かにみそ (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2015年9月24日発売)
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感想 : 89
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041030134

作品紹介・あらすじ

全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。
それはなんと人の言葉を話し、小さな体で何でも食べる。
奇妙に楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。
しかし私は、職場で出来た彼女を衝動的に殺してしまう。
そしてふと思いついた。
「蟹……食べるかな、これ」。
すると蟹は言った。
「じゃ、遠慮なく……」
捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。
話題をさらった「泣けるホラー」。

感想・レビュー・書評

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  • 『かにみそ』と『百合の火葬』の2編。
    かにみそは、蟹のキャラが面白く賢かったのもあってすごく笑った。そんな蟹と別れるとなると、とても切なく悲しくなるのだが、巨大化するとは恐怖しかなくて複雑な想いで読んだ。
    百合の火葬では百合が恐ろしいという現実味のない話でも、これを空想する作者は凄い才能だと感じる。どちらも未知の巨大化け物。違和感がありながらも吸い込まれるようなストーリーでした。

  • 「蟹は、人を食べる点をのぞけば、おおむね良識的だった。」

    蟹・・・かわいい・・・
    (とんでもないやつだけれども)
    「はさみを振り上げて、布団をそっとかけ直したりする」「食わんのかい」

    蟹かわいいなあ、でもこれ怖いなあと思った前半に対して、
    後半の主人公の決断。泣いた。
    「人間の法で裁くならば確かに蟹は有罪だが、生き物の理で考えれば罪などあろうはずもない。生きて、食べることが罪ならば、あらゆるものは罪を負っている」
    蟹を食べることで主人公も蟹になっちゃったら・・・って変な想像していたけれどそんなこともなく、ただ悲しかった。。。


    「生きることは食べることだよ。そうでしょ?」

  • おすすめの小説だというのを見て買った一冊。

    かにの話と百合の話の2つの話の小説だった。

    蟹の話は、クソみたいな青年が、拾った蟹を育てて行くにつれて、まともっぽい人間に成長していく話だった。

    蟹は友達は食べないと言っていたが、青年は友達を食べてしまう。

    なんかいい話みたいな感じで話は終わったが、重大な問題が残ってるんじゃないか?と感じた話だっだった。

    百合の話は母親の愛情を知らない青年が、ふらっと現れた女性を母親じゃないかと思いながら接する話だった。 

    こちらの話はいい感じで終えた話だった。

    喋る蟹に百合。
    それらに触れて他人が成長していくいい話だと思うが、現実離れしていてマンガみたいな話だなとも思った小説でした。

  • 蟹が出てきます・・・。怖い蟹です(;'∀')
    考えられないような動きをする蟹に恐怖を覚えました・・・。作中の表現にとてもリアリティがあり、想像できるのがより一層怖く感じさせる作品だと感じました

  • すっごく疲れた時に一気読みしました!
    蟹かわいい!蟹かわいい!って呼んでたのにたっぷり休んでから読み直すと、あらまぶきみ。

  • 泣けるホラー、なるほど。と最後に思えた。
    カニのちょっと生意気な、しかし優しい、ツンデレな所もかわいい。
    食べることはやっぱり大切だ。

  • かにみそ面白いです‼‼  蟹の話し方は大人みたいだけど(自分的にば)蟹との会話を読んでいるとなんだかほっこりしますε-(´∀`*)ホッまるで自分が5歳児と会話をしているような、、、百合の火葬という話も収録されており満足感倍増!!!オススメですのでぜひ!!!  面白い小説を探している方やお金に余裕のある方! ぜひ買ってみてください!!!!  あっ これホラー文庫ですよ

  • これもホラー特集。ホラー小説優秀賞を取ったからというより、どこかの書評で勧められていたから入手したものか。中編2作から成るけど、表題作が特に秀逸。カニとの不思議な友情も面白いし、あまりスプラッタを感じさせない描写も良い。最後のほろ苦い別れも含め、読まされる作品でした。これだけだったら満点でも良かった。もう片方の百合の話も、それなりに楽しめはするんだけど。

  • とても面白かったです。
    切なくなるホラーでした。
    体の大きさを自在に変えて、人を食べる、喋る蟹と主人公の日々「かにみそ」。
    蟹めっちゃいいやつで、無気力な主人公がどんどん「生きよう」という方向へ変わっていくのが蟹のおかげというのが切なくて…
    蟹との別れが悲しかったです。蟹が「体が必要としてるものってね、甘いんだよ」と言った通り、蟹はすごく甘かったんだろうな。
    「百合の火葬」の方が怖かったです。
    群生している白い百合と、その側で自失している人たちを想像するとゾッとします。
    蟹は怒ってる人を食べたくなり、百合は悲しい記憶を吸う。
    切ないけれど、とても好きな空気のお話でした。

    「ねぇ、寒いとさみしいってきっと語源が一緒だよね」

  • ずっと気になっていた一冊。なかなか見つからないのでネットで購入。

    「泣けるホラー」というけれど、泣けないし全然怖くない。でも蟹はとても可愛い。

    水槽を空けるために今飼ってる熱帯魚を窓からぶちまけて殺したり、散々罪を重ねておいて「え、今更?」ってタイミングで罪悪感に駆られる主人公の方がヤバい。「百合の火葬」はよくわからなかった。

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