サイバーミステリ宣言!

  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 38
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032237

作品紹介・あらすじ

誰もがSNSを使い発信できるようになった現代。創作においても、それらを題材にしたサイバーミステリという作品群が多数生まれている。小説の内容をトリックとともに解説、あわせて楽しみ方を紹介!

感想・レビュー・書評

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  • サイバーミステリとはインターネット上で起こった事件を解決するミステリのことを指していた。

    ミステリの分類「本格ミステリ(探偵が謎を論理的に解明する様=推理を中心描く)
    」、「ハードボイルド(探偵が解決に向けて動く様、ひいては生き様を中心に描く)
    、「サスペンス(事件に巻き込まれた視点主人公の恐怖や不安を中心に描く)」、「警察小説(警察の操作を中心に描く)」が分かりやすかった。

    サイバーミステリとミステリの決定的な違いは、1.物的証拠そのものの正誤を確定させることがいままでのミステリ以上に困難であること。2.探偵は真相を自分の意思で書き換えることが可能であること。3.「操り」テーマがミステリ以上に起こりやすいこと。の計3つだった。

    ブロードバンドの普及により、巨大掲示板やまとめサイトで誰でも推理し、手軽に探偵になることできるようになったことの呼称“探偵の氾濫”が好きだ。

    インターネット上から追放されることの意“電網殺人(特定の人に紐づいたすべてのアカウントが利用できなくなる)”に面白みを感じた。

    ソーシャルネットワークの本質を「自分の個人情報を露出し、他人を巻き込んでいくこと」と見做し「個人情報の自爆テロ。その規模が大きければ大きいほど賞賛させる」とした一田和樹さんの考え方が興味深かった。

  • サイバーミステリというジャンルの解説書。確かに一昔前ならハッカーと国家や企業など限られた人が関わる犯罪だったけど、今は誰でも巻き込まれる。明日は我が身で気をつけなくちゃと思わされるこのジャンルは好き。

  • サイバーミステリというジャンルを一冊丸ごと語り尽くした評論本。評論という体裁ではあるものの、サイバーミステリという単語に馴染みのない人間を想定して描かれているため、非常に分かりやすく、かつ興味を抱かせる内容となっている。特にSNSを一度でも使ったことの有る人間なら分かるであろうセキュリティの問題や、ネットで醸成される空気感や個の埋没化などは非常に共感を覚える部分であろう。当然、評論としても非常に面白く、サイバーミステリと従来のミステリで変化した部分や、サイバー空間におけるミステリの拡張性などの部分は興味深い内容になっている。特に、データ同定問題における、従来のミステリに比べて物的証拠の正誤を確定させることが今まで以上に困難になる点や、「操り」が起きやすい点、ネット上での「電網殺人」等、サイバーミステリならではの問題点も浮き彫りにしつつ、それらをSNSの「なりすまし」問題等の身近な話題と絡めて分かりやすく説明しているのが素晴らしい。ミステリに興味のある人間だけでなく、SF愛好者、さらにSNSを一度でも利用したことのある人間にまで門戸を広げた、サイバーミステリの認知の助けになる至高の一冊である。

  • 近年増えつつある、サイバー空間を織り交ぜたミステリーについてジャンルの解説と、このジャンルに分類された作品について解説されている本。

    巻末にいろいろな作品の解説があるのですが、思っていた以上に読んでたなあという感想と、まだこれだけ読んでないものもあるんだなあと思いました。

    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4957573.html

  • サイバーミステリの定義とか、現在の状況に関してとか、新しいジャンルとしての楽しみ方とか、お勧めの選書など。
    基本的に一田さんのファン向けの本。

    七瀬さんと藤田さんの対談が面白い。

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著者プロフィール

いちだかずき●小説家及びサイバーセキュリティの専門家、明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。I T 企業の経営を経て、2 0 1 1 年にカナダの永住権を取得。同時に小説家としてデビュー。サイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『新しい世界を生きるためのサイバー社会用語集』(原書房)など著作多数

「2022年 『ウクライナ侵攻と情報戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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