メタルギア ソリッド サブスタンス シャドー・モセス (I) (角川文庫)
- KADOKAWA (2015年8月25日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041032282
作品紹介・あらすじ
アラスカの孤島シャドー・モセスにスネークは単独潜入した。新型核兵器メタルギアとテロの首謀者リキッド。それらを倒せば任務は終わるはずだった。だがそこには、恐るべき陰謀が張りめぐらされていた。謎の急死をとげる人質、立ちふさがる超人たち、仲間の裏切り、リキッドとの因縁。核戦争の危機を阻止せんとしたスネークを待っていたのは、驚愕の真相だった。隠されていたシャドー・モセスの真実が、ついに浮上する!
新たな真相と設定。原点でありながら最も新しい、シリーズ第1作ノベライズ完全版。
感想・レビュー・書評
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原作ゲームMGS1は未プレイ。レイモンド・ベンソン版小説ははるか昔に読了したが、全く覚えていない。
「単独で施設に潜入しテロリストによる核の発射を阻止しろ」という至ってシンプルなミッションから、多くの陰謀、謎、人間模様が絡みクライマックスに向かっていく。ボス、脇役含め各キャラクターがとても魅力的。さすが「20世紀最高のシナリオ」と評されるだけあるし、この小説版でもしっかりと体感することができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1998年にコナミより発売されたPSソフト『メタルギアソリッド』のノベライズ作品。ノベライズは、同シリーズ作品『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のノベライズを担当し、ゲーム原作者である小島秀夫からその高い完成度を評価された、野島一人が引き続き担当している。
原作で描かれた「シャドー・モセス島事件」が起こった4年後の世界で、アメリカのマンハッタンに住む一人の少年が当該事件について書かれたテキストを読み進める形で物語が進行するのが特徴。また、ゲーム発売当時の1998年にはまだ発生していなかったアメリカ同時多発テロ事件が物語の背景に組み込まれており、現代の諸問題(ポスト冷戦、核、紛争、テロ...etc)をテーマにしている原作の物語により深みが与えられている。
原作をプレイしていなくても、本書のみでストーリーは十分に理解できるものと思われる。前述のように、元々がリアルな近未来を描いた作品なので、テキストのみでは想像し辛いシーンが少ないというのもあるが、原作の世界観やテーマ等を十二分に理解している野島一人(小島秀夫評)だからこその読み易さがあるかもしれない。
物語の最後は、次作『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』で描かれる「ビッグ・シェル占拠事件」の発生を仄めかして締められている。本作同様、次作も原作の内容は把握しているので、オリジナル部分である「物語を観測する少年」がどのように描かれるのかを楽しみに、次作ノベライズを読み進めたい。 -
ファントムペインのエンジンでシャドーモセスやりたい
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この作品は20世紀最高のシナリオと称えられたゲーム『METAL GEAR SOLID』のノベライズ作品です。
『メタルギア』シリーズは小島秀夫監督の下制作されたゲームで、そのシナリオは冷戦や反戦、反核をテーマに描かれています。単なるゲームの域を完全に超えています。この作品の持つシナリオの奥深さ、メッセージ性に私は痺れました! -
ソリッドスネークが人質救出や核攻撃阻止のためにテロリストに占拠された島に潜入し激闘を繰り広げていく。
その過程で国家の陰謀、テロリストの思惑、自身の出自や生きることへの疑問などが交錯していく。核攻撃しようとしてる悪いテロリストを倒すという単純な話から人質、敵や味方を通して核兵器の開発秘話、テロリストの出自や目的、主人公に伏せられていた味方の秘密や国家ぐるみの陰謀などと大きな話に繋がっていく。
面白さ
・徐々に明らかになる陰謀。
目の前の敵は悪ではなく本当の敵は国家や権力の陰などの見えないところにいて戦場にいる当事者を操っている。敵が語る自身の生い立ちの不幸は国家間の争いや策略が原因でテロ行為に至るのも当然で悪事の元を辿ると国家や権力者に繋がっていく。
・自分の生き方への疑問と向き合い方
生まれた時から大きな力に操られ、今までの人生は他人に作られたもので自分の人生はどこか分からなくなる中で本当の自分や生き方を探ろうとする葛藤の人間らしさ -
著者、野島一人の背景は何も分からない。インタビューなどでは執拗に小島監督ではないと言われているが、そこまで言われると逆に何かあるのではないかと疑ってしまう。でも、小説を書くほどの時間があるとも思えない。文章力は、本書の最初と最後ではレベル違っていて、まだ発展途上な感じがした。MGSの小説は、レイモンド・ベンソンの作品もあるが、そちらよりは面白い。ストーリーの流れが、次のMGS2などを意識しているし、ページ数も多いので、しっかり情報を入れて書けている。
物語は二つの時間軸で進行していて、MGS2の事件が始まる直前の2009年に、エドワードという青年が一通のメールを受け取る。その中にはシャドー・モセスについての真実が書いてあって、それをエドワードが読むと共にMGS1のストーリーが語られる。メールはたくさんの人に送られていて、ただのメールではなく、サイコ・マンティス戦ではメールを読んでいる人の隠したい秘密が明かされることや、スネークの拷問シーンをちゃんと見ているか見ていないかでエンディングが変わる仕様になっている。そして見終わると、HDD内にあるソリッド・スネークの情報は全て消えてしまう。
MGS2の事件を間近で体験した人物を出すことにより、MGS1の閉塞感が薄くなる。それが嫌な人もいるかも知れないけど、MGS1と2は鏡合わせの物語でもあるわけだから、MGS1と2を繋げてしまうという企みは良いと思う。 -
17:ゲームは弟が遊んでいるのを横で見ていた程度なので、実はストーリーをよく知らないのですが、野島さん流(JBのあたり、ちょっと伊藤計劃さんを意識?)のMGS1、楽しめました。今作は「サブスタンス」とのことで、シリーズをかなり客観視できそう。続編も楽しみ。
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語り手の設定が神がかっていると思います。このアイディアはずるい
リキッドが好きすぎてこればっかり何回も読んじゃうマンと化している…
著者プロフィール
野島一人の作品





