カインの末裔 (角川文庫 緑 29-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041029015

感想・レビュー・書評

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  • BOOKOFFで買ったカラマーゾフの兄弟2巻に、メモがされたあったり線が引かれてあったりで読む気を無くしてしまった。
    買う時に中を見てなかった自分が悪いんだけど、でもBOOKOFFの買い取り基準では中に書き込み等がされてあるのは買い取らないはず。
    105円商品ならまだいいが、半額売りの商品だった。

    ま、とにかく読む気が失せてしまったので、でも現代的なものを読みたい気分でもなかったしで、DS文学全集から選んだ。
    以前、数ページ読んで途中で止めてしまっていた。

    そこにはただ貧しさと辛さと学の無さと粗野があった。
    自分のことしか考えず、日々食べるものにも事欠き、廻りを威嚇し卑下し、癇癪を起こし小さな子供にも暴力を振う夫。
    自分では何もできずただ耐えながら毎日を生きる無力な妻。

    途中で止めた理由がわかる。
    北海道の貧農の話なんて読んでるだけで寒々しい。
    心に温かさがポッと灯されるような作品ならまだいいが、ここにはない。
    彼らはきっとどこに行っても幸せにはなれないだろう。
    けれどこんな情景は昔では珍しくなかったのかもしれない。

  • 青空文庫で読了したので、本棚に登録してある出版社とは違うかも。

    主人公の性格や行動は、まるでキリスト教の「七つの大罪」を体現しているみたいだなと思いながら読んでいました。
    畑を耕すのをサボったり(怠惰)、同じ村の娘に暴行を働いたり(色欲)・・・。
    キリスト教徒にとっての反面教師としての主人公なのでしょうか。

    主人公のような人間にはなりたくない、と切に思わされます。
    ・・・という考えを私が抱いた時点で、有島武郎の、少なくとも私への、布教(?)は成功だったのかもしれません。

  • ニセコなどを舞台とした作品です。

  • wikipediaより
    カインの末裔とは、聖書の中で登場するキリスト教における人類の祖先を表し、そして人間心理の宿命を教示する概念である。農夫であるカインが羊飼いの弟 アベルとともに神への捧げものをした時、弟の供え物のみが受け取られたことに腹を立てたことを端として、ついには弟を殺してしまう。この実の弟を殺したカインの心の中にあったものは、妬み・憎悪であり、人間は自らその心理を内に秘めていることを説いた。聖書では、人類はこのカインの末裔であり、罪深い心を生まれながらに持つことを聡し、信仰の大切さを説いている。

    ほぉ。そういう宗教的意味があったんだね。確かに主人公の男は、ものすごい憎みとか負の感情を抱えている人間として描かれていた。
    力強い文体とともに、印象に残っています。
    やっぱり、人間を描くとき、感情って大事なんだな。

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