晴れ女の耳

  • KADOKAWA (2015年4月23日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041029565

作品紹介・あらすじ

私の一族は「うつるイボ」ができる。イボができた私に母はイボを取ってくれる神様を教えてくれた。イボ神様の謎を解くために和歌山に向かった……。(「イボの神様」)。卒業以来初めての同窓会で、今では誰も連絡先のわからないという、神秘的な雰囲気の漂う女の子の話題になった。ところがその晩、実家の母親から連絡があり……。(「ことほぎの家」) 。ほか娘を神に取られた母の壮絶な心情を描いた「赤べべ」、夫殺しという無実の罪を着せられた妻の狂気を描いた快作「晴れ女の耳」、海にすむ河童を題材にした「先生の瞳」など、全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 東直子さんの怪奇幻想小説ですね。
    歌人の東直子さんの小説ですが、はしがき、あとがきが無いので何とも言えませんが、民話風の『世にも奇妙な物語』のような印象を持ちました。
     短編が7話。
       目次
      イボの神様
      ことほぎの家
      赤べべ
      晴れ女の耳
      先生の瞳
      サトシおらんか
      あやっぺのために

     民話風の作品ですが、時代は現代です。いずれも語り風に物語が進んでいきます。かなり殺伐としたシーンもありますが、そこは語り口で重くならないように、さりげなく淡々と語らせています。恐怖小説ではありませんね。どちらかと言うと民話から(おそらく)主題を取って、人の生きざまの愛別離苦の過程に、妖怪じみた境地に陥った人間模様を描いているように思えます(中には本当に妖怪が出てきます)。
    歌人ですから、文章にも心地よいリズムがあります。
    東直子さんが民話に造詣があるとは知りませんでした。あとがきとか解説が有れば、その辺りがわかるのですが?私は民話が好きですから嬉しいですね。
    (この本は、メメさんの本棚登録で知りました。メメさんは、文庫を読まれたようですが、図書館に単行本が有りましたので、こちらを読みました。もしかしたら、文庫は加筆訂正があって少し内容が異なるかも知れませんが、おおむね同じだと思います。メメさん、ありがとうございました。面白い、そしていくぶん悲しいお話しでした。)

    • ひだまりトマトさん
      こちらこそ、メメさんの読書の原点をみる思いですし、お祖父様の民話の本を今でも大切にされているのが、感動的です(´ー`).。*・゚゚
      私も、本...
      こちらこそ、メメさんの読書の原点をみる思いですし、お祖父様の民話の本を今でも大切にされているのが、感動的です(´ー`).。*・゚゚
      私も、本好きの原点は『日本昔話』でした。かなり分厚い本でしたが、度重なる引っ越しでいなくなりました(×_×) 
      そのためか民話が好きになったようです♪
      メメさんのお話しは、私にはとても素敵なお話しですねp(^-^)q
      こちらこそ、よろしくお願いいたします♪ヽ(´▽`)/
      2024/06/29
    • メメさん
      分厚い『日本昔話』、素敵ですね〜(*´︶`*)
      私も手元に残ってるのは二冊だけ(多分)(-.-;)。
      想い出があるので十分です。笑
      読みかけ...
      分厚い『日本昔話』、素敵ですね〜(*´︶`*)
      私も手元に残ってるのは二冊だけ(多分)(-.-;)。
      想い出があるので十分です。笑
      読みかけの本が待っています(数冊、笑)。
      明日も、ひだまりトマトさんにとって
      良い一日になりますように〜(´∀`*)
      2024/06/29
    • ひだまりトマトさん
      ありがとうございます(*^▽^)/★*☆♪
      明日も好い日を迎えられますように(’-’*)♪
      ありがとうございます(*^▽^)/★*☆♪
      明日も好い日を迎えられますように(’-’*)♪
      2024/06/29
  • 和歌山県紀州の深い森を舞台にした短編集。
    何れも日本に古来から伝わる言い伝えや昔話のような物語で、読んでいて少し背筋がヒヤリとなりながらも懐かしい気持ちになったり切なくなったり。

    特に『イボの神様』は私も小さい頃似た体験をした気がする。
    「イボ神様はどこでも聞いてはるからな。気ぃつけるんやで。信じへんかったら、効かへんからな」
    少女が神様に必死で祈る姿が微笑ましい。
    信じる者は救われる…はず。
    そして表題作の晴れ女が実際身近にいたらとても助かるだろう。
    私の耳がキヌさんの寝床に合うといいけれど…。

    短編それぞれに「おばあさん」が出て来て物語の摩訶不思議な雰囲気を盛り上げていく。
    作者の東さんのお父さんのご実家が和歌山にあり、幼い頃遊びに行っていたらしい。
    東さんもお祖母さんからこんな昔話を聴いたのかもしれない。

    幼かった頃、ふと感じた心細さを思い出させてくれた短編集だった。

  • う〜ん。

  • ふむ

  • 「イボの神様」「ことほぎの家」「赤べべ」「晴れ女の耳」 「先生の瞳」「サトシおらんか」「あやっぺのために」
    これら7篇が収録された怪談短編集。

    怪談と言ってもおどろおどろしい怖さではなく、昔話を彷彿させる様などこか懐かしさを感じる不思議な短編集です。

    所々にユーモアも交えてあり怖い話が苦手な方でもさらっと読めると思います。

    現代版日本昔話の様な印象で読んでいる間、不思議な空間に入り込んだ様な感覚になりました。

  • 少し不気味な感じの短篇が7つ.表題作も良かったが,「先生の瞳」で海に住む玲耀子に原稿をもらいに行く話がファンタジックで何故か悲しい感じが不思議だった.どの話もつかめるようでつかめない,何か薄膜の中にあるものを触っているような雰囲気だ.

  • 歌人にして作家だそうだが,ルーツは紀伊?~「イボの神様」ペンだこだと思っていたのがイボで和歌山のお祖母ちゃんに相談してイボ付きの葉っぱで撫でて一心に願うと消えた。和歌山ではイノさんという女性に会い,山の奥でイボを一杯付けた少女に出会って,これが神様だと知り,そのイボがとれることを必死に願ってこする。「ことほぎの家」中高一貫女子校の寮に入っていた同級生を思い出した時に実家の母から昔の手紙が発掘された。遊びに来て欲しいと願われていたので連絡を取ると,和歌山の山奥で仏壇屋と民間療法を行っているという。昼間,その店を訪問すると,裸にされ,白い着物に赤い帯を締められ,跡継ぎになっていく。「赤ベベ」狸に騙されやすい大伯父。祖母の葬儀に成人式を終えた娘を伴って行くと,大伯父とその娘の節子の家に泊まることになり,酒を呑んだ翌朝。娘が神隠しに遭っていた。節子を問い詰めると,自分は元狸で,節子の振りをしているだけと…。狸退散の呪文を唱え,四つ辻に行く。「晴れ女の耳」外で用事のあるとき降られた例はない。それをつきあい始めた男性に言おうとすると頭痛がして,耳から豆粒大の老女が出てくる。経緯を聞くと,貧しい炭焼き職人の物語。「先生の瞳」謎の作家の担当になり,和歌山のしろはまにやってくると,老女作家は海から潜水服を着て現れ,一晩陸で過ごしたが,海の家に帰ってきて,自分は僧侶と海蛇の間に生まれたガイラボーシだと言う。目は母から貰ったモノだと,外して洗い始める。「サトシおらんか」和歌山の祖母の家に突然やって来た老女は,サトシおらんかーと叫んで自分の息子を捜している様子だ。みつけたサトシを家に連れて行くと,老女の悲しい物語を聞かされる。早くに母を失って,断れば良かったのを面倒に思って父と情を交わして娘を産んだが,それも7日で失って,鉈で父の頭を薪のように割り,ぶつ切りにして煮込んで食べたら,腹の中で父と娘が一緒になって,こっちへ来るなと言うので,140歳になってもまだ生きているという。「あやっぺのために」夫を15年前に失った老女は2歳の等身大の人形にあやっぺと名を付けて可愛がり,周囲から疎まれていることも承知している~歌人なのかぁ…。和歌山の昔話を下敷きにした怪談短篇集

  • 民話調の怪談。
    紀伊半島辺りの話が多い。
    カンタンに読めるがジワジワ怖い。

  • 著者の出自でもある和歌山県紀州の深い森を舞台に広がる怪談短編集。不条理な因習や非業の死。過酷な運命に翻弄されても、百歳を越えてなお生きる女たちがユーモラスな関西弁で語る、哀しくも不思議な美しい命の物語

  • 7編の怖いお話短編集。
    異世界の生き物や業によって人でないものになってしまったものたちが出てくる。
    単純に怖がらせるお話と言うより生きるものの哀しみ切なさが迫ってくる描き方。

    歌人ならでは文節やリズムと後味が悪くないラスト。心地よい本だった。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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