聖の青春 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 744
レビュー : 103
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041030080

作品紹介・あらすじ

重い腎臓病を抱えつつ将棋界に入門、名人を目指し最高峰リーグ「A級」で奮闘のさなか生涯を終えた天才棋士、村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた“怪童”の生涯を描く。第13回新潮学芸賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 「勝つ」こと、「名人」になること
    それだけを思い、その為に悩み、たとえ命を削ってでも、そこを目指す。
    五感全てをつかい、経験し、自身の肌で感じることから、「生きること」そのものを実感していた人だったのではないだろうか。

  • 私はこの本を手に取るまで村山聖という人を知りませんでした。最近将棋にはまりだした私は妙にこの本が気になり、内容も分からず買ってみました。

    読み終わってまず思ったのは、こんな人が本当に実在したのかということ。そこからネットで検索してみたら画像も出てきたので、あ、本当なのかと驚きました。村山さんの将棋への執念というのかそれにかける思いの強さに圧倒されました。病気と闘いながら名人を目指すといえばカッコいいようにもとれそうですが、実際はそんなものではなく文字通り命がけで将棋を打っていたんだなと思いました。かといえば普段の様子では人懐っこくて人間味あふれる描写があったり感情のままに行動する描写があったりと、裏表がないのが人を引き付ける魅力でもあったのかなとも思いました。

    映画化がされていたので話題になっていたようですが、私はおそらく苦しくて映像では見れないと思います。常人にはできない太く短い人生を生き抜いた村山さんを真似することはできませんが、せめて1つのことを必死でやり遂げる力強さを自分も持ちたいと思わせてくれた作品でした。

  • 20161201

  • 松山ケンイチ主演で映画化と知って。

    難病を患いながらA級まで昇りつめ、ガンのために29歳で早逝した棋士・村山聖の物語。
    前半は少年時代の家族とのエピソード。彼を弟子にした森信雄との師弟愛が素敵です。
    著者の大崎さんは、当時「将棋マガジン」の編集者として森・村山師弟と親交がありました。

    可哀想な話を読むと、すぐに泣いてしまうのですが、今回は泣きませんでしたよ。
    可哀想ではないから。
    幼いながらに将棋への情熱を燃やす姿に、ウルっとしたけど。


    大崎さんは将棋を海に例えます。
    何百手も先を読む時、棋士は息を止め。深く深く海に潜るのだと。

    谷川浩司を破ることを目標にしてきた聖は、羽生善治と出会い衝撃を受けます。
    「自分は谷川と同じ将棋という海を見ていたはずだった。しかし、羽生の見ている海は違う」と。

    海で言うなら、聖の潜っている海は同じ海かもしれないけれど、凪いだ海ではありません。熱を出しながら、だるい体を引きずりながら、対局に挑む時、深く深く潜る時、海面は荒れ、息継ぎも危うい印象です。

    村山聖は可哀想な不遇な棋士ではありませんでした。名人になることを夢に見て生きていました。
    だけどずっと息苦しい。病気の体が重い。
    見つめる読者も、うまく息が出来ない気持ちになります。

    聖の心が「凪いでいる平和な海のように安らいだ」時、ほっとしてしまった。彼は望んでいなかったのだろうに。


    映画は秋公開だそうです。20kg増量して演じる松山ケンイチを見て、大崎さんは「村山くんがいる」と言ったそうです。

  • 凄絶。ぬるい自分に腹が立ち、このまま死んでいくことが怖くなった。


    ”谷川を倒すにはいまいくしかないんです。お願いです、僕を大阪にいかせてください”
    ”今の俺は昨日の俺に勝てるか”

    早く名人になって将棋をやめたいという、
    こころやさしい修羅の生き様。

  • 「3月のライオン」を読み始めてから、二階堂のモデルとして、ずっと気になっていた故・村山さん。この本につづられているのは、彼の生きた短い生涯の片りんではあるけれど、読めば読むほど壮絶な生き様に圧倒され、終盤は涙が止まらなくなった。読後、どんな感想も語る気分になれない、脱力感。命あるかぎり、生き延びねば。

  • こんな棋士がいたのだということを初めて知った。将棋は今また若い芽が出てきて盛り上がってますね。

  • 生身の村山聖が、しっかりと書かれていた。著者が、変に綺麗な言葉を選んだりしていない。

    布団にはダニがいるし、家族には当たり散らすし、女も抱いてみたい、そんな生々しい村山聖だ。

    ただのお涙頂戴ものじゃない。村山聖という綺麗でもなんでもない1人の人間の生涯。

  • 勝たなきゃ意味がない。

  • 「僕が若いころ、まだまだ若輩者だった私にもちゃんと相手をしてくださったのが村山先生だったんです」
    と車の運転中にラジオの声が耳に飛び込んできた。
    久保敏明九段とアナウンサーとのトーク番組だった。
    ちょうど、この一冊を読んでいる途中だったので
    思わず耳をそばだててしまった。

    人も歴史も文化も、人が意識をして残していかなければこの世に残ってはいくことはない。
    この一冊で村山聖さんは将棋の世界だけでなく、多くの人に記憶されていく人として記憶されていくことでしょう。

    本の醍醐味は
    こういう人に出逢わさせてもらえることです
    池内紀さんの
    「二列目の人生」を思い起こしました

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2016年 『角川つばさ文庫版 聖の青春 病気と戦いながら将棋日本一をめざした少年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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