大きな音が聞こえるか (角川文庫)

  • KADOKAWA (2015年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (752ページ) / ISBN・EAN: 9784041032350

作品紹介・あらすじ

平坦な毎日を持て余していた高1の泳は、終わらない波・ポロロッカの存在を知ってアマゾン行きを決める。たくさんの人や出来事に出会いぶつかりながら、泳は少しずつ成長していき……。読めば胸が熱くなる青春小説!

みんなの感想まとめ

主人公の成長と冒険を描いたこの作品は、平坦な日常に悩む高校生、泳が「終わらない波」ポロロッカに挑む姿を通じて、青春の葛藤や希望を描き出しています。裕福な家庭に恵まれながらも「何者にもなれない」という不...

感想・レビュー・書評

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  • 700ページ越えの大長編!

    主人公は裕福な家庭に、それなりに優しい両親、友だちもいるし、大学附属の高校に通う、恵まれた男子高校生、泳。
    でも「何者にもなれない」不安やイライラが溜まっていて、不貞腐れている。
    そんな中、趣味のサーフィンに関する情報、アマゾンには「終わらない波」ポロロッカが起きるという話を耳にする。
    退屈な毎日にうんざりしていた泳は、このポロロッカに乗るという夢を得て、実現のために奮闘していく。

    これだけのページを携えているからこそ、泳の成長や感情の揺れが丁寧に描かれている。
    初めてのバイト、親への説得、初めての一人旅。
    今まで関わらなかった年齢や国籍もバラバラの人たちと接すること。
    いろんな経験が、泳を成長させる。強くする。

    その過程を見てきた中での、ポロロッカ!
    大迫力のシーンだった。
    泳の興奮と冷静さを同時に垣間見て、「彼は大人になったんだな」と感じた。

    果たして私は、この先の人生で「大きな音」を聞くことができるんだろうか。
    自分の興味のアンテナを張りめぐらせて、「大きな音」に耳を澄ませたいと思うし、もし聞こえてきたら、その波に乗り遅れないように準備しておきたい。
    大人の私にも、そんな希望を持たせてくれたお話だった。

  • ポロロッカでサーフィンがしたいという夢を見つけて、それに向かっていく男子高校生の成長物語。お母さんのしみじみとした「男の子は、外に出すべきね」のセリフが印象的でした。読みやすくて面白かったです。

  • 「わかりきって退屈なはずの世界が、実はわからないことだらけだった。」
    サーフィンが趣味の高校生・泳の成長物語。
    アマゾン川を逆流する【終わらない波】ポロロッカに乗るために、親戚を頼ってアマゾンに旅立つ泳。

    けっこう分厚いから飽きずに読みきれるかな?と少し心配だったけど、読みやすいからか大丈夫だった。
    泳がアマゾン行きのために資金集めのバイトをするパートはちょっと中弛みしそうだった・・・けど、バイトで出会う人たちからもたくさんのことを学んで強くなる泳の姿は読んでいておもしろかった。
    「ティッシュ配りもイベントスタッフも、仕事が辛いんじゃない。そこに信頼できる仲間がいないから、辛いんだ。」

    もちろん、日本を出てからで出会った人やものからもいろんな学びがあった。
    「きっと色々、洗われていたんだろう。俺の知らないところで、俺の知らない誰かが、色々な物事を綺麗にして、俺に見せてた。見せてくれていたのか、見せられていたのかはわからない。ただ、俺は綺麗に洗われたものばかりを見てきた。」
    物騒な出来事に遭遇してしまったり、船の上でのちょっと?ハードな生活だったり。
    退屈に感じていた日常が、実は誰かに守られて、支えられて成り立っているのだということ、覚えておきたい。
    日本に帰ってきた泳が、いろんな人に積極的にかかわって、自分の思いを口にしている。明らかに変化(成長)しているのが、爽やかで良いなと思った。

    「誰もが旅に出られるわけじゃない。なのに、腐ってない人がいる。たとえば四方さん。あの人は、毎日自分の仕事をやっているだけなのに、色がついて見えた。それは、なんでなんだろう?」
    「世の中、というか社会ってのは案外単純でさ。なりたいものややりたいことの近くにいて、それが好きだって言い続けてれば、かなりの確率でそれに関わることができるんだ。」
    旅に出ないと変われないというわけではなくて、「好きだから・やりたいから」という動機を信じて、突き詰めていけば、景色も変わっていく。
    元気がもらえる物語だった。


    「「いいうねりを見つけたとき。これだっていう流れを見つけたとき。そういうとき、ここから大きな音が聞こえる」そう言って、仙人は胸の辺りを叩いた。」

  • 若い!青春!
    読み始めは、挫折するかも…と思ったのだが、主人公の泳がバイトを始めた辺りから楽しくなってきて、読み切った。
    退屈な日々を過ごす高校生の泳が、唯一好きなサーフィン。終わらない波ポロロッカを知り、その波に乗りたいと動き始める。
    あまちゃんの若者が、バイトや旅を通して成長していく姿がとても素直に描かれていて、周りの大人たちも良い感じ。
    この作品を読んで改めて、子供は自分でやりたいやろうと思えば動く、逆に人から言われても動かないんだな…と痛感した。

  • 久々に色んな感情を思い出させてくれ、生きる活力をくれるような、とても沁みる小説だった。
    約700頁なうえに活字も小さく(「アンタは京極夏彦か」という感想を見て笑ってしまった)、自分の中でもトップを争う分厚さだったけれど、泳の冒険にのめり込みすぎて、休むことなく読み終えてしまった。

    1人の少年が成長していく様子を丁寧に描いていてとてもいい。中高生にも出会って欲しい作品だし、大人になってからでも大事なことに気付かせてくれる一冊で、個人的お勧めしたい小説ランキングにランクインした。

    色んな人(異文化という意味でも、年齢という意味でも)に会うことで刺激・学びを得られ、なんなら手助けも得られることもあるということ、そして夢ややりたいことは口に出していくと実現に向かって進んでいくということを教えてくれて、前向きになれる。


    恵まれた環境で育ち金銭にも不自由せず、帰宅部で大学もエスカレーターな泳が冒頭で感じていた、何をするわけでもない日々や将来に対する漠然とした絶望感とか、楽しくもなさそうに日々働く大人に対する感情とか、親という存在をめんどくさいと思う気持ちとか、それでも何かやりたいという想いを秘めているところとか、自分の高校生時代と被りすぎて(みんなそうなのかもしれないが)、そうだよねそうだよね、と思いつつ、でもそれこそ大人って楽しいよって、そんな風に思っている現中高生たちに教えてあげたいと思った。

    一方で、自分で“やりたい“と思ったことでないと一歩踏み出すことってできないだろうなと改めて感じたので、自分の子どもたちが“やりたい“ことが見つかった時に全力で応援できる体制を整えておきたいとも思った。


    泳が自分の名前に意味を見出してウキウキしているところ、年相応の可愛さがあってよかったなぁ。

    あとは泳と二階堂の関係は勿論、泳と山下との関係もいい。男の子のぶつかり合って仲良くなるところ痺れるし憧れる。


    『何かが流れ出す。自分が動いているのか、周りが流れているのかわからない。けど、確実に何かが変わっていく。その手応えがある。水をぐんと蹴って、身体が進む感覚。それが今、俺を動かしている。』
    ここがとても好き。この感覚を、感じることができる人生でありたいし、泳のように終わらない波に乗りたい。

  • 読み終わってもまだ心臓はドキドキしている。
    700頁の中に詰め込まれたのは、16歳の少年が大人になっていく過程。
    ポロロッカに乗るためアマゾンに行く。
    そんな無謀な計画を実行すべく奮起する中で現実に打ちのめされながらも、未知の世界に飛び込んでいく。
    その生き生きとした姿が眩しい青春小説だった。

  • 和菓子のアンの作家さんとは思えない。サーファー男子の成長の話。

  • やりたいことや好きだという気持ち全てを理屈で説明できない

    自分ができるから、持っているからって、相手から奪うことは、持たざる人への侵害。

    やりたいことに近い場所にいること、声に出すこと、今私がまさに実践し始めたことだったからよいタイミングで出会えた作品でした。

  • 「行かせてくれよ」
    八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。ーーー小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語ーーー



    思春期でくすぶってる感覚が蘇るような一冊だった。自分自身は大人側になったので、眩しく感じながら読んだ。中高生向けと思いきや、きっと「大人」にも刺さるだろうな。波がくる感覚をとらえて、その波に向けて進む勇気が大切だと教えてくれる物語だと感じた。

  • イイ!良い!good‼︎
    親に愛され恵まれた生活環境で育つ帰宅部一人っ子の男子高校生、泳。唯一サーフィンには夢中だ。

    暇を持て余した夏休み「終わらない波は、あるよ」をきっかけに、アマゾン川のポロロッカの波乗りに行く決意を固めた。

    初めてのバイト体験で資金を貯めつつ、魅力的な人たちと関わり、ポルトガル語圏の国へ旅立つ。

    一冊のちょうど後半は一気読み。
    ブラジルに転勤になった叔父の剛のサポートを受けつつもあっという間に日本に帰国。
    泳と同化し「もう、帰ってきちゃったんだ」

    『大きな音が聞こえるか』
    象徴的なタイトルがあらためて良い。

    #中高生#中高生とその親#男子

  • 青春小説
    買って何年積読したんだろう。
    妙に長い物語が読みたくなってやっと手に取れた。
    サーフィン好きな男子高校生が、終わらない波に乗りに行く冒険もの。
    かなりの分厚さながらスルスル読めて読後爽やか。
    冒険に出たいとの覚悟を決めた主人公もそれを支える大人達も素敵だった。
    結局は恵まれた環境に居る子だし、守られている子だから冒険という言葉は勇ましすぎないかとも思うが、頑張った事には変わりはない。
    何かを踏み出す1歩はとても尊い1歩だ。

  • とてもよかった
    もっと若い頃に読んでおけばとも思うし、今だから、とも思える青春

  • アンタは京極夏彦かと言いたくなるような分厚さ。750頁近いと本を開いている手が痛くなります(笑)。

    『ホテルジューシー』と『シンデレラ・ティース』は女子大生のアルバイト物語に日常の謎を絡めたそれぞれ楽しい1冊でした。本作は男子高校生のアルバイト物語プラス旅物語で、ミステリー要素は無し。

    高校1年生の泳(エイ)は、それなりに裕福な家庭に育ち、学校にも友人にもそれなりに恵まれている。趣味はサーフィン。波に乗っている時間は彼にとってかけがえのないもの。しかしほかにはこれといってしたいこともなく、ひまを持て余し気味。そんな折り、ポロロッカ(=海嘯)の存在を知る。ポロロッカとは、海が逆流して波が河を遡る珍しい現象。ブラジルのアマゾン河まで行けば、その現象に逢えるらしい。製薬会社に勤める叔父がブラジルへ転勤になり、この機会を逃す手はないと、泳はブラジルへ行く計画を立てるのだが……。

    ブラジルへ飛ぶのは全体の半ばに差しかかる350頁辺りを過ぎてから。それまでは旅の費用を工面するためにアルバイト。甘ちゃんだった泳が成長してゆく姿が描かれます。日本を出発してからも、アマゾン河へ着くまでネタてんこ盛り。

    時に泳と同世代だった頃を振り返って高校生の気持ちで。時に親の世代の気持ちになり、泳を心配して。中盤以降、少々眠気に襲われる箇所もありましたが、この分厚さは感じさせません。

    いろんな人の良さを見つけられます。

  • 図書館の「ヤング」の、返却されたばかりのコーナーにあった。
    壮大な青春物で冒険物だ。
    読み終わって、なるほど、若い人にぜひ読んでもらいたいと思った。
    「こんなのフツーありえねー」
    「こいつ恵まれすぎだし」
    「けっきょくイイトコのボンボン」
    …という感想を抱くとしても、何かは残るはず。

    冒頭、恵まれていながら目的のない毎日に軽く倦んでいる主人公・八田泳の目に写る大人たちは、平面的でモノクロだ。
    その描写に加わる泳の、大人に対する感想には、まるで人生に疲れた大人のような皮肉が交じる。
    かなり辛らつだ。
    IT企業の社長である父親の、若ぶったテンションの高いノリにも泳はうんざりで、子供っぽさばかりが鼻につく。

    しかし、『アマゾンでポロロッカに乗ってサーフィンをする、そのためにブラジルに行く』という、やりたいことが出来た途端、彼の周りのよどんだ水は流れ始める。
    (実は、このときからもう、彼は波に「乗って」いたのだ)
    アルバイトをして、先生や親以外の大人、日本人以外の世界に入り込むことによって、平面だった彼の世界は立ちあがってくる。

    もちろん、いい人、いい大人たちに恵まれたし(個人的には剛さんが良かったなあ~)、上手く行きすぎ感もあるが、そこが壮大な冒険ものというもの。

    「終わらない波に乗る」というのはつまり、自分が行動し続ける事だ。

    そして大人たちにはやはり、「可愛い子には旅をさせよ」と言うのが最善だろう。

  • よかった……
    この分厚さ読めるかな?!って思ったけど、私も一緒に駆け抜けた。
    坂木さんが書く青春がとてつもなくいい。
    そして周りの大人も優しくて腐ってない。
    青春時代を暖かく見守ってる。

    あぁ、男の子になってやり直したいなぁ

  • 長編だけど、面白くてあっと言う間に読んでしまった。
    ポロロッカでサーフィンをしたい…
    人を突き動かすのは情熱と好奇心。
    その大切さを教えてくれた作品だ。

  • 高校生がブラジルでポロロッカに乗る(サーフィン)お話です。目標が決まったらそこへ向けて一直線なのが気持ち良いです。とても面白かったです。

  • 坂木司久しぶりに読んだ
    序盤、イマイチかなーと思いながらだったけど
    そんなことはなかった。
    結構いい感じにまとまった物語

  • 最近読んだ中で一番のヒット。何度かブラジルに行った経験があるので随所で懐かしい。
    まだ私はちゃんと大人になれていないのでは?とも感じてしまう。。。普通は誰から見ての普通なのか。日本の常識は世界の非常識という言葉を思い出しました。

  • エンタメや青春小説を想像してたけど、予想してない形の大冒険だった。
    過程が省略される事なく丁寧に描かれている所がとてもよかった。

    坂木さんの『和菓子のアン』シリーズが好きだけど、こんな作品も書かれるんだなあとその幅の広さに驚いた。
    坂木さんの他の作品を読むのも楽しみ。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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