- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041029602
作品紹介・あらすじ
校正者の秋川美苗は、パーティで出会ったエリート学者・葉山との恋に墜ち、結婚前提の付き合いを始める。ある晩、彼が寝言で「マリ」という女を呼ぶ声を聞いてしまう。葉山に隠された過去が明らかになり……。
感想・レビュー・書評
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校正の仕事をしている秋川美苗.大学教員の葉山郁夫を紹介され気持ちがときめく.食事を重ねるうちに恋が芽生え,将来を話し合う仲になる.郁夫の寝言で西岡麻里の存在が明らかになり,郁夫のやったことを洗い出すが,崖から突き落としたことを突き止めた.証拠を隠滅するために現場に行くが,今度は美苗が同じ目に合い,郁夫は失踪する.麻里の消息を尋ねる中で同居していた宮下昌代に出会い,麻里の状況を把握する.郁夫がトロントでプレゼンをすることがわかり,資料の中に衝撃的な絵を潜り込まで,郁夫のプレゼンを台無しにすることで復讐を成し遂げる.脇役として義妹の絵津子の存在が良い.
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美苗は地方都市で校正を仕事にしている。
つまらない印刷物だと思っても、自分の仕事に誇りを持ち、一生懸命やってきた。
しかし、独身貴族とまではいかない。
毎日がやりがいと虚しさで包まれている。
そんな中、彼女は理想的な男性、葉山と出会う。
完璧な男、シックで、知的で......。
しかも彼は結婚を前提にして美苗と付き合うというのだ!
しかし、そんなめでたしめでたし、のわけがない。
彼が呼ぶマリという女。
彼女は人格破綻者だった。
愛した男を苦しめる恨みがましい女。
美苗はこの女を抹殺することにする。
ホラーと呼ぶべきだろうか。
せまりくるマリの恐ろしさ、そして、人々の豹変。
人間とは恐ろしい。
脇役ではあるが、美苗の義理の妹、絵津子が私はとても好きだ。
レディース上がり、高校中退、自分より一回り下の絵津子を美苗は好きではない。
彼女の娘(美苗の姪)は知的で恥ずかしがり屋で読書家で、全く両親に似ていない、と美苗は感じ、親近感を持っているのだが、義理の妹は金を要求してくるばかりで好きになれないのだ。
ところが、人は必ずしも学歴で判断はできない。
エリートと不良、単純な対比ではあるが、「筋を通す」「人を見る目」という点では美苗は絵津子に及ばない。
何より素直で裏表がなくて気持ちがいい。
マリは愚かであったかもしれない。
美苗もそうだ。
だが、人を愛するということは愚かで、悲しくて、それゆえに純粋なものなのかもしれない。 -
地方都市の小さな町で校正校閲の仕事をしている秋川美苗。とある会で県立大学准教授の葉山と知り合う。
過去の経験から恋愛などに億劫になっていた美苗だったが、自分の将来を見据え、打算だが葉山とつきあうことにした。
しかし、ある夜、葉山の寝言から【マリ】という女の名前が・・・。
それを機に、美苗は【マリ】という見えない陰に葉山が慄いているのに気づくのだった。
ときが過ぎてくると、ある種の疑念は愛した者に向けられるのだった。
__見えない影に怯える男とその人を愛した女の過去を清算していくストーリー。しかし、この男は詰めが甘いのでそこが話のキーになっていく。
ホラータッチなのだが、あまり恐さは感じなく、純な恋愛を追及していく姿も、何か中途半端に感じてしまった。
小杉英了の作品





