座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032787

作品紹介・あらすじ

中国は唐代、2代皇帝・太宗による統治(貞観時代の政治)の要諦が凝縮された『貞観政要』。日本においては徳川家康、北条政子も参考にし、世界最古・最高のリーダー論として世界中で読み継がれている。「部下からの厳しい言葉にこそ耳を傾けること」「組織のパフォーマンスは、リーダーの器以上にはならない」「上司は、自らの権限の及ぶ範囲を明確にし、できれば制限しなければならない」――太宗が心得た組織・リーダーシップのポイントの数々は、時代を超えて通用する普遍の真理である。
『貞観政要』を座右の書にし、現代における注目リーダーである出口治明氏が、はじめて中国の古典を深く語る。

感想・レビュー・書評

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  • ◆きっかけ
    ブクログ。nagisa-libraryさんの本棚より。む図なし。2018/4/5

  • 『貞観政要』とは、中国史上もっとも国内が治まった「貞観」(627~649)の時代に、
    ときの皇帝・太宗(李世民)と臣下たちが行った政治の要諦(政要)がまとめられた書物で、
    日本においては北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読しており、「時代を超えた普遍のリーダーシップ」が凝縮されています。

    「あらゆる組織人が座右に置くべき古典の必読書です」と出口さん。

    太宗は、諫言(上司の過失を遠慮なく指摘して忠告すること)する部下を積極的に登用していました。
    世の中の上司が皆太宗みたいだったら、いいのにね…。

    個人的には、序章で中国の歴史を簡単に説明してくださったところが大好き。
    「三国志」と「唐帝国」はいちおう学んだのですが、そのあいだが曖昧だったので、とてもありがたい内容でした。

    ちょっとメモしちゃおうっと。

    ●二世紀半ばからの寒冷化により、中央ユーラシアの遊牧民が南下する

    ●天山山脈にぶつかり、東西に分かれる

    ●東へ向かった遊牧民が、五胡十六国とつくる
    (西に向かった人々がかつてゲルマン民族の大移動と呼ばれていた現象
    最近では、ゲルマン民族と総称できる共通項が見出せないため、そういう言葉があまり使われません)
    (胡とは異民族(遊牧民)の総称で、五胡のいずれかの異民族に属する大国が16あったということ。
    実際には16以上あったと考えられ、五胡も五行説の思想から五胡にしたという説が有力。
    匈奴・鮮卑・羯・氐・羌)

    ●五胡十六国の中で、最後に生き残った拓跋部(鮮卑の一部族)という部族が、北魏をつくる

    ●北魏の分裂後、楊堅が中国全土を統一し、隋をつくる

    ●李淵(楊堅の妻の姉の息子)、李世民親子が隋を滅ぼし、唐をつくる
    (楊堅の次男煬帝は初代皇帝である父を殺し、兄の皇太子を失脚させて皇位を奪った。
    李淵の次男李世民は皇太子である兄と弟を殺し、その後父を幽閉して皇位に就く)

    ●おそらく李世民はこう考えたはず、と出口さん。
    「私と煬帝のやったことはあまり変わらないから、私のことを悪く思っている人間もたくさんいるはずだ。
    悪口を書かれると、それは語り継がれてしまう、
    さて、困った。悪く書かれないようにするにはどうしたらいいだろう。
    ひたすらいい政治をして、部下のいうことを聞いて、
    人民のために尽くして、贅沢をせず、
    業績を山ほど残して挽回するしかない。
    そうすれば『李世民は煬帝とは違って立派な政治をした』と後世に残せるのではないか」

  • 出口氏による貞観政要の解説書。さすがに座右の書としているだけあって、気持ちが籠っているが、内容自体は上位レイヤに留まる。どういったエッセンスが学べるか、を一通りなめたうえで下位レイヤにシフトしていくのも良いかも。

  • 中国古典に学ぶリーダー論。古典を分かりやすく紐解いて解説してあり、何度も読み直したい本。

  • 貞観政要の内容について出口さんが簡単に説明している本。引用に解説をする形式で、ご自身の考えだけで構成されている本よりは、内容が薄い。貞観政要に直接あたる必要もある。

    上司は部下と機能が違うだけ、威張ることなく、自分だけでは出来ないことを皆にやってもらう。
    そのためには職場を「元気に、明るく、楽しく」して、権限移譲したら口は出さない。自分はマネージに徹するべし。
    プレーイングマネージャーはダメ。

    鉄鋼王カーネーギーの墓碑銘「自分より賢い人間を自分の周りにおく方法を知っていた者ここに眠る」は通じるものがある。人に上手に任せて仕事ができる人が、上司として最良。

  • ざっと読んだが、要再読。
    文字通り座右の書として、折に触れて読みたい。

  • 貞観政要

    三鏡 銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡
     鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかチェックする
     過去の出来事しか将来を予想する教材がないので、歴史を学ぶ
     部下の厳しい直言や諌言(かんげん)をうけいれる

    リーダーの最も重要な役目は、スタッフにとって、元気で、明るく、楽しい職場を作ること

    魏徴 兄(李建成)に私(李世民)を殺せといい続けた 李世民は魏徴を側近に召し抱えた

    組織はリーダーの器以上のことは何一つできない
    リーダーは、自分にとって都合の悪いことをいってくれる部下をそばに置くべきである
    部下は、茶坊主になってはならない。上司におもねってはならない

    魏徴 なにもしないのが理想のリーダー 何もしなくても組織がなりたつのは、適材適所に人を配置できている証拠

    カエサル 人は現実のすべてがみえるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ない

    上に立つも人は、知りたがり屋でも、話したがり屋でもいけない

    君主が名君と呼ばれるとしたら、その理由は、多くの人の意見を聞いて用いるからです。反対に暗君と呼ばれるとしたら、その理由は、一方の人のいうことだけを信じるからです

    リーダーの大事な仕事のひとつは、「事情がわからない中で右か左かの判断を迫られること」

    太宗「自分も、わがままをいわないように努力をする。だからおまえたちも、オレの間違いを指摘してくれ」

    銅の鏡 部下が自然についてくる「いい表情」をしているか
    歴史の鏡 過去に照らして、将来に備える
    人の鏡 直言をしてくれる「他人」が大事

    「直言をしてくる人間がいないと、忙しい上司は絶対にゴマスリには勝てない」

    「不機嫌そうな人」に情報は入ってこない

    「いい判断」をするために大切な3つのこと
    「過去の失敗に学ぶ」「善人を登用する」「戯言に耳を貸さない」

    「小人閑居して不善をなす」「つまらない人間が日までいるとろくなことは考えない」

    「間違った判断」の根本には「感情」がある

    何か物事を決めるときには、感情をベースにしてはいけません。数字、ファクト、ロジックで正しいと思うことを、嫌われようが文句をいわれようが、きちんと主張すべきです。

    「仕事は人生のすべてではない」と考える
    仕事はせいぜい人生の3割程度のものだと位置づけることができたら、気が楽になります。

    一人で行う判断には、「質的な限界」がある

    精鋭を生むもう一つの方法 時間と空間の制限

    あらゆる組織の急務は、後継者を選ぶこと
    歴史は語る 「いちばん難しいのは後継者選び」

    忠義を尽くすべき相手は、上司・社長ではなく「組織」

    これからのリーダーに必要な4つの力
     強く思う力、共感する力、統率する力、正しく決断する力

  • 「貞観政要」をテキストとしたリーダー指南。唐太宗と臣下のやり取りから学ぶのが主眼だが、その堅苦しさよりは、歴史上のエピソードや著者の体験談が活き活きとして腑に落ちやすかったりした。器が大きい、という言葉について、それは器自体を広げるのではなく、中身を削ぎ落としてスペースを大きくする、という解釈が成程と感銘。本書では度々「人間の能力はそもそも限られている」から、その自覚が大切だと語られるが、それを凝縮した例え話に感じた。

  • 器を空にする事、熟考し言葉に責任をもつ事、言葉としては理解できるが、実践には、心のゆとりや自信が必要だと思う。

  • 『「直言」をして諫めてくれる他人の大切さ』

    往々にして、
    他人の忠告や、注意というものは、
    煙たく無視してしまいがちですが、
    実は、あえて苦言を呈し諫めてくれる他人の存在というものは、
    非常に重要なことであると説いています。


    人は、
    見たいものを見、見たくないものを見ず、自分本意になる傾向があったり、
    初心を忘れて怠け心が出てしまったり、
    当たり前になると感謝を忘れてしまったりと、完璧ではないです。


    こうした際に、耳が痛いことを直言されても、遠ざけてしまいがちです。

    歴史を省みても、
    君主に忠義から直言した者が、反感を買い処刑されてしまった例は枚挙に暇がありません。

    ですが、
    この貞観政要にあるように、
    直言を聞き入れ自分を省みる皇帝太宗の謙虚さ、
    臣下魏徴の処刑されることになったとしてもその直言が陛下の参考になるのであればという、その臣下としての在り方。

    そこに
    中国史上最も治った300年の礎をつくった繁栄の原理原則を感じます。

    この二人の信頼関係に、
    とても感動しました。
    素晴らしいです。

    翻って、幸いにも
    自分には苦言を呈してくれる人がいる。
    そのことに感謝し、直言してくれる人を側に置きながら、邁進しよう。
    そう思わせてくれる著書です。

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著者プロフィール

APU(立命館アジア太平洋大学)学長

「2018年 『教養が身につく最強の読書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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