神殺しの救世主

著者 : 多崎礼
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年7月1日発売)
3.14
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032176

作品紹介・あらすじ

「神の定めた運命が、それゆえに不変であるというならば、私は神を殺す。神を殺してでも運命を変える」。長年に渡る戦で荒廃した世界。そこで語り継がれる終末神話が現実となった時、預言者の血族は運命を拓く!!

神殺しの救世主の感想・レビュー・書評

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  • これまでの多崎先生の作品を読んできた者としては、待望の新作、それも初の単行本ということで大変期待をして読み始めた。
    それせいか、読み進める中での違和感や読了後の物足りなさが際立ってしまった気がする。

    物語の作られ方や世界観、善悪では割り切れないような切なさと愛おしさを含んだ人物描写は、さすが多崎先生で、引き込まれるだけの魅力があったと思う。
    その上で今作に問題があったとすれば、一つは「単行本故の文字数制限による描写の削減」、もう一つは「一人称の作品だったこと」ではないかと思う(どちらも私の直感的な感想でしかないが)。
    前者に関しては文字通り。多崎先生の作品の魅力の一つに、美しい言葉が織りなす状況や風景等の描写があると思うが、今回それがゴリゴリ削られているような印象を受けた。結果、場面場面があっさりと淡々と連なっているように感じられてしまう。さらには、キャラクター一人一人の掘り下げや、彼らに感情移入が出来るようなシーンなどがどうも希薄で、作中で語られる重要な要素である仲間同士の絆や親愛というものにリアリティを感じられずにいる。言葉が悪いが、どのキャラも振る舞いが白々しく見えてしまうのだ。
    後者は単に私の好みの問題かもしれないが、多崎先生は一人称よりも三人称の方が向いているのではないだろうか。今作の場合も、ノトという「感情の起伏の少ないキャラクター」の視点で語られるが故に、文章もまたどこが起伏に欠けているのでは。また、一人称の文章はどうしても一人の人間の内面に引きこもりがちで、結果多崎先生の魅力でもある伸びやかでかつ厚みのある描写が出にくくなっているようにも感じる。

    などと偉そうに書いてしまい恐縮だが、これも多崎先生の作品と文章を心より愛しているから故の熱だと思ってもらいたい。
    今作の秘めているメッセージも、大変心に刺さり、また温かくしてくれるものである……はずだ。だからこそ、それをもっと身に迫るように深く感じられるような、フルパワーの文章で読んでみたかったと、感じてしまったのである。

  • 宮廷預言者にして『真実』の守護者たる義兄ホリディが、姿を消した。それは、終末神話の始まり。

    救世主の『運命』の守護者となるべく育てられた少女ノト・ファーレは、義兄の残した預言をたどり、残り3人の守護者『勇気』『叡智』『恩寵』を探す旅に出る。

    ノトの言葉に応じ集った守護者たちは、幼い頃の記憶と感情を持たないノトにとって、初めての大切な仲間となった。
    しかし、預言の成就の時には、彼らは救世主とともに邪神と戦い、命を落とす事になる。
    世界を救う一方で、仲間たちをも守る事は出来ないのか。
    預言に、運命に、神に抗おうとするノトの選ぶ道は…


    多崎礼さんの、ファンタジーのフリをしたSF…と書いただけでネタバレになりそう。

    う〜〜、このストーリー、この世界がこの分量?!もったいない…!!
    多崎作品は、個々の作品ごとに組み立てられた独特の世界観と結びついたストーリーが魅力なので、これだけの物語を描くなら、せめて倍くらいのボリュームがないと、長い長いあらすじみたい。
    いつか、『完全版』が刊行されないかなぁ。

  • いまひとつ感情移入できない。もっと掘り下げれば面白そうなのに、もったいない。

  • 救世主と、その守護者の伝説がある世界。感情のない主人公が守護者の一人として旅に出るが、自らが救世主として、人々を新世界(復興した地球)に導く話。
    序盤の仲間集めが、予言にしたがって淡々と進んで行ってしまうが、終盤はちょっと盛り上がる。

  • 長年の戦で荒廃した世界。
    そこでは語り継がれる終末神話があった。

    SFファンタジー…かな?
    一人称が淡々としすぎてて、さらさらっと終わってしまった。
    シリーズにしてもう少しゆっくり進めてくれてもいいのに…。仲間を集めるくだりだけでもあの倍はかけていいと思うし。

  • 長年の戦で荒廃した世界。
    そこでは語り継がれる終末神話があった。
    「この世界が終焉の時を迎える時
    創造神は『救世主』をこの地に遣わし
    五人の『守護者』と共に人々を新世界に導く―」と。
    『真実』の守護者であり預言者である義兄の
    残した預言を継ぎ『運命』の守護者ノトは
    残りの守護者を探す旅に出る…

    ガッツリとしたファンタジーかと思って
    読んでいたのですが…そうですか…
    好きな作家さんなだけに期待しすぎて
    どこかで読んだことのある終わり方を
    少し残念に思いました。

    泣くことのできない、感情のない主人公ノトは
    個人的に好みだったのですが、
    ノトについていく守護者が強い理由もなく
    あっさりとノトに心酔し、ついていく訳が
    わからなくて終始困惑したまま
    最後まできてしまって…確かに最後に説明があったし
    納得もしましたが…うん…

    1人1人のキャラクターのエピソードを
    丁寧に描く印象だったのですが、今回は本当に
    それぞれのキャラクターがさらっと紹介される
    だけなので、せっかく守護者たちが魅力的なのに
    勿体ない感じが。それぞれについて
    もっと知りたかったな…
    ライジャとかグレイッシュとか過去や家族、
    軍の仲間とか色々ありそうなのに…
    そしてあれだけ頑張った(?)クラインの扱いが
    軽すぎて不憫としか…

    これがプロットでここからそれぞれのエピソードを
    肉付けします、というのだったら妙に
    納得なのですが…話に対して単行本一冊では
    短すぎる、勿体ないな…と思いました。

  • 煌夜祭や夢の上など、多崎さんの作品は大好きなのですが……ごめんなさい、今作については辛口評価になってしまいます。

    創造神と人間というモチーフは、多崎さんらしいのですが、逆にいうとちょっとマンネリ化しちゃったのかな。
    なんだかゲームや漫画のあらすじを読んでるような感じがしました。
    ……生意気言ってすみません。

    一番気になったのは、皆あっさり仲間になりすぎってことです。その理由というか原因は最後に明かされますが、だとしても序盤がスムーズにいきすぎに感じました。
    加えて、淡々とした性格の主人公視点で物語が進むので、登場人物に思い入れをもつのが難しかったです。

    楽しめた部分がもありましたが、多崎さんの筆力はこんなものではないはず!ということで、星2つとさせて頂きます。

    前の方がレビューされてたように、以前予告されてた新作とは違うもののようなので、今後出るはずのそちらを期待して待ちます(^^;

  • 多崎礼の新刊! それもついにハードデビュー! の割には宣伝が少ないような・・・刊行日にブクログさんのお知らせで知ったくらいです。カド●ワ!って思ってたんですけど・・・。

    ここからは、ごめんなさい、辛口です。
    なんで、どうして? が続きます。
    でも、好きなんです。好きだから求めるものが増えてしまっているのかもしれません。
    でも、きっと多崎礼ならいつかまた新しい切り口を見せてくれると・・・期待しています。
    いっそ現代ものとかどうでしょうね?
    なんて、一読者の戯言ですが。
    きっともっといろんな世界を見せてくれるはずだ、と信じているのですが・・・。

    系統としては「本の姫」です。
    英単語と人名文字ってたりとか、文章そのものに多崎礼を感じるものの・・・すみません、今いち地の文から会話のセリフから入り込めませんでした。

    なぜ一人称にしたのでしょう・・・作者視点の三人称の方がまだ入りやすかった。それくらい淡々とした地の文。主人公が感情を失っているということで、一人称の方がそれが伝わりやすいということだったのかもしれませんが、淡々としすぎていて、でも為されている思考や結果としての行動には根本に感情があるからだろうことが読み取れるのに本人が地の文でさえ「私には感情がない」という意味のことを言っているので、入り込めないうえに余計に苛立ちが・・・それに女性でありながら男性的なというか理性的な考え方と喋り方という中性的な主人公って前にも読んだことがあるような、むしろこういうタイプの主人公、作者好きだよね、書きやすいのかな、とか思ってしまうと余計に冷めてしまって。

    他の人物造形もわかりやすさを追求したのか典型的過ぎて。仲間と出会った時の逆境と、そこから救い出されるというと大仰すぎるほどあっさりすぎる仲間にしていく過程。守護者たちの生い立ちやらもさらっと第三者の口を借りて言葉にされてしまっていて、それに心を動かされていく様子もない主人公・・・

    淡々としすぎていて入り込めないくらいの一人称の地の文に、これはきっと徐々に感情が伴ってくるに違いないと期待して読んでいたのですが、最後まで使命やら理性やらの虜で地の文で感情の爆発を聞くことはできませんでした。

    そして、地の文だけでなく、登場人物たちの会話のセリフも紋切型というか、翻訳の下手な海外ドラマの掛け合いを見ているかのようで、使い古されたありきたりのセリフの応酬は何の心も入っていないようにしか感じられませんでした。

    全体的にひたすら説明を聞く、物語のあらすじを紙芝居のおっちゃんが一人称で自分語りに置き換えて話し始めちゃう、そんな感じで、主人公とその守護者たちを外からぐるっと取り巻く観衆あるいはただそこに存在しているだけの群集の輪からほとんど主人公たちに近づけないまま終わってしまった感じがします。

    王子様の片想いとかクラインの運命的な片想いとか、もっと感情的な絡みが見られる個人的なシーンが多ければどんどん入り込めたと思うのです。一人称にもかかわらず、結局彼女は公的な救世主視点でしか私たちにモノを語ってくれなかった。
    グレイッシュも娘がいるとかいないとか、え、でも、え、そういう展開なの、と・・・いや、グレイ好きでしたけど(たぶん一番感情が読み取りやすかったから)、もう少し、そんなシュールな組み合わせor設定にしなくてもとか・・・
    主人公が女友達を作って少しずつ女性らしくなっていくとか、そんな展開があったってよかったと思うんですよ。

    一冊通して思ったことは、何も起こらなかった、です。
    いや、世界は確かに大きく動いて変わって変わるどころか星変わっちゃってますけど、主人公の成長という点では、一冊300ページ余りを費やして、ようやく泣いてみましたって、そんな・・・グレイにキスまでされておきながらそれに対しての、というか、グレイに対しての感情とか、戸惑いとか、再会できた時の喜びとか、もっと少しずつ解放していってくれてよかったと思うんですよ。
    だって彼女、アンドロイドじゃなかったんだもの。
    ヒトという有機体として存在しているのに、なんでこんなあまりにももったいない話運びにしてしまったんだろう。

    世界の大枠としての筋立ては、序章を読んだ時点であらかたわかってしまいましたが、なんかそれも微妙に残念で、真実が語られた時も「ああ、やっぱりな」という、多崎作品を読んでいて今までに類を見ないくらい驚きませんでした。

    「煌夜祭」に衝撃を受けて以降、すっごく好きな作家さんで、いまだに作家買いしている数少ない方なので、できることならもっと方向性や分野が広がればいいのになと、勝手な期待と願望と希望とを抱いています。
    手堅いファンタジー世界を構築して飽きさせない話運びで読者を魅了するストーリーテラー。登場人物たちは世界の滅びと再生にまつわる運命を背負い、命の尊さを語る。
    出版社から求められるものも画一化してきてしまっているのでしょうか。
    もっと別なものも読んでみたい、そんなわがままな読者に応えてくれるチャンスがもっとたくさんあればいいのにと思います。

    たしか四季の話の最終巻のあとがきには、次回は吸血鬼ものとあった気がします。
    そちらも楽しみに待っておりますので、何卒、早くお目にかかれますように。

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