- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041032305
作品紹介・あらすじ
ビッグボスは9年間の昏睡から目覚めた。再び集うかつての仲間たちと新たなる敵、そして新型メタルギアとそれを超える謎の兵器。彼はやがて、憎悪のスネークとなり……。解説・小島秀夫
感想・レビュー・書評
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ストーリーは元々がよいので丁寧だと思うが、もう少し読みやすさがあっても良かったと思う。伊藤計劃のメタルギアソリッド4に比べるとやはり見劣りしてしまうのが残念。
また、戦闘描写を入れたいのか毎回敵に見つかってドンパチしてるのも、スニーキングがテーマの作品としてどうなのって思いましたね。
また蝿の王国など追加エピソード一切なしなのも残念でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
MGSは映画的な作品でもあった。ストーリーの内容は分かりにくいが、進み方はジェットコースターのようなもので、プレイヤーはそれに乗っていればスネークの物語を見ることが出来た。だけどVは違う。PWもだが、ミッション形式のゲームなので、ストーリーがあっちに行ったりこっちに行ったりする。しかも、細かい話はカセットテープ頼みなので、ノベライズをするにあたって、どこをどう繋げるのかに腕が問われる。そして、それを著者の野島一人は、見事に書き切ってくれた。
著者はややこしいVの設定やストーリーを分かりやすいように整理して、小説としてのバランスを損なわないように置いていった。Vのキャラ達は、心の中にあるものと行動が一致しているのかどうかが分からないし、腹で何を考えているのかも分からない。それを解決するために、小説では、ゲームには登場しないレナードという語り部を作り出したのも、話のまとまりが出来て良かった。
膨大なるMGSの知識を持っていると思われる著者だが、クワイエットの最後は、書き終わった後に小島監督から「死んでないよ」と言われたらしい。細かいところは著者の考えや、考察が入っているので、そこは貰っても良いし、参考に止めて置いても良い。
我々プレイヤーはVによってスネークとMGSを失った。Vによってビッグ・ボスはプレイヤーに返された。その戸惑いは幻肢痛を生み、憤りに変わった。なんでここで終わるのか、中途半端じゃないか、様々な否定的な意見で溢れ、それは議論の外側までも膨らんでいった。みんな英雄がいなくなってしまった空白が悲しいのだ。ビッグ・ボスがいなくなってしまったマザー・ベースのスタッフ達と、プレイヤーは同じなのだ。スタッフ達はミッションに行き気付く、自分もビッグ・ボスなのだと、英雄の一人なのだと。
MGSの物語には空白がある。その空白は先に進むためのものだと小島監督は言った。我々は、MGSについて話したり考えたり、他の作品を作ったりする。それこそが、MGSが作ってきた、スネーク達の物語を伝えていくことなのだ。一生失わないMEMEやGENEが、MGSをプレイしたり、ノベライズを読んだりした人の中にはある。だから、スネークのいない空白を恐れないで、自分で埋めて行こう。それがビッグ・ボスになるということだ。MGSは永遠に、我々の中にある。
小島監督の解説の最後の文章を書いておこう。
空白であるが、埋まらない。その空白に英雄はいつもいる。
空白があるから先に進める。この空白こそが「V」だ。 -
22:シリーズ未プレイだけど、メタルギアサーガを体験・満喫したと思えるほど豊かな読書体験。単なる勧善懲悪ではなく、それぞれが各々の信念に従って生きる、その格好よさ、ままならなさ。ノベライズの一言に収まらない、言葉の、物語の凄み。
時間軸としてはいちばん未来の話であるMGS4で、スネークのコピーとなるべく仕立てられた(けれどそれを拒否した)雷電に子どもが生まれ、彼らが父子として互いを認めたというラストは、今思うと本当に泣ける……。 -
うわー!うわー!うわー!!
なんだこれ、すごい、すごい、すごかった…。
MGSV:TPPのトレーラーで見たあのシーンが、こういうシーンだったなんて…。
半分以上、睡眠時間を削って一気に。
ちょっとまだ、感想が言葉にならない。
ゲームやってない、MGSと小島監督の世界には伊藤版ノベライズで一気に引き込まれた超絶にわかだけど。
ここまでノベライズを読み通してきてこれで最後。もう本当に、なんてすごい物語だったんだろう!
ゲームできない(画面見てると気持ち悪くなるから)私に、こんなすごい物語と小島監督に、小説という形で出会わせてくれた執筆陣に、心から感謝です…。
(そういう意味で、伊藤計劃氏はご自身が表現していたように、まったく優秀な『小島秀夫原理主義者』だったと思う…。)
後半部はフムン活動家(神林信者)としても大変大変胸熱で、「言語それ自体が人間に寄生して、宿主である人間とその生活環境である世界そのものを変える。」(p.476)や「支配者は人間ではない。支配するのは言語なのだ。」(p.513)のくだりは、勝手に全力でフムン状態であった…!!
あぁ、素晴らしかった…!!
著者プロフィール
野島一人の作品





