孤狼の血

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 953
レビュー : 185
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032138

作品紹介・あらすじ

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員失踪事件を追う。心を揺さぶる、警察vs極道のプライドを賭けた闘い。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和六十三年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが…。正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく―。
    (「BOOK」データベースより)

    1月に柚月さんの本と出会い、柚月さんの本ならなんでも読んでみよう!と手にした本でしたが…
    私にはハードすぎた…

  • 広島は呉原市(呉ですな)を舞台にした暴力団、そこに深く食い込む刑事・大上は、ある経理屋の失踪事件が暴力団抗争の導火線になりかねない事を知り、抗争をおさえつつ捜査に動く。
    そこに配属された主人公・日岡は大上に気に入られ、彼の手練手管を学びとって行く。
    かたや、マスコミに癒着を指摘された警察上層部は内偵を始める。
    捜査は進展するが、大上は謹慎を命じられる。
    事件は解決するのか?
    抗争は防げるのか?

    というような、今野敏とか佐々木譲っぽい話。
    柚月裕子、文体も落ち着いている。

    いち刑事が板挟みの事情の中で、何もかもを背負って踏ん張る、というのは よくあるパターンかな。
    最後のシカケはもろ任侠ロマン。

  • こんな骨太な作品を、女性作家が書いたとは。でも、さすが「佐方検事」シリーズの柚月裕子と、納得。
    一般の刑事の常識からは、大分すれているが、大上刑事の何と魅力的なことか。
    予想されたこととはいえ、362頁は、さすがに”そんな!”と・・・
    一筋縄ではいかない最後の展開に、思わず意表を突かれた。各章の冒頭に記される捜査日誌にこういう意味があったのかと。
    エピローグでの、期待通りの日岡の行動に、次の作品での活躍を望みたいが・・・

  • 役所広司、松坂桃李等で映画化されて「新たな東映やくざ映画の金字塔」と言われシリーズ化が決定しているとか。

    原作は直木賞の候補になったし、「このミス」2016年3位、「本の雑誌」2015年2位と評価が高い。

    《仁義なき戦い》を彷彿とさせるヤクザの対立構図や生態がリアルに描かれているし、警察の内部の様子も丁寧に描写されている。出てくる登場人物が熱い。ミステリとしての意外性もあり、読み応え十分の傑作だ。

    役所広司が演じた大上刑事はビートたけしの《アウトレイジ》の中で言うと小日向文世が演じた片岡に近い。暴力団と癒着し、賄賂を受け取っている悪徳刑事というのはよくあるキャラだろうが熱量の点で圧倒的だ。片岡がクールな感じなのと対象的だ。

    面白いのは著者の柚月裕子は写真(下)などではお嬢様タイプに見え(差別発言かな?)、とても暴力団小説を書きそうに見えないこと。読みながらこれを柚月裕子が書いているのかと感心ばかりしていた。極道の言葉遣いもさることながら腐乱死体のこれでもかという描写など唸ってしまう。

    昨年「慈雨」は読んだけど、定年退職した刑事がお遍路参りするという人情話のような内容だった。この作品は「慈雨」の前の作品でこんな暴力団小説を真正面から書いていることに驚く。

    先月の「ダ・ヴィンチ」にインタビューが載っていて、その冒頭が面白かったのでメモのため勝手に引用する。

    『ヤクザ映画の金字塔《仁義ない戦い》を観て、”ああ、こんな熱い小説を書きたい”と。そこから構想を練っていたとき、「野性時代」で連載のお話をいただいたんです。”実は、書きたいものがあります。暴力団を題材とした話で”とお伝えしたら、当時の編集さんが”まず私のお薦めする本を読んでみましょうか”と、極道を描いた名作を送ってくださったんです。それはおそらく”難しいですよ”ということを伝えるためであったと思うんです。

    ”お送りした本、読みましたか?” 

    ”読みました。素晴らしかったです。私も書きたい”

    「実は、今だから申し上げるのですが、お送りいただいた本を読んだのは連載がはじまってからなんです。当時、冒頭を読んですぐに『これはすごい!今読んだら、怯んで書けなくなる!』とわかったからです。だから、読んだふりをして、自分の”やりたい、書きたい”を通したんです」』

    止めたくなる編集さんの気持ち分かりますね。それが「仁義なき戦い」の再来と言われるような新しい鉱脈発見になった。



    柚月さんは将棋ミステリも書いてる。守備範囲の広いこと。過去の遡りつつ、これから出る本はフォローしていきたいですね。

  • 刑事も参加の仁義なき戦い。
    アウトローな刑事モノといってしまえばありがちに聞こえるけど、最後まで息もつけない展開で楽しめました。

  • 続編が出たので再読。忘れているところもあったけれどこの空気、緊張感、迫力はおぼえていた。マル暴の大上とその下に付く主人公の日岡。マル暴としての大上の優秀さと違法捜査ばかりをする悪徳ぶりがとてもよくてそれに疑問や不満を抱えながらも付いていこうとする日岡。このバランスが絶妙でその絶妙さが後々効いてくる。昭和60年代という時代も効果的で本当に面白い。続編が楽しみ。

  • ハードボイルドの警察物でミステリー要素もありとても面白い!最後の痒いところまで手が届くほどに書き過ぎるのはどうかな

  • 私は実は「任侠物」といった類は苦手な人なので読み始めは登場人物の人の多さ、関係の複雑さ、そして好き嫌いによってとても入っていけなかった。途中で止めようかと思ったほど。だけど頑張って読み進めると大上の行方にドキドキしてしまって大変だった。
    佐方シリーズも硬派な感じだったがこの作品はより上を行ってると思った。
    大上と日岡、この2人の関係。
    プロローグとエピローグの繋がり。
    章ごとに登場する日誌の削除の意味。
    あぁ、そう繋がるのか!と。
    そして柚月さんの作品を読むといつも「正義」って何だろう?って思ってしまう。
    最後思ったのは日岡も畳の上で亡くならないだろうな。ということ。
    だけど「血」は脈々と受け継がれていくんだろうな。大上から日岡へ。そして日岡から誰かに。

  • まさかの女性作家さんで、ハードな悪徳警察官モノ。柚月さんがこんなの描くの?とビックリ。黒川博行作品の広島版かと思った。関西弁もキツいけど、広島弁も相当キツいね(苦笑)
    新人マル暴刑事の日岡くんの配属経緯は早々に予想出来たし、単なる正義だけでは成り立たない結末に溜め息もつきたくなるけど、日岡と大上の生き方もこれはこれで格好良くて、アリだなと。
    プロローグとエピローグの繋げ方も良い。こういう文章構成はホント上手い。日岡の大上譲りのコテコテ広島弁に痺れました。

  • 4月-8。4.0点。
    昭和63年のマル暴刑事。広島が舞台。
    ヤクザから搾取しながら、違法すれすれの捜査をする刑事。
    刑事なりたての新米が、コンビで動く。

    骨太の警察小説。面白い。
    ラストも意外だし、ストーリーがとてもリアル。
    さすがこのミス3位。

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プロフィール

柚月 裕子(ゆづき ゆうこ)
1968年生まれ。岩手県出身、山形県在住の小説家。2008年『臨床真理』で第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビュー。2013年同作で第15回大藪春彦賞、2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、同年『慈雨』で「本の雑誌が選ぶ2016年度ベスト10」第1位をそれぞれ受賞。2017年、『盤上の向日葵』で第7回山田風太郎賞候補、2018年本屋大賞ノミネート。
代表作として、テレビドラマ化された『最後の証人』『検事の本懐』を含む「佐方貞人シリーズ」。また、2018年に映画化される『孤狼の血』。

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