突出した自分は滅ぼされる運命にあると悟る。

    という筋書きです。
    ビジネス書ぽい解釈でしょう。正しいリーダー像、マネジメント術の反面教師として信長は絶好のモデルでした(笑)。

  • パレートの法則。
    信長の一生を通して
    この原則を いかに発見して 応用していくか。
    とても 興味深く 読めました。
    先に 光秀の定理を読んでいたので
    楽しみにしていたのですが。
    意外性があったのは 家康の 子供 妻を死に追いやった物語と 本能寺の変に至る 光秀の 心の動きですね。
    久々に 信長の一生を読み。
    楽しかったです。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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