新装版 魔女の宅急便 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031858

作品紹介・あらすじ

ひとり立ちするために初めての街にやってきた13歳の魔女キキが、新しい街で始めた商売宅急便屋さん。相棒の黒猫ジジと喜び哀しみをともにしながら街の人たちに受け入れられるようになるまでの1年を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 母は魔女、父は普通の人、その娘として生まれたキキ。魔女には13歳になったらひとり立ちをする掟があった。キキは黒猫のジジを相棒に旅立ち、コリコという海辺の町で魔女の宅急便屋さんを開いた。魔女になじみがない町の人たちとの交流を経て、キキは少しずつ成長していく。

    ジブリ映画としても有名な作品。ぼくは映画を子どもの頃に見たことがあって、原作は未読。本屋さんで見かけたので買ってみた!シリーズは6巻まであるのかな?映画版は1巻の前半こそ共通しているものの、後半は完全にオリジナルストーリーなんだなと。かの有名なニシンのパイの女の子やおばあちゃんは出てこない!楽しみにしてたのに(笑) 同じ物語なのはぬいぐるみ配達くらいまでかな?

    トンボも「とんぼさん」で、出会いも違う。ハイジ原作のペーターかな?というなかなかのやらかしっぷりを見せてくれる。映画版はドラマチックに映像映えするストーリー仕立てになっている印象。原作は宅急便の仕事をコツコツこなしながら、少しずつ町の人々に受け入れられていく。静かに始まり、冷たさが温かさに変わっていき、静かに幕を閉じる。読んでいてほっとするファンタジー。

    女の子のラブレター配達で乙女心に悩んだり、船長さんの悩みを思いも寄らないもので解決したりする話が好き。ドラマとファンタジーとユーモアを感じられるエピソード。その後の話は皮肉が効いててそれもまた面白い。サラッと読める中に、キキが一年間で見つけ出した魔女と普通の人との寄り添い方など、深い意味を持つ言葉もあって素敵だった。近づくからこそお互いのことが初めてよくわかるんだよね。飛ぶように急いで行動したり、結論を出さずに、歩くようにゆっくりと進むのもいいなあと感じられた。

  •  13歳の魔女の見習いのキキが親元を離れて自分で街を探し、1人立ちをする1年間を描いた物語。

     スタジオジブリのアニメは見たことあるけれど、原作は読んだことがなかったなと思い、書店で見かけてので読んでみました。

     原作が1982年〜1983年に連載されていたというもので、この頃の時代というと、スマホどころか携帯電話はない、インターネットもない、店は24時間営業ではないという状況。情報は新聞、雑誌、ラジオ、テレビで得ていた頃です。

     今でも都会に憧れる人が多いでしょうが、その当時は今よりも一層強かったでしょうし、なりたい自分になるという女の子が1人立ちするということは今よりも大変だったんだと思います。

     そんな時代に連載された児童書ですので、魔女のキキが1人立ちして男女関係なく堂々と社会に関わって行く姿はまさに女の子のヒーローみたいな存在として描かれていた、そんな感じがしております。

     さて、そんな私のどうでも良い時代考証は置いておいて、私は本作から感じたのは「憧れ」と「現実」です。

     本作のヒロイン、キキは、魔女として活動する時にいろんな思いを胸に抱いてます。

     「海の見える街がよい」とか「新しい街で街の人と楽しく過ごしているところ」とか不安もあるのでしょうけど、楽しいことや生活は上手くいくんだろうと思っているわけです。

     しかし、現実は厳しく、街の人からは魔女であることを気味悪がられたり、仕事は大変で失敗することもあるし、おそらくキキが思い描いていた新しい生活とは違うものだったんだろうと思います。

     これって、新しいことを始めようとする私達にも当てはまるんじゃないかと思います。

     はじめはワクワクしたり、夢見たり、それこそ憧れてるわけですが、いざはじめてみて現実を見ると打ちひしがれたり、全然違うとか思うこともあります。

     でも、知っての通り、実は憧れと現実の違いを知った時からが本当のスタートで、本作品も実はそこからがスタートです。

     現実を知って、悩みながら頑張れば、人の交流が始まり、気がつけば「魔女の宅急便」として街に受け入れられる。

     仕事なので時には客から無茶振りされたり無理難題を言われることもありますけどね。

     女の子の1人立ちを描いた児童向けの本作ですが、実は結構今読んでも共感できる部分があって、キキを応援したくなる、そんなジジでございました。

  • 平和そうな読み物。角野栄子さんが書いた原文は読んでなかったから読んでみようと。

    最初のあたりはアニメと似ているけど、やっぱりアニメで省略されてるところも多いのね。たくさんの魔女の宅急便エピソードがあって面白かった。

  • 映画魔女の宅急便は映画の中でストーリーが完結するように、主人公の成長、葛藤をわかりやすく表現しているんだなと思った。 思春期の女の子が成長していく様がほのぼの、のんびりと書かれているのが本の方だなと思う。お茶目でかわいいキキの姿がよくかけていて、小説の方が好きだな。

  • ほっこり。
    ジブリと結構違う。どっちもいいなぁ。
    原作の方がより色んな人との関わりを描いているんだなぁと思った。日常感がいい。

  • ジブリの映画が凄く好きだけど原作を読んだことがなかったので初めて読了。
    温かい読み口とエピソードで、優しい気持ちになるお話。どうしてもジブリのイメージがあるので、小説は一話一話があっさりし過ぎている感じもするけれども、情景が素敵に浮かぶ、素敵な一冊でした。

  • 懐かしくなって全巻大人買い。万年筆と腹巻きの話が好き。2巻までは読んだことがあるので、これからキキがどんな女性に成長するのか楽しみ。

  • 栄子さんらしい文筆で楽しく読ませてもらいました!

  • 最近、作者の角野栄子さんを度々テレビでお見かけする機会があって、
    テレビやインタビュー記事で角野栄子さんが「映画は原作と違う」とお話されているのを見聞きして手にした一冊。
    改めて角野栄子さんの作品を調べてみると、子どもの頃に読んでるものもたくさんあって、なんだか懐かしく嬉しくなった。

    ジブリ版の映画も大好きなので、読みながら脳内ではアニメのキキとシジで物語が展開。キキがラジオを聴く場面では「ルージュの伝言」が流れる。
    一方で、映画にはないエピソードやキキの心の機微も原作には描かれているので、映画と原作を比較したり、映画のあのシーンの裏にはこんなことがあったのかなーとか想像しながら読むのも楽しい。

    原作では、キキが「おいおい」ってことをやっちゃったりもしてるんだけど、そういうところも含めて、これからキキがどう変わっていくのか。続きを読むのが楽しみ。

  • 映画しか見たことなかったけど、小説は小説でとても良いな…とてもやさしくて夢がある。キキやジジのキャラはそのままに、エピソードがたくさん追加された感じ。続編も読みたい。2時間くらいでさらりと読了。

    p.133 これ、まにあわせ屋のまにあわせ。まにあえば、しあわせ、まにあわなければ、ふしあわせ。

    p.225 いいないしょは三倍うれしいっていうわ。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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