薮の中・将軍 (角川文庫)

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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041033067

感想・レビュー・書評

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  • 芥川龍之介 「 藪の中 将軍 」表紙 天野喜孝 。大正9年から10年に書かれた短編、エッセイ。笑いあり、恐怖あり、疑問ありの1冊

    古典から材料を見つけて、人間の自分勝手さ、狂気性の心理描写を加えたり、結末や人物像を変えたりしている。物語は 淡々と進み、結末で落差を出すので、結末の面白さはダントツ。わかりやすくて アレンジし過ぎの面白さを感じるのは 「藪の中」「神々の微笑」

    秋山図
    *50年前から心にある本物の秋山図と 目の前にある秋山図の違い〜人間の美的感覚の曖昧さ〜最後は笑っておしまい

    山鴫(やましぎ)
    *トルストイとツルゲーネフのお互いの疑念〜時間が解決〜最後は笑っておしまい

    奇怪な再会、アグニの神、妙な話、母
    *最後は 狂気でおしまい

    奇遇、往生絵巻、好色、売文問答
    *リズムよく、最後は オチもある

    藪の中
    *今昔物語を殺人事件にアレンジ〜 オムニバス形式

    俊寛、将軍、神々の微笑
    *イメージを壊す人物設定

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    わたしが搦め取った男でございますか? これは確かに多襄丸(たじょうまる)と云う、名高い盗人でございます――。馬の通う路から隔たった藪の中、胸もとを刺された男の死骸が見つかった。殺したのは誰なのか。今も物語の真相が議論され続ける。

    【キーワード】
    文庫・芥川龍之介・短編集・名作

  • 大正9年末から大正10年にかけて執筆されたものを順番にまとめてある
    この期間、3月から7月まで新聞特派員としての中国旅行に出向いているのだが
    その前後で作風に微妙な変化のあることは興味深い

    「秋山図」
    芸術というものは、見る人の気分で良くも悪くもなるという話
    逆にいうと、至上の美とかたく信じる心がありさえすれば、それは最高の芸術なのである

    「山鴫」
    トルストイとツルゲーネフの友情について書いた話
    トルストイは真実というものに対して厳格な人間だった
    この作品が「藪の中」とそう違わない時期に書かれたということは意味深い

    「奇怪な再開」
    軍人の妾が、むかしの男を忘れられずにおかしくなっていく話
    貞淑でありたいという女の願いを破壊するものが何であるか

    「アグニの神」
    「赤い鳥」に掲載された冒険ファンタジー
    日本の神に対する祈りが、なぜかヒンドゥーの火神に通ずるあたり
    作者の、コスモポリタニズムに夢みた希望が察せられる
    日米戦争はいつおこるのか
    その謎は宙に浮いたままであったが

    「妙な話」
    虫の知らせで不倫恋愛が邪魔されるという

    「奇遇」
    芥川龍之介が書くものは、基本的には野暮であるという自己批評
    彼はロマンスと見るやその裏を読まずにいられないのか

    「往生絵巻」
    結果論として仏は実在したという話
    物事の裏側に、神仏はかならずひそんでいるという一種の願望である

    「母」
    中国から帰国して最初の作品
    子を喪った母親が、隣人の子も喪われたことに対して、喜びを感じてしまう
    罪深い物語である
    しかし、たった一度きりの死こそ
    ゆいいつすべての人に平等に与えられた特権であるということも言えるのだ

    「好色」
    理想とは、手が届かぬものであるからこそ理想なのだ
    日本の野暮なドン・ファン物語である

    「藪の中」
    誰もが自分にとって都合のいいことしかしゃべらない
    それが、自由というものの裏側である
    だからこそ、「死人に口なし」などというおそろしい言葉もあるのだが…

    「俊寛」
    俊寛は、平家討伐の密議に協力したとして島流しにされた僧である
    芥川は、この俊寛の物語に託して
    日本の植民地支配を暗に批判しようとした、そう思われるのだが
    彼自身けして無責任ではいられないということが、その結末において示される

    「将軍」
    乃木希典将軍の肖像
    かつては日本において理想の父のような存在だったが
    大正デモクラシーの時代にあっては
    すでに過去の人であった
    理想はいずれ古びて、忘れ去られてゆく
    デモクラシーの時代もやはり…

    「神々の微笑」
    あはれな日本の自然に取り込まれては、絶対不変のものなど存在しえない
    キリスト教の神にしても、それはおなじことで
    いつしか多くの神のうちのひとつとして、作り変えられてしまうだろう
    この発見は、おそらく芥川にとってある種の喪失を意味するものだった
    しかし後に、思想として川端康成などに受け継がれていくことにもなったのだ

  • 2014/1/5
    昔の言葉がわからないところが多く、ちゃんと理解はできなかったかも。

    秋山画、山鴨、藪の中、将軍が評価されているみたい。どれもひきつけられたが、まだまだ知識不足なため、また読みたい。

  • この書籍は、大正期の作品が17作品収録されています。その中でも他の出版社でも印刷販売されている作品もありますが、他社の文庫版より単語の説明は纏めて最後の方で説明いされています。

  • 零れ落ちるように湧き出る文章には
    自然と肌に馴染んで吸い付いてくるから素敵♪
    神格化された将軍の虚飾を剥ぐ様が好きです。
    文句なしの星5つ。

  • 全ては本当に藪の中?

  • 『秋山図』

    『山鳩』

    『奇怪な再会』

    『アグニの神』

    『妙な話』

    『奇遇』

    『往生絵巻』

    『母』

    『好色』

    『藪の中』

    『俊寛』

    『将軍』

    『神々の微笑』

    『雑筆』

    『世の中と女』

    『売文問答』

    『仏蘭西文学と僕』

  • 「藪の中」は必読。

  • 乃木希典について

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プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

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