- Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041033814
作品紹介・あらすじ
「もう絶対にいやだ、家を出よう」。そう思いつつ実家に居着いてしまったマサミ。事情通のヤマカワさん、嫌われ者のギンジロウ、白塗りのセンダさん。風変わりなご近所さんの30年をユーモラスに描く連作短篇集!
感想・レビュー・書評
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マサミ、両親の飾らな過ぎる日常に嫌気が差しながらも独立の機会を逃し、四十の声を聞いてしまった。
友人・知人からは「パラサイトシングル」とか「お金たまっていいわね」などと言われるが、それと同等の気苦労も背負っているつもりである。
このご時勢だし田舎じゃないので、村ぐるみ町内ぐるみで独身を責められたりはしないが、中には手ごわい人たちもいる。
筆頭はうわさ好きのヤマカワさんで、いつも箒で町内を掃きながらうわさを聞き込んでまわり、特にマサミに男の影がないかどうかについては、芸能記者並みの夜討ち朝駆けで取材に余念がない。
しかし、この本は、ヤマカワさんの情報なくしては成立しなかったのではないかと思われる。
“事案”じたいは、よく目にするものである。
多くの小説ならば、「そこに近所の人が手を差し伸べて人情で解決する」という『いい話』に転じるものだが、そういうラストは一つもない。
『いい人』は出てくるが、「転じる」ことはなく、元からいい人なのだ。
日常は小説と違って、そんなに簡単に問題は解決しませんよ。
人間は他人の干渉ですぐに変ったりなんかしませんよ。
いい人はずっといい人だし、嫌なヤツが改心することなんてないの!
…と言い放つ、作者の顔が浮かんでくるようだ。
そうそう、日常ってそんなもんだよね、と妙に納得してしまうのは、さすがに面白く、時にキョーレツな描写で、説得力のある文章のおかげだ。
『マサミの家』
40代独身OL、実家暮らしのマサミ。
そろそろ介護予備軍?
『嫌われ者のギンジロウ』
ヤのつく人ではないのよね?
『幼なじみのオサムくん』
オサムくんは座布団みたいな顔だが、お母さんは女優さんみたいにきれいで、なぜかマサミのことを気に入っている。
『白塗りのセンダさん』
お嬢様がそのまま古くなると、こうなるパターン。
『アパートのインド人』
日本で成功すると一族を呼び寄せたがる癖があるのがアジア人。
うちの近所にもたくさんいる。
子供は地元の学校に通い、日本語ペラペラです、ご心配には及ばない。
『勧誘熱心なセトさん』
個人的に、この人が一番かかわりたくない人。
『大家のバンバさん』
うちの向かいのマンションに、絶叫ルームが二軒あります。
子供は仕方ない。
『憧れのセンドウさん』
生まれてから40年同じ土地に住み、地元住人や風景の変化を目の当たりにしてきたマサミ。
この街の良心…みたいな老夫婦。
オチはお母さんの言動?
何気にお母さんのキャラクターが面白い一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和時代のご近所あるある。
楽しい話しではない。 -
こういうなんでもない日常系ほのぼの系大好き。
所々毒あるのも良き。 -
こんなご近所さんいるいると思いながら読んでた(笑)
お節介な人や周りの人のことをやたら調べる人…
それがその人の生き方だったり、周りの人を楽しませる存在だったりするんだろうなとは思うけど…。
読み進めると、くすっと笑える本!! -
ご近所さんあるあるでちょっぴり昭和の感じが懐かしく面白かった。噂好きのヤマカワさんも面白く笑えました。
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ただの近所の噂話。
日常を丁寧に生活している人たちが群さんの話にはよく出てきてそこが好きだったのに、今回は噂話が好きな下品な人たちが多くて、共感できない。
それが日常だよって言われればそうなんだろうけど。 -
マサミ、40歳、独身、両親と実家暮らし。
風変わりなご近所さんの30年をユーモラスに描く連作短篇集。
うわさ話が好きで情報通の隣人、嫌われ者のおじさん、変な宗教にハマって勧誘してくるおばさん等々、良き昭和の雰囲気、普通に面白かった。
(図書館) -
ストレスのたまるお話の数々。
面白ろおかしく読み飛ばすことができず、こんな住人がいたら辛いなぁと
むしろ読んでいて気持ちが落ち込みそうに。
読書傾向がかわってきたのか
群ようこさんの本があんなに好きだったのが
嘘のよう。 -
なんとないご近所さん達の話。こんな人は、うちの近所にもいるなぁ的に気軽に読める本でした。最後のセンドウさんのように私もなりたい。うちの旦那さまなら大丈夫だと思うけど?
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個性派揃いやな〜、ご近所さん。
うわさ話好きの人、いる、いるいる。
ガミガミいう人、いる、いるいる。
気になるインド人に白塗りのおばちゃん。
無理無理勧誘しようとする人……考えたらどこにでもいそう。
この人達がすべてご近所さんなら毎日飽きることがないぜ!
そして、あたしはそのご近所さんをじっくり観察する人という位置にいそうだ(笑)。 -
ご近所の人に家庭の事情こんなに筒抜けなのは嫌だなぁと思いつつ、現代のように近所に住んでいるのにまったく事情がわからないのもなんだかなぁと思ったりも。
ほどよいお付き合いがしたいものですね。 -
これはいつの時代の話だろう…。
近所の住民の動向を逐一情報収集して、報告し合う家族。暇すぎ。
まったく現実感のない話だけど、こんなところに住んだら地獄だろうな。
特に、赤ちゃんが泣くアパートを「絶叫の館」と名付けて大家に「うるさい」と怒鳴りこむ人が多数いたとか、赤ん坊を抱っこしない母親の育児方法をご近所同士で文句言い合うとか、嫌悪感しかないよ。
ひど…。
持ち家で長く住んでる家族が多い土地のようだけど、アパートに住んでた人たちは次々と引っ越していくのも当然。
賃貸で身軽なら、わざわざこんな面倒くさい土地に住むことないのだ。
「いやぁ」でも「はぁ」でも、相槌を一言発しさせすれば言質をとられて「あの人がこう言った!」と噂を広められる。こわすぎ。
群ようこさんの、うどんのようにスルスルと入ってくる文章でも、内容に対する嫌悪感強すぎて読むのがしんどかったよ。
ご近所付き合いの悪いところばかりで、楽しい話、心があったまるような良い話がなかった。残念。 -
まとまった時間ができたので、図書館の書棚にあった好きな作家さんのものを借りたのですが…。
これは主人公の周りのご近所さんについて、一人一人スポットを当てた短編集です。
2話まで読みましたが、2話ともご近所に居たらとてもじゃないが耐えられない人物。でもって、話にオチがないので一層ストレスがたまります。
イヤな人でも実はこんないい一面があった…というなら救われますが。
残念ながら2話でギブアップ。
目次を見ると全8話あります。 -
かもめ食堂が大好きで、群ようこさんの小説は好きになれるかも?と思って、たまたま図書カウンターで返却されたばかりで置かれていたこの本を借りてみた。
短編小説だけどちゃんと主人公は同じ人なので、どう盛り上がるかと思ったけど、3話読んだところで退屈に耐えられず残りは読み飛ばしてしまった。
なんてことない日常。ありふれた風景。
普通なら目に止めない近所の不思議を切り取る。
どこにでもありそうなのに、私はこういうご近所さんとの交流はあまり経験したことがないから、よく分からない。
普通だけど心の温まるエピソードやほっこりする出来事があって、なんかいいな、なんて思えるのかと思ったけど、最後までとてもとても、つまらなかった。
だからって群さんの小説はダメだと決めつけられないし、これを読んで何を得たのかと、損した気持ちになる。
外れてもいい。けど、
今更だけど、どうせ読むなら、その人の一番売れてる本から読もうと思った。 -
ご近所ってまさにこんな感じ。ちょっとうっとうしい時もあるけれど交流があるのはいいことだと思う。絶叫の家のお話と、クマールさん一族のお話がおもしろかった。
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40過ぎて独身実家暮らし。そんな主人公の近所に住む人々の話。噂好きのお隣さんや、横柄で嫌われ者のおじさん、皆に憧れられている素敵な老夫婦。どの人達も、主人公一家も何十年とそこで暮らしているからこその話。こんなご近所付き合いって田舎ではまだあるけど、街中ではもうないんだろうなぁ。さらっと読めるけど、物足りない感が強かった。
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2016/11/27 読了