聖の青春 (角川文庫)

著者 : 大崎善生
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年6月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041030080

作品紹介

重い腎臓病を抱えつつ将棋界に入門、名人を目指し最高峰リーグ「A級」で奮闘のさなか生涯を終えた天才棋士、村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた“怪童”の生涯を描く。第13回新潮学芸賞受賞。

聖の青春 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「勝つ」こと、「名人」になること
    それだけを思い、その為に悩み、たとえ命を削ってでも、そこを目指す。
    五感全てをつかい、経験し、自身の肌で感じることから、「生きること」そのものを実感していた人だったのではないだろうか。

  • 私はこの本を手に取るまで村山聖という人を知りませんでした。最近将棋にはまりだした私は妙にこの本が気になり、内容も分からず買ってみました。

    読み終わってまず思ったのは、こんな人が本当に実在したのかということ。そこからネットで検索してみたら画像も出てきたので、あ、本当なのかと驚きました。村山さんの将棋への執念というのかそれにかける思いの強さに圧倒されました。病気と闘いながら名人を目指すといえばカッコいいようにもとれそうですが、実際はそんなものではなく文字通り命がけで将棋を打っていたんだなと思いました。かといえば普段の様子では人懐っこくて人間味あふれる描写があったり感情のままに行動する描写があったりと、裏表がないのが人を引き付ける魅力でもあったのかなとも思いました。

    映画化がされていたので話題になっていたようですが、私はおそらく苦しくて映像では見れないと思います。常人にはできない太く短い人生を生き抜いた村山さんを真似することはできませんが、せめて1つのことを必死でやり遂げる力強さを自分も持ちたいと思わせてくれた作品でした。

  • 20161201

  • 松山ケンイチ主演で映画化と知って。

    難病を患いながらA級まで昇りつめ、ガンのために29歳で早逝した棋士・村山聖の物語。
    前半は少年時代の家族とのエピソード。彼を弟子にした森信雄との師弟愛が素敵です。
    著者の大崎さんは、当時「将棋マガジン」の編集者として森・村山師弟と親交がありました。

    可哀想な話を読むと、すぐに泣いてしまうのですが、今回は泣きませんでしたよ。
    可哀想ではないから。
    幼いながらに将棋への情熱を燃やす姿に、ウルっとしたけど。


    大崎さんは将棋を海に例えます。
    何百手も先を読む時、棋士は息を止め。深く深く海に潜るのだと。

    谷川浩司を破ることを目標にしてきた聖は、羽生善治と出会い衝撃を受けます。
    「自分は谷川と同じ将棋という海を見ていたはずだった。しかし、羽生の見ている海は違う」と。

    海で言うなら、聖の潜っている海は同じ海かもしれないけれど、凪いだ海ではありません。熱を出しながら、だるい体を引きずりながら、対局に挑む時、深く深く潜る時、海面は荒れ、息継ぎも危うい印象です。

    村山聖は可哀想な不遇な棋士ではありませんでした。名人になることを夢に見て生きていました。
    だけどずっと息苦しい。病気の体が重い。
    見つめる読者も、うまく息が出来ない気持ちになります。

    聖の心が「凪いでいる平和な海のように安らいだ」時、ほっとしてしまった。彼は望んでいなかったのだろうに。


    映画は秋公開だそうです。20kg増量して演じる松山ケンイチを見て、大崎さんは「村山くんがいる」と言ったそうです。

  • 生前の棋士・村山聖は知らなかったが、本書を読んでそのすさまじい生き方に読んでいて涙が出てきた。将棋がわからない人でも感動する内容です。

  • 映画を見て、原作も読みたくなって買った作品。
    主人公の村山聖さんは3月のライオンの二階堂のモデルにもなった人。

    子ども〜奨励会時代や体調が悪くて動けないときに蛇口を少しだけ開けておくエピソードなど、映画ではあまり描かれなかったところが読めてとてもよかった。
    また将棋や病気と向き合う考えかたもより深く読めたと思う。

    映画で羽生さんと一緒に定食を食べるシーンがとても印象的だったけど、原作では割とさらっと書いてあった。映画には映画のよさ、原作には原作のよさがあってよい。

    村山さんはご両親にほんとうにお世話になってると思う。
    こんなに頻繁に呼び出してお母さん大丈夫なのかとちょっと心配になったし、お父さんのちょっとコミカルなエピソードもあって親子なんだなって感じだった。

    ずっと手元に置いておきたい作品。

  • ただただ圧倒された。知らぬうちに息を詰めて全身に力が入っているのを感じた。

  • 読み終わって時間が経つにつれ、心に深く入り込んでいく本だった

  • 何気なく図書館で借りた。良かった〰☺
    将棋が好きか嫌いか関係なく、実在した棋士の生き方を、著者の実にドラマ風なタッチで、ぐいぐいと引きずり込まれるように読ませてもらいました

  • 二十九歳で惜しまれつつ亡くなった棋士、村山聖の伝記。
    先ごろ、映画になったのだったっけ?
    今アニメで放映中の『3月のライオン』の二階堂くんのモデルでもあるそうだ。

    棋譜があるので、将棋のことがわからない私には厳しいかなあ、とおっかなびっくり読み始めた。
    まあ、もちろん、将棋のことがわかっている人の方が、深く読めるのだろうとは思う。
    が、わからない人でも、ぐいぐい惹きつけられる。

    感銘を受けるのは、彼の意志の強さや、集中力だ。
    将棋をたった一人で学ぶ姿。
    中学生にして名人を目指し、大阪に出て奨励会入りを目指す姿。
    厳しい勝負の世界にあって、体調を崩しつつも闘志を失わなかった姿。
    最期の時が近づいても、棋士として闘う日に備えて、脳に影響を与えそうな鎮痛剤を拒み続ける姿。
    こんな風に生きられたら、と思うし、こんな風に生きられる人は稀だとも思う。
    (私もいずれ病院のお世話になって死ぬ日を迎えるだろうが、その時に「いやじゃ」と自己主張なんてできるだろうか。従順な患者にならねば、と思って、自分の人生なのに何も決められなくなるんではないかと思う。)

    師匠の森信雄さんも、懐の深い、味のある人。
    たしかこの人もNHKのドキュメンタリーで取り上げられていた気がする。
    「冴えんなあ」という彼の口癖が移りそうだった。
    そうして、聖の没後に口にした、森さんのの「夢」の話にもこの「冴えんなあ」が出てくるのだが、それがなんとも切ない。

    彼らの関係の変化が克明に描かれていたのも、印象的だった。
    親同然に育ててきた弟子を、自立に向けて距離を置こうとする。
    お互いを伺いつつ、突き放してみたり、寂しくなって近づいたりするのを繰り返す。
    その心の状態まで分け入っていく。
    このあたりは、当時の二人ともに関わりを持っていた著者ならではのところだろう。

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