新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041033692

感想・レビュー・書評

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  • 【図書館】
    中島敦の山月記や、太宰治の走れメロスなどの古典的名作を、森見さんが新釈したもの。
    誰もが知ってる名作家の作品を、こんなにも森見ワールドに引き込めることに感動した。やっぱりどの話にも京都の街並みや、四畳半の空間がイメージできた。
    特に上記の2作に関しては、原作となる古典名作の内容を覚えてるものだったから、フレーズの一致とかシーンの読み替えが面白かった。他の元作品も読みたい!
    特に「走れメロス」は、「四畳半神話大系」とか、夜は短い歩けよ乙女みたいなドタバタな感じと、解釈は違うけど走れメロスの要素がマッチしてて好きだった。

  • 中島敦『山月記』、芥川龍之介『藪の中』、太宰治『走れメロス』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、森鴎外『百物語』という名作文学5篇を下敷きに……「アレンジ」、「リライト」、「本歌取り」、「換骨奪胎」、「翻案」、「パロディ」……いろんな言い方があると思いますが、千野帽子氏が巻末の解説(これまた夏目漱石『夢十夜』を下敷きにした手の込んだもの)で使っていた「再起動(リブート)」という表現が、僕はとても好きです。なんと言っても勢いがある。 何しろ森見氏は名作5篇全部を仮想京都の自堕落大学生の話にしてしまったわけですから。若さと、それゆえのお馬鹿と自意識過剰と屁理屈のエネルギーがみなぎる連作短編集でした。
    なかでも『走れメロス』の暴走っぷりはすごかった。原作では親友のところに戻る救出劇だったのが、森見版では親友のところから離れる逃亡劇に反転。オチは秀逸!
    その次に置かれた『桜の森の満開の下』に漂う寂しさは、胸にじんときました。

    ところで、祥伝社文庫版も持ってたはずなんだけど、どこにいっちゃったんだろう? 記憶違いかな……?

  • 走れメロスと山月記しか原作は読んだことないが、森見登美彦らしさがでていて良かったと思う。その物語の舞台にすみたいと思わせることができる作品はいい作品だと思っている。短篇集だし、原作があるのでシナリオについて逐一追求することはしないが、山月記が話としては一番好きだった。面白かったのはやはり走れメロスだろうか。坂口安吾はずっと読みたいと憧れている作家なので読みたくなった

  • あの名作が、京の都に甦る!? 異様なテンションで突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、5つの傑作短編を収録。森見登美彦による近代文学リミックス集。

    原作をきちんと読んだことがない…。ので、よく分からなかった。

  • ※Kindleで読了
    森見登美彦氏の作品は独特の世界観が好きでたまらない。
    森見登美彦作品はただ味わいたいから読む、そんな感じ。
    語感とか勢いとか空気感とか、それを味わいたいから読む。
    意味とか文学的なこととかは私には分からない。
    椎名林檎の曲が好き、とかジャズが好きとかそういう本能的なところで、ただ好きで時たまに読みたくなる、そんな感じで出会っている。
    ――――――――――
    今作は、色んな古典的名作を現代の大学生を主人公に生まれ変わらせたもの。
    名著をベースに森見登美彦氏の世界観が拡がっている。
    わたしは、読みたいと思いながらまだどれも読めていなかったので、ざっとあらすじだけ読んでからこの本を読んだ。
    読んでも読まなくても楽しめるように出来ているのは勿論だけど、多分文学的に楽しめるのは、各作品の原典を読んだ方だと思う。
    どのようにエッセンスが受け継がれ、どこの部分がオリジナルなのか、という楽しみ方も出来るので、
    後からではあるが、どれもきちんと読んでみたいなと思う。(いつも思うだけでなかなか重い腰は上がらないけれど)

    「走れメロス」はオリジナルでもありそうな内容でスピード感があってとても面白かった。
    ただ、個人的には、「山月記」「薮の中」が面白かったな。

  • 森見登美彦流古典作品の転生。
    元ネタをきちんと読んだことがあるのは「山月記」と「走れメロス」。うろ覚えの部分が多いけど、メロスは元ネタの流れを損なうことなく書かれているなぁと思った。
    他の3篇(解説もいれれば4篇)も元ネタを知ってたらさらに楽しめたはず!

    山月記…虎ではなく天狗。まさに「天狗になる」
    藪の中…口づけをしたのは渡邊か、菜穂子か。寝取られ気質の映画監督。
    メロス…桃色ブリーフの友情。詭弁論部。ちょっと手加減して殴ってくれ。
    桜の森の…妖しい女。俺の夢か女の夢か。
    百物語…赤く血走った目。私=森見。

  • 初めて森見登美彦読んだけど中々独特の世界観で楽しかった。古典を知ってるとより深く入れそうな作品だ。

  • なんか、真面目くさった書き方なのに内容がくだらないっていうギャップが面白い。

  • 森見登美彦特有の奇天烈な大学生たちで「走れメロス」や「山月記」などの名作をリメイクした作品。

    「四畳半神話体系」のような構成を期待していた分、そこまで面白さは感じなかった。

    「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」ではそれぞれ個性的な大学生が登場し「百物語」で一同が一つの屋敷に集まった。
    鹿島さんについては実際誰なのか言及されていなかったが、森見くんが見た鹿島はもしかしたら我々読者なのかも?とか推測してみた。
    4つの作品をまるで隣に立って見てきた、それが鹿島さんでたり私たち。


    最初にこの本のタイトルを見た時は「面白そう、こんなにあからさまなリメイクはあんまり見たことないな」、そう思った。
    そしてあとがきで森見さんは「元の名作が好きな人に怒られるのではないか」と心配していた。
    私が考えていたことも森見さんは考えていて、何だか人間みを感じた。

  • 娯楽色の強さは森見節で、これは好みがはっきり分かれるでしょう。…というわけで、私はそれらしからぬ「桜の森の〜」が好きです。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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