妖奇庵夜話 魔女の鳥籠 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041029404

作品紹介・あらすじ

子供の誘拐事件が起こった。犯人は「山姥」だという。妖人茶道家の伊織はそれを否定するが、一方で、妖人女性の連続自殺事件が起こり……。風邪で弱っている伊織も必見! 書き下ろし最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 『妖奇庵夜話』シリーズ4作目。
    母と娘の歪んだ関係性にスポットがあたった今作。相変わらず暗躍する青目存在が不気味である。
    そして今回から初登場の甲藤。なかなか鬱陶しいキャラだけどこれからの伊織との関係が気になるところ。
    伊織がますます、心やさしいキャラになっている。毒舌とのギャップが好き。

  • 妖奇庵夜話シリーズ第4作。
    今回は毒親のお話…

    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    同じマンションに暮らす2人の女性が、同じ日にマンションのそれぞれの場所で自殺をはかった。
    しかし、その「自殺」には、いくつかの不審な点が…

    外側からは見えない母と娘の関係性。
    母親の呪いにとらわれた娘の、苦しみと葛藤…

    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    今回もいろいろなモノローグがはさみこまれ、主人公・洗足伊織の過去も垣間見ることができる構成でした。
    ミステリーとしてももちろん面白かったのですが、怖かったのは毒親視点のモノローグでした。
    あまりにもリアルな毒親の「思考」こそが、ホラーであり、しかも毒親自身はその思考になんの疑問ももっていないところに、人間の闇を感じてゾッとしました。
    こんなにおかしい思考なのに、毒親本人はそれを「娘のため」と信じて疑わない。
    むしろ「こんなにもわたしは娘のためをおもっているのに、なんでわかってくれないの」と、責立てる…
    しかしそれは、娘を自分のおもうように操り、毒親自身が心地よく生きるための手段なのでした。

    今回のお話には、そんな毒親に苦しめられている2人の女性が登場します。
    毒親という(相手は違うけれども)共通の「敵」をもつ2人…しかしそれぞれの置かれている境遇の違いが、2人の思いや行く末にズレを生んでいきます。

    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    洗足伊織と、「鬼」である青目との出会いについても回想がはさまれ、洗足の母も登場します。
    3巻で洗足と青目の切っても切れぬ関係性が明かされた上での今回の回想は、洗足と青目にいったい何があったの…?という読者の疑問に少しずつこたえてくれています。
    だからこそこの先、洗足と青目が一体どうなっていくのかが気になり、そろりと続きを手にとってしまうのでした。

  • 特にするつもりはなかったのに一気読み。
    先がきになるので止めどころがわからない。
    この作者のすごいところは、いろんなキャラクターの視点での語りを細かく挟む(しかも最初のうちは語り手が誰か明記されていない)中で話が進んでいくのだが、混乱しないし、飽きない。
    よくこういう構成で私が陥るのは、『まだ意味がわからないから飛ばそう』と主役キャラが動く本編のみ読んでしまうパターンなのだが(安心してください、あとで読み返しています)結構イライラしてしまう。あとで伏線で驚かせよう!というのも分かるのだが、行き過ぎると作者の自己満感がある。
    でもこの作者はうまい。『誰視点か』それすらも解読するのが楽しいし、誰視点であってもすんなり感情移入できてしまう。『次は誰視点のパートだろうか』とワクワクしてしまう

    そして探偵役(この場合伊織やウロさん)があとからクドクド加害者や被害者の心情を解説しない。読者は読んできてわかっているから二重の説明は不要なのだ。スパッと事件後がおわり気持ちいい(メインがそこじゃないからだとも思うが)


    いろいろ明るみに出た今巻。犬が裏切るか!?とも思っていたけどあの感じだと大丈夫そうね……つくづく犬だ……

    次の巻で伊織と青目がガチで対峙するのだろうか。
    青目にも平和なエンドを……と思ってしまうけど無理かな……でも生い立ちがね……

    どうでもいい話ですが、表紙、読み始めるまでマメだと思ってました。片目隠れてるのにね
    ちなみに空蝉~も読み終わるまでマメだと(ry

    あとほんとどうでもいいし他作品出すのはどうかと思うけど脳内の伊織さんが完全に鬼灯の○徹の閻魔大王補佐になっている……助けて……

  • 他人事とは思えない母親と娘の関係が今回の主題でした。
    共感させられたというか、我が身に置き換えて考えてしまった…
    母親の支配と、娘の依存。まさに呪縛です。確かに娘とは一心同体と思ったりライバルと思ったりするかもしれないけれど、息子にはそういう感情は起きないでしょうね。

    今回の事件は、同日に同マンションで聞き慣れない妖人属性の二人の女性が自殺を図ったというもの。しかし不審な点が多く、いつものように伊織の元に持ち込まれることに。
    あの男がやはり絡んでいます。
    …ていうか、わりと前半でミステリーのトリックは容易にわかってしまったので、そちらの楽しみはそこそこでした。
    それよりも、あの男より怖いかもしれないオンナの心の奥底でしたね…好きなのに愛してるのに、すごくウザくてすごく憎いと思ってしまうどうしようもない気持ち。
    震撼とさせるものがありました。

    ホラーだけじゃなく、妖奇庵の人々の交流?風景も毎回とても楽しみです。伊織の生い立ちなどもどんどん明らかになっていています。テレビ出演の場面最高でした!お飾りの専門家じゃなくて、堂々と正論を貫く伊織にスッキリ!
    芳彦のオカンな心遣いもますます冴えてるし、かわいいマメに癒されます。血は繋がらなくとも深い絆で結ばれた家族です。
    カオリやユキとは対照的で、それが彼女たちをいっそう切なく思わせます。
    甲籐の活躍ぶりにだんだん好感度が上がってきましたwww
    そして青目の目的も次回辺りにはさらに明かされてくるんでしょうね。

    描き下ろしペーパーコミック、すごく良かったです!脇坂と甲籐のキャラがすごく出ていて笑っちゃいました。密林vsノスタルジー…!!
    最後も上手くまとまって絶妙な味。

  • 今回は母と娘の関係。
    確かに父と娘、母と息子とは異なる同性ならではの何かがあるのかもしれない。父と息子はないのに、やはり実際に子供を産むという過程が大きいのだろうか。

    メインとなる話の挟み込まれるように、洗足と青目との出会いが描かれている。
    異母弟というが、二人の父親の存在が見えないが、今後描かれていくのだうか。

  • 1巻から「お母さん」の影響力がいやに強い本だなと思ってたところでお母さん巻。ただ、ここまで「おっかさん」を話題にのぼらせる伊織の母も「適切な母」だったのかどうか?或いは、誰しも適切ではいられないのでは?子どもの能力が高い時に、安全のためにそれを封じる母は、どうなのだろうね。

  • いわゆる毒親の話。正直読んでいて辛い内容だった。

    青目がとうとう伊識の家族・マメを攫おうとしたり、徐々に行動が過激になってきてしまった。

    青目の幼少期も毒親に虐げられ、そこに
    対しては罪はないし、同情と呼べる感情も 沸くが、逆手に取って同じ?境遇にいる人を貶めるのはいただけない。

    出てくる毒親が本当に醜く感じるし、物語として咀嚼するのに業を煮やした。 今作はシリーズの中でも苦手な作品だろうなと思う。
    その点、とても際立っていたのが伊織の肝の座りっぷり。
    甲藤を嗜めるために、甲藤の悪業が伊織の為を思ったものだとしても、回り回って、伊織を害なす物として返ってくる…そんな事を言おうとし、焼けた火針を自分の手に押しつけるあたり、強い。
    伊織の家族想いな面がまた強く感じる話。

  • 子供を手放せない母親のお話。
    青目と洗足の過去もチラッと垣間見える。

  • シリーズ四作目。今回は母娘の話。
    足が不自由なことを言い訳に、娘に依存しまくる母親。娘を支配しようとする母親。そして、子供と自分を同一視する母親。心を殺されてきた娘たちが、行き着く先は……。

    母娘の関係って、本当に難しい。
    青目の行動もとうとう一線を越えてしまい、これからどうなってしまうのか、先を知るのが怖い。

  • オバリヨン
    どうもこうも…妖人2人の自殺

    青目の仕掛ける犯行があからさまになって来ました。

    表紙はちびっ子洗足で可愛い(〃ω〃)

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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