お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032190

作品紹介・あらすじ

「ローマ帝国は“脱税”で滅んだ」「ナポレオンは“金融破綻”で敗れた」――お金の流れを読むだけで、歴史はよくわかる、さらに面白く見えてくる!「お金」「経済」「権力」の5000年の動きを徹底的に追跡調査!

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、「お金の流れ」から世界の歴史を紐解くという内容で、現在の経済状況や世界経済の成り立ちを理解するためにも、とても役立つ本でした。
    著者は、元々国税調査官で「税金の徴収のやり方で国の盛衰が決まる❕」という考え方には、とても納得できました。
    ぜひぜひ読んでみてください

  • 非常に面白い。
    戦争や国の興亡を経済、お金の流れという側面から切り取って説明している。新しい見方。
    第二次世界大戦が「イデオロギーの対立」ではなく「帝国主義経済の崩壊」の戦争だという視点が新鮮だった。知らないことだらけ。勉強になる。
    しかし中世以降の欧米の強欲っぷりは酷いな。特にイギリス。まさに黒歴史。
    あとがきの、「富裕層が税金を逃れ、中間層以下が重税に苦しむのは国が崩壊する時にありがちなパターン」という部分がドキッとさせられる。

  • イスラム帝国は、税金は安い。撤退するときは税を還付した。
    モンゴル帝国でアジアとヨーロッパが繋がった。マルコポーロの東方見聞録はモンゴル時代。
    スペインは、ペルーの銀山で大国になった。新大陸の金銀で物価が上昇。
    ポルトガルは、黒人奴隷を黒人部族から仕入れてスペインに販売した。
    ヘンリー8世は、キリスト教の10分の1税を狙って、ローマ教皇と断絶した。
    ナポレオンは軍費がなく、北アメリカの植民地をアメリカに売却した。ルイジアナ、アイオワ、テキサスなど15州。
    イギリスの産業革命は、囲い込みの労働力と財政改革による資本の蓄積のため。イングランド銀行に国債を引き受けさせるかわりに、通貨発行権を与えた。
    植民地は、反乱に備えて軍隊を常備するなど、簡単ではない。アメリカは、それらを買い取った。フランスに続いてスペインからもフロリダを購入。
    テキサスは、メキシコと戦争して、カリフォルニアからニューメキシコまで手に入れた。その後にカリフォルニアでゴールドラッシュが起きた。1949年。フォーティーナイナーズの名前の由来。ロシアからアラスカを買った。そのあと金や油田が発見された。
    アメリカは、イギリスの投資で発展できた。鉄道もイギリスからの投資。
    ロスチャイルド家が世界的に資産家になるのはナポレオン戦争のとき。イギリス国債の売買で。イギリスがスエズ運河を取得したのもロスチャイルド家の融資による。アメリカでの出遅れ、株式会社化の遅れで衰退した。
    日本がアジアの中で唯一欧米に対抗できた理由は、統一政権ができたから。国内の抗争を利用して植民地化することができなかった。
    日本の生糸の品質がよかった。鉄道を外国に敷設権を与えず、イギリスで公債を発行して建設資金を得た。
    第一次世界大戦で、エネルギー源が石炭から石油に変わった。戦車、トラック、航空機などで。イギリスの没落とアメリカの繁栄。第一次世界大戦は、石油を奪う戦争。
    アメリカは金を大量に抱えていた。第二次世界大戦前には世界の7割。通過量を増やさなかったため、世界でデフレが起きる一方で、アメリカはバブル状態。大恐慌前夜。
    オーストリアを併合。チェコを併合しようとした。
    ミュンヘン会議で、ヒトラーが世界大戦を回避した、という理由でノーベル平和賞の候補になった。これ以上の領土の拡大を求めない代わりにチェコのズデーデン地方を併合した。
    その後、ポーランド回廊奪還を狙った。プロイセン地方との間にポーランド回廊があった。ポーランドに侵攻したドイツに対して、英仏が宣戦布告して第二次世界大戦がはじまった。
    ドイツがフランスを占領したころ、ヨーロッパに工業製品を売っていたアメリカにも影響がでて、参戦することになった。
    日本の綿製品は安かったため、昭和初期にイギリスと貿易戦争になった。イギリスがブロック経済化でインド市場を閉鎖。日本の紡績は最新設備で、効率が良かった。
    大阪紡績など(現東洋紡)。日本はインドの代わりに満州に進出。
    満州は世界の注目の的。植民地化されていない数少ない場所。
    日本の「東亜新秩序」でアメリカが強硬姿勢をとることになる。石油をめぐる戦い。
    戦後は、アジアの多くの国が独立。第二次世界大戦は帝国主義経済の崩壊につながった。
    ソ連は、第二次五か年計画の成功で、失業や不況とは無縁、とされた。巨大な官僚主義国家は巨大な無駄を生む。
    プレトンウッズ体制はアメリカに世界の金の7割が合ったから成立したが、その後金が放出され26年で崩壊。
    貿易赤字でなければ基軸通貨は流通しないが、貿易赤字になれば信用が崩れる。基軸通貨になることは矛盾がある。ドルに変わる基軸通貨がない。
    その後もドルをばらまき続けた結果がリーマンショックではないか。
    1929年の恐慌時にグラススティーガル法が成立。1999年に、グラムリーチブライリー法で事実上骨抜きに。
    現代は、フランス革命前夜に似ている。

  • 本書は世界史を政治や経済ではなく、「お金の流れ」から読み解いた本で、非常に興味深かった。著者は国税庁のOBで、お金や税金の課税・徴税に関して理解が深く、それらについて分かりやすい解説をしていたのでとても読みやすかった。

    以下要約
    古代エジプト→中央集権国家で書記が税務調査や徴税をしていたが、後に腐敗が進み滅亡

    古代ローマ→戦争税とその還付制度で発展(株式や投資信託と似た性質を持つ)。だが、徴税請負人制度により、請負人の権力が肥大して滅亡

    ユダヤ人→世界各地に放浪していたことで、世界中にネットワークを持った。近現代になるとロスチャイルド家が発展する。

    古代中国→貨幣を統一して中国全土を統一した。東アジアの中央銀行的存在で、実は世界最初の為替銀行も作っていた(唐の時代)。北宋の時代には世界初の紙幣:交子を作る

    イスラム帝国→イスラム教に改宗すれば人頭税免除、という減税政策があり、しかも占領地から撤退するときは支払った分の還付まで行っていた。

    モンゴル帝国→柔軟性のある統治政策。後にイスラム系の官僚の採用や商人を徹底的に利用し、ジェノバから中国に至るまでの広大な地域の治安を維持したことで流通革命を起こした。

    オスマン・トルコ帝国→中央集権的な税システム。アラビア数字や複式簿記(損益計算書と貸借対照表からなる記帳法)を発明。安全で採算の取れる交易ルートを押さえていた。

    ポルトガル→エンリケ王子により航海術が進歩。

    スペイン→大航海時代の主役だったものの、財政問題が慢性化。さらにカトリック以外の宗教を許さずユダヤ人を追い出してしまったので経済に大きなダメージを与えた。また消費税アルカバラの影響で景気後退した。

    イギリス→ジョン欠地王のマグナカルタ。エリザベス女王による海賊と奴隷貿易ビジネスにより発展。17世紀以降、事業の組織化やイングランド銀行の発足、蒸気機関の発達により発展。

    フランス→王室のデフォルトでタイユ税(土地税と財産税の性質を持つ)を国民に課し、それにより貧富の差が拡大。また、ジャック・ネッケルがフランスの国家の歳入・歳出の内容を市民に公表し、罷免されたことをきっかけにフランス革命が起きた。その後のナポレオンはアムステルダムの金融家を高圧的に支配したため、金融家がロンドンに逃げ込み軍資金の調達が出来ずに戦争に敗北した。

    アメリカ→植民地経営に疲れていた西欧諸国の隙をつき、陸続きで国土を買収していった。また、天然資源の宝庫であるアラスカをロシアから購入した。建国当初イギリスの資本が流入したことで国家として順調な滑り出しをした。後にユダヤ人がニューヨークに住みつくことでウォール街が作られ、金融の中心地となる。

    日本→開国後、欧米の文化をいち早く取り込み経済発展した。それを可能にしたのは強力な統一政権や生糸の高い輸出力、自力での鉄道建設であった。

    ドイツ→急激な経済発展により、第一次世界大戦勃発。

    第一次世界大戦→エネルギー源の主流が石炭から石油に変化した(エネルギー革命)。そして当時アメリカが石油産出量世界一だった。

    第二次世界大戦→第一次世界大戦でのドイツへの多額の賠償金により、世界大恐慌が起きる。それによりヒトラーが出現し、戦争になっていった。

    ソ連→共産主義経済という合理的なようで実は巨大な無駄が生じるシステムや超不公平・不平等社会により崩壊

    そして、それらの歴史から国の栄枯盛衰には一定のパターンがある。それは、徴税が上手くいっている間は富み栄えるが、やがて役人たちが腐敗していくと国家財政が傾く。それを立て直すために重税を課し、領民の不満が渦巻くようになる。

    現在は、先進諸国がタックスヘイブンのために富裕層や大企業にあまり税をかけられなくなった。その結果、中間層以下に厳しい課税を行うようになっている...国家崩壊にありがちなパターンと酷似しており、もしかすると世界的な規模での「国家崩壊」が近づいているのかもしれない。

  • 戦争や講和と言った歴史も経済の流れも加えて見てみると理解が深く、納得ができるものになりました。
    徴税システムが優れた国が繁栄する話のあたりでは現在の日本を思うと暗い気持ちになりましたが…。

  • だだ世界史を勉強するよりよっぽど分かりやすいと思いました。
    地理と経済と歴史全部絡めて世界年表作ったらとっても楽しいことになるのではないかと思います。
    こんな自由研究したかったなー

  • 図書館で借りて読みましが、想像以上に面白すぎたのでKindleでも買いました。

    今まで歴史に興味がなかったんですが、この本を読んでから歴史を深く知りたい!と初めて思えました。
    学生時代にこんな良書があったら勉強も楽しかったんだろうな〜。

  • 歴史の本なのに、著者が元国税調査官ということろがすでに面白い。内容も通常の歴史の本とは違い、お金の面から歴史を考察しており楽しんで読むことができた。お金は国すらも左右するということをしみじみと感じる。

  • 世界史を駆け足で金融目線で見る。

    第二次世界大戦の裏にアメリカの日本資産凍結があった…ことは触れられず、などの点はあるが初見の事実もあり参考になった。

  • 今までイマイチ世界史に対する理解が深まらなかったが、
    この本を読んで、
     ・これまでと異なる視点であること
     ・お金という身近なテーマを元にしていること
    の二点から、非常に興味を持つことができ、
    一気に読み終えた。
    また忘れた頃に読みたい。

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著者プロフィール

1960年生まれ、大阪府出身。
元国税調査官。主に法人税担当調査官として10年間国税庁に勤務。
現在は経営コンサルタントの傍ら、ビジネス・税金関係の執筆を行なっている。フジテレビドラマ「マルサ!!」監修。著書に『脱税のススメ』シリーズ(彩図社)、『完全図解版 税務署対策最強マニュアル』(ビジネス社)、『サラリーマンのための起業の教科書』(小学館)などがある。

「2023年 『正しい脱税』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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