エスカルゴ兄弟

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 157
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032527

作品紹介・あらすじ

〈問題の多い料理店、本日開店いたします!〉

唯我独尊の変人カメラマンと、巻き込まれ体質の元編集者、男二人の無謀な挑戦の行方は!?
笑いと感動で心を満たす、最高の料理&成長小説!!

出版社勤務の柳楽尚登(27)は、社命で足を運んだ吉祥寺の家族経営の立ち飲み屋が、自分の新しい職場だと知り愕然とする。料理上手で調理師免許も持っているし、という理由で料理人として斡旋されたのだ。しかも長男で“ぐるぐる”モチーフを偏愛する写真家・雨野秋彦(28)は、店の無謀なリニューアルを推し進め、前代未聞のエスカルゴ料理店〈スパイラル〉を立ち上げようとしていた。
彼の妹・梓の「上手く行くわけないじゃん」という嘲笑、看板娘・剛さんの「来ないで」という請願、そして三重の養殖場で味わう“本物のエスカルゴ”……。嵐のような出来事の連続に、律儀な尚登の思考はぐるぐるの螺旋形を描く。
心の支えは伊勢で出逢った、フランス女優ソフィー・マルソー似のうどん屋の娘・桜だが、尚登の実家は“宿敵”、讃岐のうどん屋で――。

「いざという時は必ず訪れる。その時には踊れ」
真剣すぎて滑稽で、心配でつい目が離せない。凸凹義兄弟、ちっぽけで壮大な“食”の軌跡。
一気読み間違いなしの、痛快エンタメ作!!

★太鼓判!
津原泰水の料理を描く筆致は3D。味を伝える技巧は活字世界の美味しんぼなのである。
――豊崎由美氏(書評家)/「本の旅人」2016年8月号より

帯イラスト/松苗あけみ

感想・レビュー・書評

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  • リストラされた編集者尚登(実家は讃岐うどん店)が、ぐるぐるを偏愛する変人秋彦とエスカルゴをメインにしたレストランを開く、そこには明らかに外国人の血が混ざっている秋彦の妹の梓がいて、伊勢うどん店の娘である桜まで絡んでくるんだから、設定からして面白い。何度も声を出して笑いました。コメディと酒、肴が好きなら楽しめること間違いなしの傑作です。

  • 出版社で働いていた主人公が、
    ある日いきなりエスカルゴ専門店のシェフを任される。
    ブツブツ言いながらも案外前向きに
    エスカルゴの調理に向けて進んでいく主人公が
    面白くて好感が持てる。

    エスカルゴって食べたこと無いけれど、
    主人公が作る料理は美味しそうで…
    本物のエスカルゴが食べてみたい!
    という気持ちにさせられる。
    まんまとエスカルゴの世界に乗せられる。

    そして、この本に出てくるもう一つの重要な料理、うどん。
    讃岐うどんも伊勢うどんも稲庭うどんも食べたことあり、
    それぞれ個性的で大好きなただのうどん好きな私。
    やはり世の中のうどん屋さんは
    それぞれに敵対心燃やしてるんでしょうか(笑)

  • 新聞の日曜版にある書評欄で見つけた。ふだんはあまり日本の小説を読まないので、どんな小説を書く人なのかも知らなかった。読んでみる気になったのは、作品のモチーフがエスカルゴと伊勢うどん、という点にある。エスカルゴの養殖については隣の市のことなので前から知っていた。三重県という極めて地味な地方都市でエスカルゴの養殖なんか手掛ける奇特な人がいるなんて、という程度の認識でしかなく、興味はあったが、現地を訪ねることもしなかった。

    エスカルゴ自体は好物で、パリでも食べたし、英国女王御用達の鳥羽のホテルでもいただいたことがある。まさか、あれも全く別物のアフリカ・マイマイだったのだろうか?本物のエスカルゴを養殖している松阪市と鳥羽市は伊勢を挿んで隣同士だから、鳥羽の某有名ホテルで供されるエスカルゴは松阪由来のものと信じたいのだが、小説を読んでいると、ほとんどの日本人が食べているエスカルゴは本当のエスカルゴではないということになる。

    もう一つの伊勢うどんのほうだが、これは郷土のソウルフードで、小さい頃はあれが「うどん」というものだと思っていた。浪人時代、京都の町で立ち食いうどんを食べに入り、出てきたつゆの薄さに驚いた。まちがってそばつゆを入れたのではないか、と本気で訊こうとしたくらいだ。

    小説の中では、卵の黄身をのせて食べる食べ方が何度も出てくる。今は知らないが、伊勢うどんといえば、子どもの頃から、ごく少量のたまり醤油主体のたれをからませた上に小口切りにした青葱と一味をふりかけ、うどんがたれの色に染まるまでかき混ぜてから食べるものと決まっている。卵の黄身でカルボナーラ状にした伊勢うどんなど気味悪くて食べられない。

    主人公が讃岐うどんを商う店の次男坊で、伊勢うどん店の娘と恋に落ちるというロミオとジュリエットをパクった設定。腰の強い讃岐うどんを愛する一族と茹ですぎたように腰のない伊勢うどん命の一族の互いに相容れないうどん愛の悲劇を描いている。全国区となった讃岐うどんに対するに、伊勢うどんのほうは、遷宮とサミットで少しは知られるに至ったが、まだまだ全国的にはローカルな食べ物である。その意味で、郷土食を宣伝してくれる小説をちょっと推してみたく評など書いている次第。

    今、人気のアニメが売れるべき要素を全部詰め込んでいるだけ、という評価が玄人筋から出されているが、この小説にもそんなところがある。就職難の時代、やっともぐりこんだ職場が出版社で、仕事が編集業というのは、マンガ原作でテレビ化された『重版出来』や『地味にスゴイ!』を思い出させる。

    それがすぐリストラされ、社長が送り込んだ次の就職先がモツ煮込みが売りの吉祥寺にある立ち飲み屋。ところが、マスターの事情で写真家の長男が後を継ぎエスカルゴ専門のフレンチレストランに模様替え。調理師免許を持つ主人公にはうってつけの職場だと料理通の社長は考えたらしい。

    物分かりはよいが適当すぎる上司、スパイラル(螺旋)に固執する変人写真家、といった男たちに、味は分かるが料理を作ることはできない女店員、写真家の妹で高身長の女子高生、酒豪の伊勢うどん店の娘、といった女たちがからんで、ストーリーは軽快に展開する。

    ちょっと昔の音楽にイージー・リスニングというジャンルがあったが、あの毒にも薬にもならない聴き心地のいい音楽に似て、読んでいて楽しいが、特に後に何も残らないイージー・リーディングな読み物である。

    料理が主題なので、いろいろ美味そうな料理が出てくるのがご愛敬だ。油揚げを斜めにカットした中にチーズを挿んで弱火で焼いたチーズキツネという酒肴は、ちょっといけそうで作ってみたくなった。しかし、伊勢うどんにエスカルゴを併せたウドネスカルゴはいただけない。ましてや、スパイラル好きの店主の気を引こうとグルグルに巻いて出すなど狂気の沙汰だ。

    軽妙な会話のノリを楽しんでいるうちに、あっという間に読み終えてしまう。ちょっと重いものが続いた時など、口直しに手に取るにふさわしい一冊といったところだろうか。深夜に読むと食テロと化すので要注意。。

  • 本物のエスカルゴを出す料理店を舞台にした小説。

    エスカルゴのみならず、うどん絡みの恋愛もあったり盛りだくさんで楽しいです。(讃岐と伊勢のロミオとジュリエット。ライバルが稲庭)
    そして、それと同時に「家族」の話なのかなーと読み終えて思いました。

    文章も軽妙で読みやすく、キャラクターも個性的で笑える場面もあったりします。
    美味しそうな食べ物もたくさん出てきて、読後感は幸せです。

  • エスカルゴをメインにした料理店に挑戦する元編集者とカメラマンの凸凹コンビの成長物語。キャラがそれぞれひねくれているので、会話が楽しい。続編のありそうな最後、楽しみ!

  • エスカルゴをメインにした飲み屋。うどんもからんできて美味しいのか?ちょっとドタバタしすぎ。2017.11.25

  • 出版社に勤める尚登。彼は調理師免許を持っており、料理の腕は美食家の社長を唸らせるレベル。

    社長は彼の料理の腕を見込み、突然彼を解雇しエスカルゴバルを出店しようとしていた写真家の雨野秋彦の元へ料理人として出向するよう命じた。

    エスカルゴ料理、と最初に見たときはうぇーっと思ったけど読み進めるうちに少し食べたくなったのがすごい。

    尚登も秋彦も梓もマスターも桜もみんないいキャラしてて読んでいてたのしかった!

  • 図書館で偶然?見付けたもの。面白かった。やっぱ津原泰水好きだ。最後の終わり方がすっきりしない。こういう読者におまかせ、みたいなのは好きじゃない。ソフィーとの恋愛はどうなるのか、結論が欲しかった。それでもこのエスカルゴに興味を持ったし、この本自体が尚登の作りたかったエスカルゴの本なんじゃないかと思う。スパイラルに関係する全ての家族が好きだ。梓ちゃんも桜も剛さんも。

  • 小さな出版社の編集者からいきなりエスカルゴを扱う店の調理師になる主人公。螺旋好きの写真家兼店長、高校生ながら家計を助けるためにガールズバーで働くその妹などその店の家族も複雑ながら面白い。
    主人公の実家は讃岐うどん店なのに、伊勢うどん店の娘とほのかな恋愛も何だかロミオとジュリエットみたいで面白い。
    本物のエスカルゴはどういうものなのか、ちょっと興味も湧くし、とにかく出てくる料理が全て美味しそう。
    何となく原宏一さんみたいなテイストながら、出てくる登場人物たちはみんな良い意味で大らかでやっぱり津原さんらしいなとも思う。
    終盤、あの猿渡がチラッと出てくる(名前だけなのが残念)のが嬉しかった。相変わらず豆腐と伯爵と仲良くしているみたいでニンマリする。
    こういう気取らないお店なら入ってみたい。

  • 表紙の重厚さとは裏腹な読みやすさ。
    なんかサラっと終わってしまい、「え、これで終わり!?」となった。

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