リラ荘殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 735
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031612

作品紹介・あらすじ

リラ荘を七人の芸大生が訪れた翌日から、殺人鬼の活動は始まった。老人が殺され、死体の横には学生のコートと、スペードのAが。それを機に別荘で次々と起こる殺人、凶悪無残な殺人鬼の正体とは?

感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん古い本なんだな。最初は登場人物の話し言葉が少し読みづらいがだんだんに慣れてくる。その頃には次の展開が気になって先へ先へと読み進めてしまう。読み応えがあった。

  • タイトルと表紙デザインから、洋風でお洒落な感じのミステリをイメージしていたのだが、数十年前の作品らしく、文体が古めかしくて読み進めるのが大変だった。

    そして何より、刑事が色々とあまりにもひどい。
    連続殺人は食い止められず、殺人のあった家で悠々と「ごはんまだー?」発言をし、重要な手がかりを知る人物を軽くあしらい死に至らしめ、警察いる側で人は死ぬわ、誤認逮捕するわ、推理力・捜査能力が一般人に負けるわ、最後は他所から引っ張り出してきた素人探偵に全ての謎を解いてもらうという…ポンコツオンパレード。
    もはやこれ、ほぼほぼ警察の責任だよね?ここまで無能だと罪だよ。

    あと、ことあるごとに「この会話の中に些細なヒントがあることに後に気づくのである」とか「〇〇に注意を払っていたら、食い止められただろう」みたいなほのめかし?が入るのが、いちいち気が散って鬱陶しく感じてしまった。
    容姿を批判する描写も多く、魅力的な登場人物がゼロ。そこそこ魅力のある人物がいたとすれば、早々にリタイア(死亡)。そんでもって尼リリスという名前のひどさ…(^^;。

    真犯人は最後まで分からなかったけれど、動機もいまひとつ薄いし、気づかれずにそんなにうまくいくか?という点も疑問だし、ストーリー性に深みがあるわけでもなく、連続殺人系のミステリにしては緊迫感とか次は誰だ?みたいな恐怖やドキドキ感がなく、あまり印象に残らない作品だった。

  • おすすめミステリー小説系のサイトで紹介されてたので買った一冊。

    初版発行が昭和51年  
    44年前に発行した小説

    そんな古い小説とは知らず買い読んでみたが、やはり所々に表現が古いなと感じる部分があり、ちょっと読みにくい話だなと感じてしまった。

    事件のトリックは凄かった。
    読んでて疑問に思った所がだいたい回収されて謎が解明されたし、スッキリして終わった感じでした。

    古さを感じる所があるが、今読んでも楽しめる小説でした。

  • 四十年目の昭和五十一年復刊本だけれど文章も展開も全く古びていない。確立している。一部登場人物達の覚束ない丁寧語だけ気になったけれど時代柄?元別荘の寮を訪れた芸大生達とトランプの残された連続殺人。終盤で登場する探偵星影が有能すぎて際立つ警察との対比が清々しい。沢山の伏線からなる謎解きにわくわくした。

  • ザ・昭和な本格推理小説。
    嵐の山荘的な設定だけど、登場人物が出入り自由という。
    そのうえ、探偵が最後の最後まで登場しないというのも面白い。
    色々伏線はあるのに、トリックには全然気付けなかった。
    (私にはいつものことだけど(笑))
    個性的な人物ばかりで、どの学生にも感情移入できないから、かえって誰が犯人か分かりづらかったので、最後まで気をそらさずに読めてよかった。
    最近の小説も好きだけど、こういうまさしく昭和な作品も色あせないのが素晴らしい。

  • ミステリー界の巨匠と言われる鮎川哲也さんのリラ荘殺人事件(りら荘事件)。東西ミステリー国内版33位の本書を読了。

    、、、なのですが、僕には合いませんでした。物語の起伏感/盛り上がりが無くテキスト重視な感じで、描写の途中で突如場面転換したり、会話文の誰が話してるのか分からなくなったり、物語の中盤で出て来た人物が出ては早速退場したり不親切な設計に感じました。

    そんなテンションで読んだので、解決パートもイマイチのめり込めませんでした。

    本格ミステリは"丁寧に記述を読んで行けば、ここにしかたどり着けいないようにする造り"と聞いた事が有ります。その法則を重視する余りエンタメ要素が薄くなった印象です。

    自分は本格ミステリ好きなのかと思ったけど、それより前にエンタメとして成り立っていないとダメなんだな、と痛感した1冊(本格ミステリと銘打ってあれば何でも読む訳では無い)。

    多くの読者もミステリ文壇(?)のウケとか作家のポジションがどう、とかじゃ無くて単に"十角館の殺人みたいな衝撃を味わいたい!"ってのが根っこにある気がします。

  • 60年以上前の作品ということもあって、表現に違和感を覚える部分もあったが、逆に言えば気になるのはそのくらいで内容はサクサク読めた。
    思った以上に人が死にまくるのと、リラ荘主人の今後を思うと少し哀しくなる。

  • 結構昔の作品なので言い回しが難しいなと感じる部分があったが、読み進めていくうちに慣れていった。
    人がめちゃくちゃ死んでいくなと思った。
    最後まで犯人が分からなく、続きが気になるのでどんどん読み進められた。面白かった。

  •  久しぶりの本格。しかも1950年代に書かれているので、古風な言い回しや現代の感覚ではあり得ないような言動がさらに雰囲気を盛り上げる。クローズドサークルでもないのに人が死にすぎとか、安易に殺し過ぎとか、警察が無能過ぎとかツッコミどころ満載だが、中身はしっかり本格。斬新な手法でもないのに真相がまったくわからず、楽しんで読めた。殺人現場に残されるスペードの札もちゃんと機能している。紗絽女や尼リリスなどネーミングセンスが凄いが、終盤には気にならなくなっている。

  • 夏休み合宿でリラ荘に集まった芸大生を襲う連続殺人事件。犯行現場にはスペードのAから順にトランプが残される―と言う正統派推理小説。
    原形版はSRの会の犯人当てに供されただけあって最終的に容疑者は実質的に2択にまで絞られ、本文でも露骨なほどフェアに「はい、このシーンのやりとりがヒントですよー!」と書かれているのにもかかわらず完全解明出来る読者はなかなかいないでしょう。

    次から次へと起こる殺人、残されたトランプと消えた2枚のトランプ、犯行に使われたペンナイフ、青い夕焼け、被害者のメモ…死体も増えれば謎もどんどん増えて混迷を深めていきますが、終盤デウス・エクス・マキナ的に登場した名探偵がスルスル~っと全て解決していくのがたまらなく快感でした。



    流石に『日頃から美肌の為に◯◯を飲用してたから耐性があった』は「わかるかー!!!」となりましたがw時代を感じますわ…。

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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