レインツリーの国 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.65
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本棚登録 : 1952
レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034323

作品紹介・あらすじ

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。やりとりを重ねるうち、僕は彼女に会いたいと思うようになっていた。しかし、彼女にはどうしても会えない理由があって――。2015年11月映画公開

感想・レビュー・書評

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  • ひとみの行動言動に障害がある云々の前に人として女性としてそれはないだろうとイライラしてしまった。伸が言い方はちょいちょいキツイけど本当に優しくて、こんな人いるか?!と思うほど。
    読み始めて、うわ〜関西弁読みにくいかなぁ〜と思ったけど意外にもすらすら読めた。
    言葉にするのは難しいから直接言おうと思う事の方が多いけど、言葉で伝える事の大事さがよく分かった。

    • moboyokohamaかわぞえさん
      ぴーまん様
      この作品、すごく感激したんです。
      感激以上に私のような特に障害の無い者の思い上がりのような物を感じました。
      自分たちが何不自由な...
      ぴーまん様
      この作品、すごく感激したんです。
      感激以上に私のような特に障害の無い者の思い上がりのような物を感じました。
      自分たちが何不自由なく暮らしている世の中が当たり前、標準だと思い込んでいるんだなって。
      主人公の女性のような聴覚障害のみならず世の中には当人しかわからない不自由さを抱えた人々がいる。
      障害だけでなくいろんな事情を抱えている事だってある。
      勝手に腹を立てずに優しくなるように努力しようと思うようになりました。
      2020/06/16
  • この本は私の大切にしている本の1つです。

    〝救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。〟

    上手く言葉に出来ないのですが、
    この言葉を目にした時に、持てるだけの綺麗事を並べてどれだけ「違う」と抗っても、それは全く何の抵抗にもならずに心にストンと落ちてしまうような感覚を持ちました。


    人それぞれに辛いことがあり、思うところがある。それを盾にして全てを遮断してしまうのは簡単ですし、その事で自分を悲観するのも自由です。でも、だからって人を傷つけて良い理由にはなりません。

    誰かを思うあまりに空回りをしてすれ違い喧嘩になってしまうことなんてざらにあります。頭では「努力なんてものは他人には分かってもらうようなもんじゃない。影でするから、見えないからこそカッコいいんだ。」なんて事を思いながらもその相手からそれを〝当たり前〟と思われたり気が付いてもらえなかったりすると腹が立つ。物凄い矛盾していますが、きっとそれが私達なんです。
    あなたが私では無いように、私もあなたではないからお互いに全てを分かり合えるなんてことは無理。それでいいじゃん!!

    前に「友達になる中で一番大切なこと」というのを聞いたことがあります。私は色々な事を考えました。でもどれも大切に思えて一番と言われると何か分かりませんでした。
    その答えは「相手が大切にしている事を決して馬鹿にしない事」というようなものでした。それぞれ自分が大切にしている物事は違うはずです、そして分かり合えないと違うと分かっていてもそれを馬鹿にされるのは本当に嫌なことです。
    違うからこそ面白いことだって沢山あります。違う事によってすれ違う事だってあります。それはある一定の部分では仕方のないことなのかもしれません。ですが、私たちには相手を思い、その思いに寄り添う心を持っています。
    だから、違いによって拒絶をしたり、心を閉ざすような事はしなくていいんです。


    だから〝ボクはボクらしく。〟
    そして〝キミはキミらしく。〟
    って初めから探すようなものではないんだと思うんだ。

    ボクはキミじゃないし、
    キミもボクじゃないから、
    すれ違い…、手を繋ぐ…、
    そこには〝愛〟だって生まれるそういうもんだろ

  • 本書を読んで、同時に2つの感想が浮かびました。
    明るい方をA面とし、先に書きます。
    B面を読むかどうかはおまかせします

  • ここまで突き放して、わがまま放題やって、
    はたして現実の男性(人間)は付いてきてくれるだろうか。
    しかも、会って間も無い段階で。
    いくら何度かメールのやり取りをしていても。
    ありえない、と、
    おとぎ話のように感じた反面、
    本当にこんな人がいたら、救われるのになと思いながら読みました。

  • とても引き込まれる内容の作品でした。

    一口にいえば、聴覚障害を持つ女の子とごく普通の青年の恋愛ものです。
    作者自身もあとがきで語っておられるように、これは障がいを持つ方のお話ではなく、どこにでもいるような男の子と女の子の恋愛物語であると私も感じました。
    有名人の会見ではありませんが、「たまたま好きになった人が○○であっただけ」、まさに、彼氏が出逢い好きになった子がたまたま難聴であったということです。

    ネットで出逢い、ネットでやりとりをしている中に互いに興味を持ち、やがてリアルに移行して交際に発展、まさに今時の若者の恋愛を「リアル」に描いています。
    私はこの作品を読み解くには三つのキーワードがあると感じました。
    一つは「リアル」。先述したように、本当にどこにでもあるような、現代社会では実際に起こり得るような極めて現実的なお話であるということ。まるで、小説を読んでいる私が登場人物たちの私生活を垣間見ているような、実在している人たちのプライベートをのぞき見しているようなー笑 錯覚に陥りそうにさえなりました。
    二つ目は「重い」というワードです。これは言葉どおり、やはり彼女の方が難聴ということで、つきあい始めてまもなく破局寸前かとドキドキするようなトラブルに見舞われていますし、どうしても避けては通れない試練として描かれています。
    私自身、普段、あまり考えたことのない問題なので、色々と考えさせられる部分でした。
    三つ目のワードは「微笑ましい」ですね。彼女が障がいを持っているということで、二人は色々と当初はぶつかり合うのですが、この二人は根底に「好き」という強い想いがあるので、ぶつかり合いながらもお互いを理解し合おうと努力し乗り越えてゆきます。
    また、ごく普通の若い男性と女性が出逢って知り合って、親密な交際に発展してゆくプロセスにありがちな様々なエピソードが実に爽やかで、微笑ましく、こういうところも「実際にあるだろうな」と思えるところが実に「リアル」です。

    全体を通して重めのテーマや部分も含まれてはいるものの、印象としては本当に爽やかな読後感を与えてくれる作品です。
    また、「泣ける」部分もあります。
    最後に二人が様々な試練を乗り越えて、とりあえず「カップル成立」となったときのシーン。
    女の子が
    聴覚障がいで人とスムースに意思疎通ができない、自分の言いたいことが思うように言えない。そのために、せめてブログでは自在に自分の思うがままを綴りたいーそんな想いで作ったブログ、そのブログタイトルが「レインツリーの国」でレインツリーとは「ねむの木」であり、「歓喜」を意味するがゆえに「歓喜の国」とタイトルをつけたという経緯が語られた後、
    ーその国に伸がやって来たことで、ひとみの人生はもしかしたら少し変わった。神様、と今まで信じてもいなかった何かに少しだけ祈る。
    もし私が幸せになっていいのなら、どうかあの人と少しでも長く一緒にいられますように。どうか、あの人が私を幸せにしてくれたように私もあの人を幸せにできますように。意固地な私があの人をあまり傷つけずに済みますように。

    と、彼女が呟く部分があるのです。
    ここは正直、ほろりとするのを通り越して泣けました。
    問題を抱えている恋愛ゆえに、両想いになったとしても将来的に成就する見込みが100パーセントではないと彼女自身が考えています。
    ここで物語は終わります。

    頑張ってと、心の底から彼女と彼を応援したい。
    物語は終わっても、何故か、見えないページの向こうに彼と彼女がタキシードとドレスに身を包んでいる光景が浮かんできてしまいました。
    この極めてリアルな架空の物語の主人公たちの末永い幸せを祈りながら、感想を締めくくります。

  • クジラの彼に続き有川浩作品を読む。

    学生時代に読んだ1冊の本をキッカケに伸とひとみがネット上で知り合う。
    ネット上のやりとりから、お互い惹かれあって、実際会うことになった。そして、その初めてデートの最後に、ひとみは耳に障害があることを知った。

    印象に残ったこととして、耳が聞こえないということによって、自分の気持ちは健常者には理解できっこないとシャッターを下ろしてばかりだったひとみが、伸との関係から気付いたこと。

    「他人に理解できない辛さを抱えているのは健常者も同じ。ただ痛みの種類が違うだけ」

    まず、何かしらのハンディギャップがあるひとは、すごく辛いことを経験している。
    例えば耳が聞こえないという不便だけではなく、耳が聞こえないことによって生まれる課題(コミュニケーションがうまくいかない、無視してると思われてしまう、優しさが辛いなど)もある。

    そういったことを理解しようとすることは必要で、それはハンディキャップを持つ人だけではない。
    みんな、人それぞれ悩みや辛いことがある。
    そう思えれば、自分としてもプラスに働くなと思った。

    例えば、誰かがぶつかってきたりしたら、イラッとする。
    でも、もしかしたらその人は、家族に重大な出来事があって急いでいるとかもしれないし、どうしようもなく辛いことがあって、真っ直ぐ歩くのもままならないかもしれない。

    ただ周りを気にしていないだけかもしれないけど、その人にどういう事情があるかを想像すれば、その人の状況が少しわかるかもしれない。少なくともイラッとせずに穏やかな気持ちでいられるかもしれない。

    そんなことを思った。

    • yukako1028fukuさん
      私もこれ読んだ!自分の常識やものさしで決めつけちゃいけないなって、考えさせられるよね!
      私もこれ読んだ!自分の常識やものさしで決めつけちゃいけないなって、考えさせられるよね!
      2019/01/24
  • 相手の事を考えて行動する──
    今まで何度も教えられてきたはずなのに、自分の考えが及ばない場合は相手を傷つける事があることをこの本を読むまですっかり忘れていました。

    主観が違えば嬉しいのか嫌なのかは人それぞれ。

  • 【コンプレックスのある人にオススメしたい】

    2人の不安定な関係は、突如ぷつっと糸が切れてしまいそうでハラハラしたけれど最終的にハッピーエンドで安心しました。会話中のささくれが細かくリアルに書かれていて、読んでいるこちらの方までイライラしてしまうほど。でも伸さんがそれを呑み込まずに切り込んでくれるのでスッキリ読み進められました。全体を通して、糸を切らずにいてくれた伸さんの器の大きさに脱帽。
    そして細かく対立する男女/健常者健聴者の意識をここまで具体的に書き分ける有川さんも流石です。

    障害をテーマにしたフィクションというのは、後書きや解説にもあったように、社会的にかなり書きにくいのではないかと思います。それをここまで人の心情に踏み込んで、綺麗事だけでなくドロドロした部分まで書き込まれる姿勢に好感を持ちました。障害のある人に気遣った文章ではなく、1人の人間としてフラットに描かれていて素敵でした。

    障害に限らず、容姿や才能など、「どうにもならないこと」は自分を傷つけないための盾になる一方で、成長を拒む言い訳になってしまうと気付かされました。私もどうせ顔が可愛くないからとかいう理由で途中放棄していたダイエットを今日から再開しようと思います。

  • 映画を見てからだったから、どうしても出演者の顔が浮かんでしまった。映画を見ないで見た方がよかったかなと思った。
    難聴がテーマ。見た目ではわからないんだけど、人はそれぞれ抱えている物があるんだと思う。

    自分だったらどうするかな。

    初めて読んだ有川さんの作品でした。

  • 好きな本がきっかけで知り合うのが理想になりました。
    誰でも他人には理解し得ないような事情を抱えてるもので、そこをどう歩みよっていくかが大事なんだな。
    ひとみと伸さんのやりとりがとってもリアルで、有川浩の作品のこういうところが好きです。
    伸さんみたいな男性とても素敵。

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著者プロフィール

有川浩(ありかわ・ひろ)
高知県生まれ。二〇〇四年『塩の街』で電撃小説大賞大賞を受賞しデビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊三部作」、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』など著書多数。

「2017年 『ニャンニャンにゃんそろじー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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